最近、日本株の中で存在感を増しているのが重工株です。
防衛費の増加、エネルギー問題、宇宙開発など、ニュースを見ていると、三菱重工・IHI・川崎重工といった企業の名前をよく目にするようになりました。
同じ重工メーカーですが、実はそれぞれ得意分野や業績の特徴が違います。
今回は、投資目線でこの3社を整理してみたいと思います。
(※データは主に各社の2026年3月期第3四半期決算および公式IR資料を参考)

重工3社の規模
まず規模感を見てみます。
2026年3月期の通期見通しベースでは以下の通りです。
第3四半期累計売上でも
- 三菱重工:3兆3269億円
- 川崎重工:1兆5614億円
- IHI:1兆1293億円
となっており、日本の重工メーカーの中では三菱重工が圧倒的な規模となっています。
三菱重工の特徴
三菱重工の特徴は、国家レベルの事業が多いことです。
三菱重工業の事業例
- 防衛装備
- 戦闘機関連
- 宇宙ロケット
- 発電設備
- 原子力
など、日本の産業・安全保障に関わる分野で重要な役割を担っています。
最近は世界的に防衛費が増加しており、三菱重工はその恩恵を受けやすい企業と言われています。
実際、日本の防衛関連企業の中でも中核的なポジションにあります。
2026年3月期第3四半期累計の業績は
- 売上収益:3兆3269億円(前年比+9.2%)
- 事業利益:3012億円(+25.5%)
- 親会社帰属利益:2109億円(+22.6%)
と、大幅な増収増益となりました。
特に、航空・防衛・宇宙・エナジーのセグメントが業績を押し上げています。
IHIの特徴
IHIは、航空エンジン分野が強い企業です。
ボーイングやエアバスなどの航空機エンジンに関わる事業を展開しており、整備(アフターマーケット)も重要な収益源となっています。
2026年3月期第3四半期の業績は
- 売上収益:1兆1293億円(前年比−1.8%)
- 営業利益:1025億円(−0.9%)
- 親会社帰属利益:850億円(+10.7%)
売上はやや減少しましたが、最終利益は増加しています。
これは、防衛事業の拡大と車両過給機の需要増などが影響しています。
また過去12四半期を見ると、営業利益率・純利益率・EPSなどは改善傾向にあり、収益性は回復基調です。
一方で自己資本比率は23.0%(第3四半期末)と、30%を下回る水準で、財務面はやや弱めです。
また、航空エンジン整備費の増加・海外事業の採算などが課題として指摘されています。
川崎重工の特徴
川崎重工は、エネルギーーと水素技術が注目されている企業です。
事業は
川崎重工の事業例
- 航空宇宙
- 鉄道車両
- エネルギー
- ロボット
- バイク
など幅広い分野に展開しています。
2026年3月期第3四半期の業績は
- 売上収益:1兆5614億円(+10.9%)
- 親会社帰属利益:658億円(+49.1%)
と大きく改善しています。
特に、エネルギーソリューション&マリン部門の利益が前年比56%増と大きく伸びました。
一方でパワースポーツ(バイクなど)の利益は減少しており、部門ごとのばらつきも見られます。
自己資本比率は24.6%(第3四半期末)となっています。
収益性・財務の比較
重工3社の特徴を整理するとこうなります。
三菱重工業
IHI
川崎重工業
また自己資本比率は、三菱重工:35.9%・川崎重工:24.6%・IHI:23.0%となっています。
重工業は設備投資が大きく、どうしても財務レバレッジが高くなりやすい業界でもあります。
投資指標の比較(PER・PBR・ROE)
投資の観点では、企業の収益性や株価評価を示す指標も参考になります。
重工3社の主な指標を整理すると次のようになります。
| 指標 | 三菱重工 | IHI | 川崎重工 |
|---|---|---|---|
| 時価総額 | 約16.0兆円 | 約4.1兆円 | 約2.7兆円 |
| PER | 約61.5倍 | 約32.3倍 | 約30.3倍 |
| PBR | 約6.0倍 | 約7.2倍 | 約3.4倍 |
| ROE | 約10.7% | 約26.3% | 約13.2% |
| 配当利回り | 約0.5% | 約0.5% | 約1.0% |
| 1株配当 | 24円 | 20円 | 166円 |
指標から見える重工3社の特徴
表を見ると、それぞれの特徴が少し見えてきます。
三菱重工
IHI
川崎重工
同じ重工メーカーでも、収益性や市場評価には違いがあることが分かります。
なぜ今、重工株が注目されているのか
背景にはいくつかのテーマがあります。
- 防衛費の増加
- エネルギー問題
- 宇宙開発
- インフラ更新
つまり、国策テーマと相性が良い業界と言えます。
ニュースと株価が連動しやすいのも特徴です。
ただし投資視点では、為替変動に地政学と政策変更リスク、そしてエネルギー転換の不確実性といった要因もあります。
重工業は大型案件が多く、業績の変動が大きくなることもあります。
まとめ
三菱重工、IHI、川崎重工。
同じ重工メーカーでも強みはかなり違います。
- 三菱重工:防衛・宇宙
- IHI:航空エンジン
- 川崎重工:エネルギー・水素
ニュースを見ながら、この話題はどの企業に関係しているのかという視点で見ると、株式市場も少し面白くなるかもしれません。
なお、2026年3月期の通期見通しは
- 三菱重工:事業利益4100億円
- IHI:営業利益1600億円
- 川崎重工:事業利益1450億円
となっており、今後の決算次第では上振れの可能性もあります。
投資を検討する場合は、最新のIR資料や決算情報も確認することが重要です。
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