たばこ株の中でも高配当で知られるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)。
私は10年以上前からBTIを1,000株とちょっと保有しており、これまでに税引後で約120万円の配当金を受け取っています。主力の一つです。
買い増しはもう随分前から行っていないのですが、含み益も350万程度出ており、私の配当金再投資戦略のクリーンナップとして長らく活躍してくれている銘柄です。(ちなみにタバコは一度も吸ったことがありません…。)
長期で持つほどに恩恵を実感している一方、「今から買っても大丈夫なのか?」と気になる方も多いはず。
今回は、そんなBTIが2025年以降も投資対象になり得るのかを、最新の業績・指標・配当動向から詳しく見ていきます。

なぜ今、BTIなのか?
米国NYSE上場の BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ) は、世界最大級のたばこメーカー。
現在の株価指標は以下の通り。
- 配当利回り:7%超
- PER:約8倍
- PBR:0.9倍前後
まさに「高配当×割安」の典型的なバリュー株です。
一方で、業界全体は
喫煙率の低下、規制強化、ESG投資の逆風
という三重苦を抱えています。
果たしてBTIは「過去の遺物」なのか、それとも「最後の割安株」なのか。
本記事では、最新データ・決算・アナリスト見解をもとに、BTIが2025年以降も投資対象になり得るのかを検証します。
BTIの「今」
| 項目 | 数値(2025年11月時点) | 評価 |
|---|---|---|
| 株価 | $51.28 | - |
| 配当利回り | 7.1%(年間$3.10) | ★★★★★ |
| Forward P/E | 7.8倍(2025年EPS予想$6.58) | ★★★★★ |
| PBR | 0.93倍 | ★★★★☆ |
| 配当継続年数 | 25年連続増配(ADR基準) | ★★★★★ |
👉 S&P500平均(PER25倍・配当1.3%)と比べても圧倒的に割安で、数字だけ見れば買い候補に入るのは否定できない水準です。

株価は2023年に底打ちし上昇中。以下要因が考えられます。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 業績 | 減損一巡・営業利益は堅調 |
| 配当 | 高利回り再評価(約10%) |
| 成長 | ベイプ・加熱式が売上を牽引 |
| 為替 | ポンド安が追い風 |
| 市場心理 | バリュー回帰・金利低下思惑 |
BTIが「買い」と判断できる3つの理由
① 鉄壁のキャッシュフロー
2024年のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)は、フリーキャッシュフローが78億ポンド(約1.5兆円)と引き続き高水準を維持しました。
この潤沢なキャッシュ創出力により、配当と自社株買いを合わせても240%以上をカバーできる余裕を確保しており、財務の健全性と株主還元の持続力が改めて示されています。
景気後退局面でもキャッシュフローが潤沢で、配当維持力は業界随一といえます。
② 新カテゴリーの成長が本格化
| 製品 | 2024年売上成長率 | 2025年見通し |
|---|---|---|
| Vuse(電子たばこ) | +21% | +15〜20% |
| Velo(ニコチンパウチ) | +38% | +30%以上(特に米国で急伸) |
| glo(加熱式) | +12% | +10% |
従来たばこの販売量が年5%減少しているものの、新カテゴリーの伸びがそれを補って余りあります。
経営陣は「2027年までに新カテゴリー売上比率を50%に」という明確な目標を掲げています。
③ 割安すぎるバリュエーション
アナリスト平均目標株価:$58.2(上昇余地+13%)
ドイツ銀行(Deutsche Bank):「買い」評価(目標約57ドル)
アーガス・リサーチ(Argus Research):「買い」評価(目標62ドル)
アナリストの平均目標株価は約58ドル(1株あたり)で、現在株価から+13%の上昇余地があり、市場全体で「まだ割安」との見方が強まっています。
BTIの3つの懸念点
| リスク | 内容 | 影響度 |
|---|---|---|
| 規制リスク | 米FDAのメンソール禁止案、EUの風味規制 | ★★★★☆ |
| ボリューム減少 | 従来たばこ▲5%/年が継続 | ★★★☆☆ |
| ESG排除 | 多くのESGファンドが投資対象外 | ★★★☆☆ |
とはいえ、規制リスクはすでに織り込み済みとの見方も強く、2025年2月に発生した株価▲6%も「最悪シナリオの反映」と評価されています。
カナダの大手金融機関RBCは引き続き「売り」評価を維持していますが、多くのアナリストは依然として強気スタンスを取っています。
競合比較:BTI vs MO vs PM
| 銘柄 | 配当利回り | PER | 新製品成長 | 総合評価 |
|---|---|---|---|---|
| BTI | 7.1% | 7.8倍 | ◎(Velo急伸) | ★★★★☆ |
| MO(アルトリア) | 8.0% | 9.2倍 | △(Juul失敗) | ★★★☆☆ |
| PM(フィリップモリス) | 4.5% | 18倍 | ◎(IQOSが好調) | ★★★★☆ |
BTIの特徴は、「高配当+割安+新製品」という三拍子が揃っている点です。
高配当たばこ株の中では、最もコスパの良い銘柄です。
割安な株価(PER 7.8倍)に加え、新製品「Velo」の販売拡大で業績の底堅さも期待できます。
同業他社と比較しても、2025年以降の投資妙味はBTIが一歩リードしているといえるでしょう。
結論:BTIは投資対象になり得るか?
| 投資スタンス | 推奨度 | 理由 |
|---|---|---|
| 長期配当狙い(3〜5年) | ★★★★★ | 7%配当+増配継続+割安 |
| 短期トレード | ★★☆☆☆ | 規制報道でボラティリティ高 |
| ESG投資家 | ☆☆☆☆☆ | 投資不可(除外対象) |
結論:BTIは「買い」候補に入ると言えます。
特に配当重視の長期投資家にとって、2025年以降も有力な選択肢。
規制リスクは依然として残るものの、リターンと安定性のバランスが取れた高配当銘柄で、今後もホールド継続の予定です。
※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断の参考情報として作成しています。最終的な判断は、必ずご自身の責任で行ってください。
投資前に確認しておきたい3つのポイント
- 次回決算(12月予定)をチェック
→ EPSが市場予想を上回り、新製品のガイダンスが堅調なら上昇トリガーに。 - $50以下での指値買いを検討
→ 長期サポートライン付近での仕込みが効果的。 - ポートフォリオ比率は5〜10%以内に
→ 高配当銘柄でもセクター偏重は避ける。
まとめ
BTIは、
- 7%を超える高配当
- キャッシュフローの強さ
- 新カテゴリーの着実な成長
この3点から、長期のインカム投資先として依然魅力的です。
短期的な値動きよりも、配当を積み上げたい投資家に向いています。
タバコは吸うのではなく、株を買いましょう!