近年、株式投資を通じて資産形成を目指す方々が増えています。特にFIREや早期リタイアを視野に入れた長期投資では、安定した配当収入が鍵となります。そんな中、地方銀行株は投資家の注目を集めています。
従来、地味なイメージの強かった地方銀行ですが、高配当利回りを維持しつつ、割安な株価水準で連続増配を続ける銘柄がいくつか存在します。本記事では、そうした地方銀行の魅力に焦点を当て、高配当かつ割安で4期以上連続増配を続ける9銘柄を厳選して紹介します。

地方銀行株が投資家に注目される理由
地方銀行は、地域経済の基盤を支える存在として長年安定した運営を続けてきました。しかし近年では、以下の要因が重なり、投資対象としての魅力が高まっています。
金利環境の変化
現在、日銀の金融政策正常化が進む中、貸出金利の上昇が地方銀行の収益を押し上げています。従来の低金利下で苦しんでいた預貸金利ざやが改善し、業績は上向きつつあります。北陸や九州地域では、地元企業の資金需要が増加しており、地方銀行の役割が再評価されています。
増配トレンドの加速
多くの地方銀行が資本効率の向上に取り組み、株主還元を強化しています。その結果、連続増配銘柄が増加傾向です。2025年の決算では、複数の地方銀行が業績上方修正とともに配当増額を発表しており、配当利回り3%超のケースも目立ちます。
割安な株価水準
PER(株価収益倍率)が10倍台前半の銘柄が多く、割安感があります。全国のメガバンクに比べてリスクが分散されやすく、安定した収益基盤を持つ点が魅力です。こうした割安株をポートフォリオに組み込むことで、市場変動時のクッションとして活用できます。
選定基準:高配当・割安・連続増配
本記事で紹介する9銘柄は、以下の基準で選定しています。
- 予想配当利回り3%以上
- 予想PER15倍未満の割安水準
- 4期以上連続増配
これらの条件を満たす地方銀行株は、短期的な値上がりだけでなく、長期保有による複利効果も期待できます。データは2025年12月30日時点の最新情報を基にしています。
高配当・割安・連続増配の地方銀行9銘柄
| 銘柄名 | 証券コード | 終値(12/29) | 予想配当利回り | 予想PER |
|---|---|---|---|---|
| 西日本FH | 7189 | 3,217円 | 3.42% | 12.1倍 |
| ひろぎんH | 7337 | 1,585円 | 3.41% | 11.9倍 |
| 群馬銀行 | 8334 | 1,728.5円 | 3.47% | 12.0倍 |
| 武蔵野銀行 | 8336 | 4,870円 | 3.29% | 10.7倍 |
| ふくおかFG | 8354 | 5,101円 | 3.33% | 12.1倍 |
| 南都銀行 | 8367 | 5,990円 | 3.17% | 12.5倍 |
| 山陰合同銀行 | 8381 | 1,482円 | 3.78% | 10.7倍 |
| 山口FG | 8418 | 2,120.5円 | 3.02% | 14.2倍 |
| トモニH | 8600 | 784円 | 3.32% | 9.2倍 |
各銘柄の投資視点
西日本フィナンシャルホールディングス(7189)
西日本シティ銀行と長崎銀行を中核に、地域のインフラ整備や中小企業支援に強み。金利上昇の恩恵で経常利益が増加し、4期連続増配。予想配当利回り3.42%、PER12.1倍と安定性と割安感を兼ね備えています。
ひろぎんホールディングス(7337)
広島銀行を中心に中国地区で展開。配当利回り3.41%、PER11.9倍で割安。地元産業のデジタル化支援が収益押上げに寄与し、FIRE向けの安定銘柄です。株主優待もあります。
群馬銀行(8334)
群馬県地盤の地銀で、預金・貸出・為替業務が主力。配当利回り3.47%、PER12.0倍。北関東の製造業活性化が追い風となり、地域特化型の成長が魅力。株主優待もあります。
武蔵野銀行(8336)
埼玉県本店。首都圏住宅融資を収益源とし、配当利回り3.29%、PER10.7倍。PBR改善が進む中、株主還元の加速も期待できます。
ふくおかフィナンシャルグループ(8354)
九州全域をカバーする地銀総資産2位の規模。配当利回り3.33%、PER12.1倍。観光業回復が収益を後押し。株主優待もあります。
南都銀行(8367)
奈良県地盤。配当利回り3.17%、PER12.5倍。文化・観光関連の融資が強みで、長期保有によるリターン期待。株主優待もあります。
山陰合同銀行(8381)
島根県地盤。配当利回り3.78%、PER10.7倍。地元農業・漁業支援が収益安定に寄与。地域の持続可能性を意識した投資に適する。株主優待もあります。
山口フィナンシャルグループ(8418)
山口銀行など3行傘下。9期連続増配で、配当利回り3.02%、PER14.2倍。物流関連融資の活発化が成長ドライバー。株主優待もあります。
トモニホールディングス(8600)
徳島大正銀行・香川銀行を傘下。配当利回り3.32%、PER9.2倍。地域産業支援が強みで、新しい投資意欲を喚起。
投資のポイントとリスク管理
- 分散投資:地域経済依存のリスクを抑えるため、複数銘柄で分散することが望ましいです。
- 金利政策の影響:日銀政策や金利動向は今後も注視です。貸出金利上昇は収益改善の追い風となります。
- PBR改善の期待:1倍割れ解消は株価上昇の契機となる可能性があります。
- 地域経済のリスク:地元経済の停滞は業績に直結しますが、高配当は下支えとなります。
まとめ:地方銀行株で実現する持続可能な資産形成
地方銀行株は、高配当・割安・連続増配の三拍子が揃い、投資家の注目を集めています。本記事で紹介した9銘柄は、安定した収入源としてFIREや早期リタイアを目指す方に適した選択肢です。地域経済の底力を信じ、長期視点で投資すれば、共感や気づきを得られ、持続可能な資産形成に繋がるでしょう。
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