40代からFIREを目指すと聞くと、多くの人はこう感じます。
「今さらリスクを取るのは怖い」、「失敗したら取り返しがつかない」。
確かに40代は、家庭や仕事の責任が増え、若い頃のような無謀さは許されません。
しかし結論から言えば、40代FIREの最大の障害はリスクそのものではなく、リスクに対する誤解”です。
この記事では、40代でFIREを目指す人がまず捨てるべき考え方を整理し、なぜその思考がFIREを遠ざけるのか、どう考え直せばいいのかについて掘り下げていきます。

40代FIREは本当に遅いのか?現実を数字で見る
感情論を離れ、まずは事実を確認しましょう。
40代は、以下の点でFIREに向いた条件を備えています。
| 観点 | 40代の現実 |
|---|---|
| 収入 | キャリアのピークに近く、安定しやすい |
| 支出 | 教育費・住宅費など見通しが立つ |
| 投資経験 | 成功・失敗の両方を経験している |
| 残り時間 | 退職まで20年前後あり、調整可能 |
時間は確かに短くなりますが、その分判断力と入金力があります。問題は年齢ではなく、思考が若い頃のまま止まっていることです。
捨てるべき考え方①「40代からではもう遅い」
この考え方は、FIREを目指す前に自ら可能性を閉じてしまいます。
FIREは年齢競争ではありません。
必要なのは、これからの資産形成スピードと戦略の現実性です。
40代は、
・収入が比較的高い
・無駄な支出に気づきやすい
・投資判断が感情に振れにくい
という強みがあります。
遅いと考えた瞬間、行動は止まります。40代FIREで本当に致命的なのは、年齢ではなく諦めです。
捨てるべき考え方②「リスクを避けるのが賢い選択」
40代になると、失敗を恐れる心理が強くなり、安全志向に傾きがちです。
しかし、この考え方こそがFIREの最大の敵になります。
低金利の預金や国債だけでは、インフレ率を上回るリターンを得ることはできません。更には2025年の消費者物価指数(CPI)は前年比2.5%上昇と予測されています(日本銀行発表)。
つまり、実質的にはお金を減らさないのではなく、ゆっくりと目減りさせている状態です。
2025年の米国株式市場では、AI関連の成長を背景にS&P500が年15%以上の成長を記録しました。
日本株も同様に、半導体・自動化・インフラ更新といった分野で中長期の追い風があります。
重要なのは、リスクを完全に避けることではなく、管理する視点へシフトすることです。
たとえば、S&P500連動のインデックスファンドは、過去10年の平均リターンが年8%超とされています(Bloomberg、2025年更新)。
もちろん市場変動は避けられません。しかし40代には、まだ時間という回復力があります。短期の値動きではなく、長期の成長を取りに行く設計が可能なのです。
40代FIRE志向者向け|リスク管理の具体例
リスクを恐れるあまり、資産の大半を現金で保有する人もいます。
これは安心に見えて、実は機会損失の典型例です。
以下は、40代FIRE志向者向けの資産配分の一例です。
| 資産クラス | 推奨割合 | 理由 |
|---|---|---|
| 株式(国内・海外) | 60% | 成長性が高く、長期リターンが期待できる。2025年はテクノロジー分野が牽引 |
| 債券 | 20% | 値動きの安定化。金利上昇時のクッション |
| 不動産・REIT | 10% | インフレヘッジ。J-REIT平均利回りは約4%(2025年) |
| 現金・その他 | 10% | 生活防衛資金・流動性確保 |
このようにバランスを取ることで、リスクを分散しながら、リターンを取りに行くことが可能になります。
捨てるべき考え方③「FIRE=完全リタイアでなければ意味がない」
40代FIREで現実的なのは、働かないことではなく働き方を選べることです。
近年は、サイドFIREやバリスタFIRE、セミリタイアといった柔軟な形が主流です。
完全リタイアに固執すると、必要資産額は跳ね上がります。一方で選択肢を広げれば、FIREは一気に現実的になります。
捨てるべき考え方④「今の生活水準は絶対に下げられない」
40代は生活が完成している分、見直し余地が見えにくい年代です。
しかし実際には、満足度を下げずに削れる支出は必ず存在します。
重要なのは節約ではなく、お金の使い方の最適化です。FIREは我慢大会ではありません。
捨てるべき考え方⑤「FIREできた人は特別な人」
FIRE達成者の多くは、地味で再現性のある行動を、長く続けた人です。
才能ではなく、設計。運ではなく、継続。
自分には無理と決めた瞬間に、可能性は消えます。あきらめたらそこで…以下、省力。
40代FIREで最も重要なのは「リスクを取らないこと」ではない
40代FIREに必要なのは、大胆さではなく、現実を見据えたリスク管理能力です。
慎重であることと、動かないことは違います。リスクを恐れるのではなく、理解し、制御する。
その思考に切り替えたとき、FIREは夢物語ではなく、現実的な選択肢になります。
年齢に縛られるのではなく、年齢に合った戦い方を選ぶ。
それこそが、40代FIREの本質です。
関連記事



