人材不足が構造的な課題となる日本において、技術者派遣やITソリューションを手がける企業の存在感は年々高まっています。その中で注目したいのが、京都を拠点とする エスユーエス(SUS) です。
本記事では、同社の事業内容、直近の業績動向、財務体質、配当金推移を整理し、投資価値がある企業なのかを見ていきます。

エスユーエスの事業概要と強み
京都発の技術系ソリューション企業
エスユーエスは1999年創業。エンジニア派遣を軸に、製造業やIT業界の高度な人材ニーズに応えてきました。人材派遣にとどまらず、課題解決型のソリューションを提供する点が同社の特徴です。
日本では少子高齢化により、専門技術者の不足が深刻化しています。エスユーエスはこの構造的課題のど真ん中に位置する企業といえます。
主な事業セグメント
| セグメント | 内容 |
|---|---|
| ソリューション事業 | エンジニア派遣、製造請負、IT請負 |
| コンサルティング事業 | ERP導入支援、業務改善コンサル |
| AR/VR事業 | AR・VR・MR・AI・メタバース関連 |
特に主力のソリューション事業が業績を大きく牽引しており、直近決算では売上・利益ともに大幅な成長を記録しました。また、AR/VR事業が2期連続黒字となり、全セグメント黒字化を達成している点も評価できます。
業績動向:過去12四半期で見える安定成長
収益性の改善が続く
過去12四半期を振り返ると、エスユーエスは着実に収益力を高めています。純利益率は前年同期比で継続的に改善し、営業利益率も持ち直しています。
ROE・ROAはいずれも一般的に優良とされる水準を上回る場面が多く、資本を効率的に使えている企業といえるでしょう。
最新決算のポイント
- 売上高:150.15億円(前年比 +13.6%)
- 営業利益:12.12億円(同 +46.3%)
- 純利益:9.15億円(同 +52.0%)
利益成長率が売上成長率を大きく上回っており、利益体質への転換が進んでいる点は見逃せません。
財務の安定性とキャッシュフロー
高水準の自己資本比率
エスユーエスの自己資本比率は 62.9% と非常に高水準です。一般的に30%を超えていれば安定とされる中で、財務余力は十分といえます。
有利子負債はやや増加していますが、全体としてバランスシートは健全です。
キャッシュフローの質も良好
営業キャッシュフローは10.62億円の増加と力強く、本業でしっかり現金を生み出しています。フリーキャッシュフローも前年同期比で増加傾向にあり、配当や投資の原資を安定的に確保できています。
配当金推移と株主還元の姿勢
配当は明確な増配トレンド
エスユーエスの配当金推移を見ると、ここ数年で大きく姿勢が変わったことが分かります。
| 年度 | 1株配当 |
|---|---|
| 2020年 | 7円 |
| 2021年 | 7円 |
| 2022年 | 15円 |
| 2023年 | 25円 |
| 2024年 | 30円 |
| 2025年 | 45円 |
| 2026年(予) | 50円 |
利益成長に連動する形で増配を続けており、株主還元への意識は明確です。
株価指標から見る投資妙味
現在の主な指標は以下の通りです。〈2025.12.25時点〉
- 株価:1,131円
- PER:10.18倍
- PBR:2.39倍
- ROE:23.48%
- 配当利回り:4.42%
ROEの高さとPERの低さを併せて考えると、市場がまだ成長性を十分に織り込んでいない可能性もあります。高配当と成長の両立を狙う投資家にとって、検討余地のある水準といえるでしょう。
株価チャート

エスユーエスの株価が伸びきらない理由は、業績ではなく、市場の目線と需給の問題です。(人材派遣ビジネスの恒常的なディスカウントや成長ストーリーの分かりにくさ等)
だからこそ、FIREや配当再投資を狙う投資家にとっては、焦らず拾える数少ないタイプの銘柄とも言えます。
今後の見通しと投資判断
2026年9月期は売上・利益ともに2ケタ成長を見込んでおり、成長ストーリーは継続しています。人材育成や新技術投資を続ける方針も、中長期視点では評価できます。
一方で、人材派遣ビジネス特有の採用環境や人件費上昇リスクには注意が必要です。
それでも、高収益・財務安定・増配基調この3点がそろったエスユーエスは、FIREや資産形成を目指す投資家にとって、じっくり保有を検討したい一社といえるでしょう。