日本株は割安だが報われない市場と言われ続けてきました。しかし近年、その構図は変わりつつあります。きっかけとなったのが、記憶に新しい、東京証券取引所(東証)によるPBR1倍割れ企業への改善要請です。
本記事では、この構造変化を投資チャンスとして捉えるためのETF、PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)に注目し、その仕組み・魅力・注意点について整理します。

なぜ今「PBR1倍割れ解消」が熱いのか
PBR1倍割れとは何を意味するのか
PBR(株価純資産倍率)は、株価が企業の純資産の何倍で評価されているかを示す指標です。
PBRが1倍を下回る状態は、理論上解散価値以下で売られていることを意味します。
日本市場では、このPBR1倍割れ企業が長年にわたり多く存在してきました。
背景には、過剰な内部留保や株主還元の弱さ、資本効率を意識しない経営体質があったと考えられます。
東証の要請がもたらした構造変化
2023年、東証は上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営を求める方針を明確にしました。
これにより企業側は、
・ROE向上への取り組み
・自社株買い
・増配
・事業の選択と集中
といった施策を、形式的ではなく開示することを求められるようになりました。
この動きはルール変更だけ留まらず、日本株市場の評価基準そのものを変えつつあります。
割安で放置されてきた企業が、価値を見直される環境が整ってきたのです。
PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)の概要
ファンドの基本情報
PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)は、PBRが1倍未満の銘柄を中心に投資するアクティブ型ETFです。
銘柄コードは2080、運用会社はシンプレクス・アセット・マネジメント。正式名称はPBR1倍割れ解消推進ETF(またはPBR1倍割れ解消推進ETF)です。
以下の点を重視して銘柄を選定しています。
・利益水準
・財務の健全性
・市場での流動性
・改善余地の大きさ
さらに、投資後も議決権行使などを通じて、企業に対し資本効率改善を促す点が特徴です。
主な組み入れ銘柄
2025年4月時点の上位構成銘柄は以下の通りです。
| 銘柄名 | 比率 |
|---|---|
| 三菱UFJフィナンシャルG | 4.82% |
| 三井住友フィナンシャルG | 4.80% |
| みずほフィナンシャルG | 4.00% |
| 本田技研工業 | 3.41% |
| 豊田自動織機 | 2.44% |
金融株や大型製造業が多く、いずれも自社株買い・増配余地の大きい企業群といえます。
株価チャート(半年)

惚れ惚れする程の綺麗な右肩上がりです。
他の高配当ETFとの比較:2080の立ち位置
2080は高配当ETFとは設計思想が異なりますが、有名どころと比較することで特徴が際立ちます。
| ETF名 | 銘柄コード | 信託報酬 | 運用方針 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| PBR1倍割れ解消推進ETF | 2080 | 0.99% | アクティブ | 企業価値改善を狙う |
| 日経平均高配当株50ETF | 1489 | 約0.31% | パッシブ | 安定配当重視 |
| iシェアーズ高配当ETF | 1478 | 約0.21% | パッシブ | 高配当・低コスト |
信託報酬だけを見ると2080は高めに見えますが、企業改革そのものをリターン源泉とする戦略は、他のETFにはない性格です。
つまり、今すでに高配当ではなくこれから変わる企業に賭けるETFという点が、最大の差別化要素といえます。
1489や399Aの利回りが約3.5~4%だとしたら、2080の利回りは2.5~3.0%のレンジとなります。今の高配当ではなく、将来の増配と株価上昇を狙うという立ち位置です。
2080のメリットとデメリット
メリット
2080の魅力は、東証の改革と同じ方向を向いた投資ができる点にあります。
PBR1倍割れ企業は、改善すれば株価上昇余地が大きい領域です。
また、数百銘柄に分散されているため、個別株リスクを抑えられ、構造改革の波に広く乗れるという利点もあります。
長期的には、自社株買い・増配・資本効率改善が進むことで、価格上昇と分配金の両面を狙える構造となっています。
デメリット
一方で、注意点も存在します。
まず、信託報酬はインデックスETFより高く、短期売買には不向きです。また、日本株100%の構成であるため、地域分散の効果は限定的です。
さらに、企業改革が進まなければ、リターンが想定より伸びない可能性もあります。構造変化に賭ける投資である以上、時間軸は長めに取る必要があります。
2080をどう活用するか:長期投資の視点から
2080は、日本株の再評価をテーマにしたETFです。
そのため、短期的な値動きよりも、日本企業が変わる過程に投資するという姿勢が適しています。
実践的には、NISA成長投資枠での長期保有で全資産の一部として組み入れつつ、海外株ETFとの併用といった形が現実的でしょう。
高配当ETFが今の利回りを重視するのに対し、2080は将来の評価改善を重視するETFです。
この視点の違いは、ポートフォリオに違いと新しい意味をもたらしてくれる魅力があります。
結論:2080は日本株復活の物語に投資するETF
PBR1倍割れ解消というテーマは、一時的な流行ではなく、日本市場の構造問題への対応です。
2080は、その流れを投資対象として具体化したETFといえます。
割安な企業が見直される過程に参加できる点は、単なる高配当ETFや指数連動型ETFとは異なる魅力です。
日本株は変わらない市場から変わらざるを得ない市場へと移行しています。
2080への投資とは、その変化を信じるかどうかを問う選択でもあります。
2080は「企業価値の改善」を狙うETFですが、安定した分配金を重視したい方には高配当ETFという選択肢もあります。代表的な高配当ETFである399Aや1489、1698については、以下の記事で詳しく解説しています。
そもそもETFは、個別株に比べて分散投資がしやすく、コスト面でも有利な金融商品です。ETFという仕組み自体のメリットについては、以下の記事で詳しく整理しています。




