近年、投資の世界では日本株はオワコンという言葉を耳にする機会が増えました。
長引く経済停滞、人口減少、そして米国株の圧倒的な成長と比較されることで、日本株は伸びない市場と見なされがちです。
しかし、2025年の市場環境を冷静に振り返ると、この見方は必ずしも正しくありません。
日経平均株価は4万9,000円台を維持し、場面によっては5万円を突破する勢いを見せました。海外投資家は年間を通じて日本株を買い越し、新NISAを通じた国内マネーも着実に流入しています。
本記事では、日本株がオワコンと言われる理由を整理したうえで、それでも日本株投資が向いている人の特徴を明らかにします。
投資スタイルに迷っている方が、自分なりの軸を見つけるヒントになれば幸いです。

日本株はなぜ「オワコン」と言われてきたのか
バブル崩壊後の長期停滞という記憶
日本株オワコン論の根底には、1990年代のバブル崩壊以降、約30年にわたる停滞の記憶があります。
デフレ環境が続き、企業は設備投資や賃上げよりも内部留保を優先しました。その結果、株主還元も限定的となり、株価は長く低迷しました。
一方で、米国株式市場はIT革命や金融緩和を追い風に成長を続け、S&P500やNASDAQは何倍にも膨らみました。この日米株価格差が、日本株への失望感を強めたのです。
グローバル競争での存在感低下
家電やテレビ、半導体など、かつて日本が世界を席巻した産業は、中国や東南アジアへ生産拠点が移りました。
結果として、日本企業は高付加価値分野への転換を迫られ、利益率の低下が続きました。
こうした構造的な変化が、日本経済はもう成長しないというイメージを固定化させてきました。
それでも日本株が見直されている理由
デフレ脱却と企業行動の変化
現在、日本経済には明確な変化が見られます。物価上昇を背景に、企業は値上げと賃上げを進め、利益体質が改善しました。日銀の利上げ(政策金利0.75%)後も株価が高値圏を維持している点は、象徴的です。
特に注目すべきは、配当増額や自社株買いの加速です。
内部留保をため込む日本企業というイメージは、確実に過去のものになりつつあります。
地政学リスクが追い風になる市場
米中対立やサプライチェーン再編により、日本は政治的に安定した生産・投資先として再評価されています。
半導体工場の国内回帰やインフラ投資が進み、関連銘柄は中長期的なテーマ株として存在感を増しています。
2025年の海外投資家による日本株買い越し額は数兆円規模に達し、グローバル資金が日本市場を戦略的に組み入れていることが分かります。
新NISAがもたらした構造的変化
2024年に始まった新NISAは、日本株投資にとって極めて大きな転換点でした。
非課税期間の無期限化と年間360万円の投資枠拡大により、短期売買より長期保有が合理的な選択となりました。
2025年の新NISA経由の投資額は約12.6兆円とされ、日本株を長期で持つ個人投資家層が確実に増えています。
日本株と米国株の比較(2025年)
| 項目 | 日本株(日経平均) | 米国株(S&P500) |
|---|---|---|
| 年間上昇率 | 23.95% | 15.19% |
| 平均配当利回り | 約2.5% | 約1.4% |
| 主な魅力 | 配当・優待、地政学的安定 | 成長性、イノベーション |
| 主なリスク | 円安依存、内需の鈍化 | 景気後退、政策リスク |
| 中期見通し | PERは依然適正水準 | 高バリュエーション |
この比較から分かる通り、日本株は一発の成長よりも、安定したリターンの積み上げに強みがあります。
日本株投資に実は向いている人の特徴
長期視点で待てる人
日本株投資で成果を出している人の多くは、短期的な値動きに振り回されません。
株価が停滞する期間も受け入れ、企業の変化を待てる忍耐力があります。2025年の上昇相場は、まさに待ち続けた投資家が報われた結果でした。
企業分析を楽しめる人
日本株は、決算資料やIR情報が充実しており、企業研究の余地が大きい市場です。ビジネスモデルや競争優位性を読み解くことを楽しめる人ほど、再現性のある投資判断ができます。
チャートよりも企業そのものに興味を持てる人に、日本株は向いています。
配当・優待を人生設計に組み込める人
FIREやセミリタイアを目指す場合、キャピタルゲインだけでなく、インカムゲインの安定性が重要になります。
配当や株主優待を生活設計に組み込める人にとって、日本株は非常に相性が良い資産です。
まとめ|日本株は合う人にとっては強力な武器
日本株投資は、誰にでも万能な選択肢ではありません。
しかし、長期視点を持ち、企業の変化を信じて積み上げられる人にとっては、今なお魅力的な市場です。
「オワコン」という言葉に流されるのではなく、自分の性格や人生設計に合っているかどうかで判断すること。
それこそが、後悔しない投資への第一歩ではないでしょうか。
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