資産形成

インベスコ「世界のベスト」でFIREは可能?毎月分配型ファンドの実績とリスクを解説

「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」。

愛称『世界のベスト』は、毎月分配金を受け取りながら運用できる点で注目されるファンドです。

毎月の安定したキャッシュフローは魅力ですが、現役世代がFIREを目指す上ではどう活かせるのかは一考が必要です。

本記事では、分配金実績や運用成績を整理しつつ、FIRE視点でのメリット・デメリットを分かりやすく解説します。


世界のベストの特徴

「世界のベスト」は為替ヘッジなしで海外の優良株式に分散投資するアクティブファンドで、毎月決算型の分配金は8年以上にわたって150円で安定しています。

運用は英国ヘンリー拠点の9名チームが担当しており、経験豊富な運用責任者のもとで3つのコンセプト「成長」「配当」「割安」に基づき銘柄選定が行われています。

信託報酬は年率1.903%で、5年間1,000万円運用した場合には約95万円が費用としてかかります。

基準価額と純資産総額(2025年9月末時点、為替ヘッジなし)

項目数値
基準価額8,914円(前月比 -134円)
純資産総額26,597億円超

分配金実績(1万口あたり、課税前)

分配金
第1期~135期累計18,100円
第136期(2025/4/23)150円
第137期(2025/5/23)150円
第138期(2025/6/23)150円
第139期(2025/7/23)150円
第140期(2025/8/25)150円
設定来累計18,850円

累計で約1万8千円を超える分配金が出ており、安定して毎月キャッシュフローを得られる点は、FIRE生活の資金源として心強い特徴だと言えます。

しかし、複利効果が薄い点や元本取り崩しのリスクがある点には注意が必要です。

組入上位10銘柄(2025.9月時点)

順位銘柄名国名業種純資産比率
13iグループイギリス金融5.7%
2カナディアン・パシフィック・カンザス・シティカナダ資本財・サービス5.6%
3ロールス・ロイス・ホールディングスイギリス資本財・サービス5.5%
4マイクロソフトアメリカ情報技術5.1%
5テキサス・インスツルメンツアメリカ情報技術4.4%
6コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズオランダ生活必需品4.0%
7ASMLホールディングオランダ情報技術3.9%
8友邦保険控股(AIAグループ)香港金融3.8%
9イースト・ウエスト・バンコープアメリカ金融3.3%
10ロンドン証券取引所グループイギリス金融2.7%

上位銘柄を見ると、イギリス・オランダ・アメリカといった先進国の優良企業が中心になっています。

金融・資本財・情報技術・生活必需品といった分野にバランスよく分散されており、景気循環の影響を和らげる構成です。

特にASMLやマイクロソフトといったグローバルリーダー銘柄を含むことで、配当だけでなく成長性もある程度取り込めている点が特徴的です。


運用実績(為替ヘッジなし)

楽天証券より引用

騰落率(課税前分配金再投資ベース)

期間ファンドベンチマーク
1か月+0.17%+0.97%
3か月+9.41%+11.34%
6か月+9.92%+10.34%
1年+17.65%+18.94%
3年+86.72%+73.00%
設定来+426.77%+370.28%

この実績を見ても分かるように、「世界のベスト」は長期で見れば市場平均をしっかり上回っている点が大きな魅力です。

直近1年程度ではベンチマークとほぼ同等の動きですが、3年・設定来の数字を確認すると大きく上回っており、長期投資家にとってはリターンの積み重ねで優位性を発揮してきたファンドだといえます。


世界のベストのいいところ

このファンドの魅力は、まず「銘柄選定力」にあります。

世界中の企業から成長性と収益性を兼ね備えた銘柄を厳選して組み入れているため、ただのインデックス運用では取り込めないリターンを狙える点が特徴です。

また、設定来で400%を超えるパフォーマンスを達成しているように、長期で資産をしっかり増やせる実績を持っています。

特定の国や地域に依存せず、米国・欧州・アジアなど幅広いエリアに分散投資しているため、一国リスクを抑えながらグローバルな成長を取り込めるのも安心材料です。

さらに、直近数年の実績から分かるように、市場全体が軟調な局面でも比較的安定したパフォーマンスを見せており、守りと攻めのバランスが取れたファンドだと言えるでしょう。


分配金ベースのFIREシミュレーション(基準価額8,970円前提)

  • 1万口あたり年間分配金:1,800円
  • 基準価額:8,970円
  • 想定利回り:約20.1%
投資元本想定年間分配金(税引前)FIRE生活費300万円までの到達度
500万円約100万円約1/3をカバー
1,000万円約200万円約2/3をカバー
1,500万円約300万円生活費をほぼ賄える水準
2,000万円約400万円余裕をもって達成可能

つまり、1,500万円前後を投資すれば「年間300万円(生活費目安)」を分配金で賄える計算になります。


注意点

一見すると「1,500万円でFIRE可能」という夢のような計算になりますが、ここには大きな落とし穴があります。

税金の影響
分配金には通常20.315%の税金が課されるため、実際の手取りは表の数値よりも目減りします。

分配金の継続性が不透明
分配金は運用益からだけでなく、元本の払い戻し(特別分配)から支払われる場合があります。

実際、分配が高水準のまま続くと、基準価額は下落しやすく、資産の取り崩しと同じ結果になります。

利回り20%は「見かけ上」
直近の分配額を単純に年換算しただけの数字であり、今後も維持される保証はありません。相場環境やファンド方針の変更次第で、大幅減配や無分配となる可能性もあります。

現在の分配水準を前提にすると「意外と少額でもFIREが見えてくる」ように見えます。

しかし、実際には分配の持続性や元本の目減りリスクをどう考えるかがカギとなります。

FIRE資金の中核をこのファンドに頼るのはリスキーで、あくまで「生活費の一部を補填するサブ収入源」としての位置づけが現実的だと思います。


メリット・デメリット(FIRE視点)

項目内容FIRE視点での影響
メリット毎月分配金により安定した現金収入を得られる生活費の補填として活用可能。特に高齢者や現役世代で副収入を作りたい場合に有効
全世界株式への分散投資で長期的に安定した資産形成が可能長期運用による資産増加が期待でき、FIRE資金の積み上げに寄与
運用情報が詳細に公開されている投資判断の材料が豊富で、リスクやリターンを把握しやすい
過去の実績値(直近1年~10年)でS&P500やオルカンと比較し、期間によっては優秀短期~中期のパフォーマンスも確認でき、戦略的なFIRE計画に組み込みやすい
デメリット分配金を出すことで運用効率が低下複利効果が薄れ、下落相場では基準価額の下落が加速するため、FIRE資金形成には不利になる場合がある
分配金には20%の税金がかかる受け取りごとに税金が引かれるため、実質利回りが低下
信託報酬が年率1.903%と高い長期運用で利益が目減りし、同じ資金で積み上げられるFIRE資金が減少
毎月分配型のため複利効果が得られにくい再投資効果が薄く、FIREまでの到達年数が延びる可能性

まとめ

「世界のベスト」は、毎月分配金の安定性や全世界株式への分散投資、運用情報の充実度など、多くの面で非常に優秀なファンドです。

過去の実績やポートフォリオの内容を見る限り、短期・中期・長期それぞれで十分なパフォーマンスが期待できます。

しかし、毎月分配型であることや信託報酬の高さ、為替リスクや複利効果が薄れる点など、長期的な資産形成においては注意すべきデメリットも存在します。

投資を検討する際には、これらのメリット・デメリットを十分に理解したうえで、自分の資産形成の目的やFIRE計画に合致しているかを慎重に判断することが重要です。

安定した現金収入を重視するのか、複利効果による資産増加を重視するのか、投資の目的に応じて最適な選択を行いましょう。

個人的には購入するのでは、あくまで「生活費の一部を補填するサブ収入源」として捉えることがベストだと思います。


億り人になった私も、これまで数々の失敗を経験しています。是非ご参考に…涙

何を目指して、何に投資するのか。ウォーレン・バフェットの考え方はiいつの時代でも指針となります。

準富裕層に到達したときの実感を綴っています。

人生の思い出は何よりの高配当株…。(例えが下手…。文才…。)

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この原則を信条とし、着実に資産形成を続けていきます。

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