株式投資

【高収益×安定】オークネット(3964)の事業モデルと財務を解説

中古車、デジタル機器、ファッション、花きなど──中古・リユース市場の裏側には 流通を支える企業 が存在します。その代表格が、オンラインオークション最大手のオークネット(3964)です。1985年の創業以来リユース市場のデジタル化を支えてきました。2025年に創業40周年を迎え、株価は1,830円台、時価総額は約900億円規模。業績の堅調さと事業の多角化が進み、投資家の注目度が一段と高まっています。

この記事では、

・オークネットの事業構造
・成長を支える各セグメントの動き
・直近決算のポイント
・財務の強みと課題
・配当金推移(5年以上の表)
・最新の株価指標(PER・PBR・利回り)

を整理し、投資対象としての魅力を詳しく解説していきます。


オークネットの成長軌跡|中古市場のデジタル変革を牽引

オークネットは1985年、まだインターネットも普及していない時代からオンライン型の情報流通に挑戦してきた企業です。中古車オークションのネットワークを全国に広げ、会員数は現在世界で4万社以上にまで成長しています。

中古・リユース市場の規模拡大、サーキュラーエコノミーの潮流、消費者の環境意識の高まり。こうした長期テーマを追い風に、事業領域は広がり続けています。


事業の基盤|多様なセグメントが支える「安定×成長」

オークネットの事業は大きく以下の二つに分かれます。

①ライフスタイルプロダクツセグメント

中心は以下の2事業です。

  • デジタルプロダクツ事業(中古スマホ、中古PCなど)
  • ファッションリセール事業(ブランド品のBtoB取引)

2025年の第3四半期では、デジタルプロダクツの流通台数が前年比で増加し、取扱高は二桁成長を記録。スマホ買い替えサイクルの短縮、中古市場への信頼向上などが後押ししています。ファッションリセール事業では、海外ブランドの流入やBtoBモデルの拡大が進み、AIを用いた鑑定ツールの導入で差別化が進むなど、事業の付加価値が高まっています。このセグメントだけで売上の約半分を占める成長エンジンです。


②モビリティ&エネルギーセグメント

こちらは中古車・中古バイクを扱うオートモビル事業とモーターサイクル事業が中心。

  • 新車価格高騰による中古車シフト
  • コロナ後の移動需要回復
  • EV関連の中古市場成長の芽

これらを背景に、2025年の第3四半期では取扱高が前年比20%以上の伸びを見せています。さらに、再生可能エネルギー関連として、太陽光パネルの中古流通も進み始めています。景気敏感な側面を持ちながらも、デジタル化によって安定した収益性を確保している点が特徴です。


2025年第3四半期決算|増収増益の勢いが鮮明

2025年11月発表の第3四半期決算は、以下の通り好調そのものです。

項目2025年Q32024年Q32023年Q3
売上高474.81億円(+17.4%)404.50億円約350億円
営業利益80.38億円(+43.3%)56.13億円約45億円
純利益45.62億円(+26.9%)35.94億円約30億円
EPS(調整後)約93円約73円約62円

営業利益率の改善が目立ち、規模拡大による効率化が進んでいることが分かります。

過去12四半期の動き

  • 2023年前後にやや業績が弱い局面
  • その後、売上・EPSが持ち直し基調
  • 直近期は純利益率がやや低下も、全体としては成長トレンド復帰

ユーザーインターフェース改善やデジタル投資が奏功し、取引回転率が上がったことが回復の背景にあります。


財務分析|収益性・安定性・成長性のバランス

オークネットの財務は全体的に健全ですが、細部を見ると特徴が浮かび上がります。

収益性:安定した高ROEが強み

  • 純利益率:やや低下も10%近くを維持
  • 営業利益率:横ばい
  • ROE:18〜20%台
  • ROA:10%台後半

オンライン事業のため固定費が低く、利益率が安定しやすい構造が背景にあります。


安定性:自己資本比率はやや低下

  • 自己資本比率:58.8% → 低下傾向
  • 総資産:499.82億円(+13.5%)
  • 負債:248.74億円(+39.2%)

取引増加に伴うオークション貸借勘定の増加が、負債側の伸びにつながっています。短期的には負担ですが、事業が活発化していることの裏返しでもあります。


成長性:売上・EPSともに増加基調

中古・リユース市場全体の拡大、AI検査やトレーサビリティ導入などデジタル投資が奏功し、売上成長は継続。EPSも増加傾向を維持しています。


キャッシュフロー:営業CFの強さが光る

現金・預金は220.76億円と前年末比51億円増。営業活動CFの強さが、自己株式取得や設備投資などを吸収して余りある構造です。


配当政策|分割後も実質増配を継続

2025年4月に株式1:2の分割を実施したため、一見すると配当が減って見えますが、実質的には増配です。

以下は株式分割調整後の実質値です。

オークネット:配当金推移

決算期1株配当増減利回り(当時)
2020年10.5円約1.2%
2021年20.0円+9.5円約1.8%
2022年24.0円+4.0円約2.0%
2023年26.5円+2.5円約2.1%
2024年38.0円+11.5円約2.3%
2025年(予)55.0円+17.0円約3.0%

2025年は創業40周年記念配当5円を含むとはいえ、力強い増配傾向が見て取れます。


最新の株価指標(2025年11月20日時点)

株価:1,891円前後

PER:15.7倍

PBR:3.45倍

ROE:18.66%

配当利回り:2.91%

自己資本比率:58.8%

PER15倍台は成長企業としてはまだ割安水準で、ROEの高さを考えると評価余地があります。


今後の展望|中古市場のインフラ企業としての拡大余地

オークネットは、単なる中古品の仲介業ではなく、中古市場のデジタルインフラを構築する企業へと変貌しつつあります。

  • サーキュラーエコノミーの流れ
  • EV中古市場の拡大
  • 海外展開
  • AI・ブロックチェーンによる鑑定・管理の高度化

こうしたテーマは中長期で追い風になりやすく、事業の競争優位性をさらに高める可能性があります。一方で、負債増加に伴う自己資本比率の低下や、景気後退リスクには注意が必要です。


まとめ|配当・成長・事業安定性のバランスが良い注目銘柄

オークネット(3964)は、「収益性の高いオンライン型ビジネス」、「成長する中古市場」、「強固な会員基盤」、「実質増配を続ける株主還元」という4つの魅力を兼ね備えた企業です。

爆発的な成長株ではありませんが、堅実に長期成長しつつ配当も伸ばす総合力の高い銘柄*として、ポートフォリオに組み込みやすいタイプです。安定成長とサーキュラーエコノミーのテーマ性を両立した投資先を探している人にとって、オークネットは有力候補の一つになるでしょう。

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