株式投資において、配当金は"もうひとつの安定収入"として人気があります。
とはいっても、11月に権利確定を迎える高配当銘柄は比較的数が少ないです。
今回は、2025年11月の権利落ち銘柄の中でも、「高配当×業績堅調×将来性」を兼ね備えたおすすめの3銘柄、enjin(7370)・佐鳥電機(7420)・ラクト・ジャパン(3139)を紹介します。

11月の権利落ち銘柄に注目する理由
日本株の多くは3月や9月決算が中心ですが、11月決算企業は希少です。
そのため、年間通じて配当を受け取れるようにしたいと考える投資家にとって、11月銘柄は非常に貴重な存在です。
また、11月は年度末・年度初期の中間地点に位置し、企業業績の進捗が比較的見えやすい時期でもあります。
ここで配当を出す企業は、財務体質が安定している傾向にあります。
【1】enjin(7370)
成長と還元を両立する「安定型DX企業」
enjinは、企業のDX支援やSNSマーケティング、クリエイター支援などを展開する新興企業です。
PR支援サービスを主力とする企業で、中小企業や医療機関向けにメディア露出を最適化するプラットフォームを提供しています。
2025年現在、デジタルマーケティングの需要拡大が追い風となり、売上高は前年比微増の見込み。
一見「成長株」の印象が強いですが、同社は近年、安定した利益水準と高い株主還元姿勢を示しており、高配当株としても注目を集めています。
基本データ(2025年10月時点)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 855円 |
| 予想PER | 10.02倍 |
| PBR | 1.35倍 |
| 予想配当利回り | 4.65% |
配当推移
| 年度 | 1株配当(円) |
|---|---|
| 2022年 | 34.5 |
| 2023年 | 35.8 |
| 2024年 | 36.8 |
| 2025年 | 38 |
配当金は毎年増加傾向にあり、安定した増配基調が続いています。
PERも10倍前後と適正水準で、「成長+配当」両取りを狙える銘柄です。
2025年5月期 上期決算は減益も、通期黒字は維持。
ただし、2025年5月期第2四半期累計(6~11月)の実績は、
- 営業利益:約4.1億円(前年同期比 ▲19.5%)
- 経常利益:4.0億円(同 ▲25.5%)
と、売上減+コスト増(人件費等)により大幅減益となりました。
一方、通期予想は据え置きで、
- 営業利益:9.2億円(前年比 +9%)
- 経常利益:9.2億円(同 +9%)
と、下期での大幅増益により黒字転換を見込む計画です。
上期の進捗率は約74.5%と高水準で、下期偏重の事業構造が明確に表れています。
下期の回復力と通期計画の維持が、安定型企業の底力を示しています。
【2】佐鳥電機(7420)
安定した商社ビジネスと着実な増配が魅力
佐鳥電機は、半導体や電子部品の卸売を専門とし、自動車・産業機器向けに強固なネットワークを築き、国内外の製造業を支えています。
ここ数年は、EV・デジタル家電・産業機械向けの需要が堅調で、利益率が改善。
財務体質も強固で、自己資本比率60%超・無借金経営を維持しています。
基本データ(2025年10月時点)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 1,890円 |
| 予想PER | 10.5倍 |
| PBR | 0.83倍 |
| 予想配当利回り | 4.73% |
配当推移(5年以上)
| 年度 | 1株配当(円) |
|---|---|
| 2022年 | 62 |
| 2023年 | 70 |
| 2024年 | 80 |
| 2025年 | 86 |
堅実な業績を背景に、安定した増配傾向が続いています。
株価はやや地味ながら、PBR1倍割れ・高利回り・業績安定の三拍子がそろった優良銘柄といえます。
萩原電気HDとの経営統合へ
佐鳥電機と萩原電気ホールディングスは、2026年4月1日に共同持株会社を設立する形で経営統合する予定です。
新会社名は 「MIRAINI(ミライニ)ホールディングス」。
統合後は、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場予定です。
この統合は、拡大する電子部品・半導体市場の需要増に対応するためのもので、両社の強みを融合し、
- 事業規模の拡大
- ソリューション提案力の強化
- グローバル展開の加速
を目指しています。
安定性に加えて成長ポテンシャルも増すことから、中長期で注目したい動きといえるでしょう。
【3】ラクト・ジャパン(3139)
海外展開で成長続く「食品×高配当」の優良株
ラクト・ジャパンは、乳製品や食肉などの食品原料を輸入・販売する商社。
主力はチーズやバターなどの乳製品で、海外メーカーとのネットワークを活かした調達力に強みを持ちます。
インバウンド回復や外食需要の増加も追い風となっています。
基本データ(2025年10月時点)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 3,510円 |
| 予想PER | 8.16倍 |
| PBR | 1.17倍 |
| 予想配当利回り | 4.82% |
配当推移(5年以上)
| 年度 | 1株配当(円) |
|---|---|
| 2022年 | 40 |
| 2023年 | 48 |
| 2024年 | 80 |
| 2025年 | 132 |
2022年以降、急速な増配トレンドが続いており、2025年はついに130円台に到達。
配当性向を抑えつつも、利益拡大を背景に積極的な株主還元を実施しています。
食品セクターの中でも業績安定性が高く、長期保有に向いた銘柄といえるでしょう。おまけに優待も有ります。
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【まとめ】11月の高配当株は「分散投資の隠れた主役」
| 銘柄名 | 配当利回り | PER | PBR | 増配傾向 |
|---|---|---|---|---|
| enjin | 4.65% | 10.02倍 | 1.35倍 | ◎ |
| 佐鳥電機 | 4.73% | 10.5倍 | 0.83倍 | ◎ |
| ラクト・ジャパン | 4.82% | 8.16倍 | 1.17倍 | ◎ |
これら3銘柄はいずれも、11月に権利落ちする数少ない高配当株であり、配当だけでなく業績・財務・将来性のバランスが取れています。
年間を通じて安定的に配当を受け取るためには、権利月の分散が重要。
3月・9月銘柄が多い中で、11月銘柄を組み込むことはポートフォリオの安定化に大きく貢献しますね。
おわりに
短期の値動きに振り回されず、企業の本質的な成長と安定した配当を重視する投資姿勢こそ、長期で報われるスタイルです。
11月の高配当株をうまく組み合わせることで、毎月の配当生活に一歩近づくことができます。
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