家賃債務保証という生活に密着した分野で、安定した成長を続けている企業があります。それが 株式会社イントラスト(7191) です。
賃貸住宅市場は景気に左右されにくく、一定の需要が続く生活インフラです。その中心で保証サービスを提供する同社は、収益構造が堅く、配当成長も著しいことから、FIREを目指す投資家やインカム投資家にとって長期保有の有力候補と言えます。
この記事では、事業内容・業績推移・財務の強さ・配当成長・投資価値 を、最新決算(2026年3月期2Q)を交えて解説していきます。

イントラストとは?家賃保証を中心とした「生活インフラ企業」
イントラストの中核は、家賃債務保証事業 です。
賃貸入居者が家賃を滞納した際に、管理会社や大家へ代位弁済する仕組みで、入居者の審査からリスク管理までをワンストップで担います。
家賃保証は日本で広く浸透しており、東京・大阪など都市部の賃貸管理会社にとっても欠かせない仕組みになっています。
同社の特徴は以下の点にあります。
- 収益の9割以上を占める主力事業で安定性が高い
- 新規契約の初回保証料と、既存契約の更新保証料が収益の2本柱
- 契約数増加が継続しており、ストック収益が積み上がる構造
- 景気後退局面でも住宅需要の底堅さに支えられやすい
家賃という生活の基盤を扱う事業は、他業種と比べてもボラティリティが低く、長期保有の安心感があります。
最新決算(2026年3月期2Q)から読み解く成長力
2026年3月期第2四半期では、大幅な増収増益 を達成しました。
主な決算数値
| 指標 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 58.6億円 | +15.8% |
| 営業利益 | 13.88億円 | +22.4% |
| 経常利益 | 14.0億円 | +22.8% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 8.79億円 | +33.6% |
利益率の改善が目立ち、純利益は30%超えの伸びを記録しました。
背景には以下の動きがあります。
- 新規契約の増加による 初回保証料の伸長
- 契約件数全体の増勢による 更新保証料の増加
- 不良債権管理体制の強化による利益率改善
安定的に契約数が積み上がっていくストック型のビジネスが、業績の右肩上がりを支えています。
財務の安定性と収益性|高い自己資本比率とROE20%超え
イントラストの評価ポイントは攻めと守りのバランスの良さでしょう。
安定性:自己資本比率61.8%の強固な財務
賃貸保証事業は代位弁済が発生する特性上、財務基盤が重視されます。
その点で、イントラストの自己資本比率61.8%は非常に高く、倒産リスクの低い企業といえます。
総資産は121億円まで拡大し、現金預金も増加。財務の堅さが際立ちます。
収益性:ROE20.85%という優良企業の水準
一般にROE10%で優良と言われる中、イントラストは 20%超え。
高収益体質かつ効率のよい経営が続いていることがわかります。
さらに、EPS(1株利益)も増加傾向が続いており、株主価値の積み上げが順調です。
キャッシュフロー改善が示す「強いビジネスモデル」
営業キャッシュフローは 9.49億円(前年比 +69.1%) と大幅に改善。本業の稼ぐ力が強まっている証拠です。
投資CFは設備投資によってマイナス、財務CFは配当支払いでマイナスですが、いずれも健全な動きであり、キャッシュの流れに問題はありません。
成長性:売上もEPSも右肩上がり
イントラストの成長性を支えるのは、以下の3点です。
- ①人口移動が続く都市部の賃貸需要
- ②家賃保証の社会的浸透
- ③保有契約数の積み上がり
売上は12四半期連続で前年同期比プラス。EPSも継続的に改善しています。
フリーキャッシュフローも改善しており、持続的成長の土台は固いと言えます。
通期予想も増収増益(売上120億、営業利益26億)で、強いトレンドが続きます。
配当推移|6年で約4倍に増えた「連続増配企業」
イントラストの魅力は、地味なようで実は大きい 配当成長 にあります。
配当金の推移
| 年度 | 配当 |
|---|---|
| 2020 | 9円 |
| 2021 | 11円 |
| 2022 | 12円 |
| 2023 | 14円 |
| 2024 | 18円 |
| 2025 | 25円 |
| 2026(予) | 35円 |
わずか数年で約4倍。これは立派な配当成長株です。
現在の株価1,082円を前提にすると、利回り3.23% と、増配企業としては十分魅力的な水準。
PER15.6、PBR3.19と数値はやや割高に見えますが、成長力と収益モデルの安定性を考えると妥当とも言えます。
株価チャート
凸凹は激しいですが、じわじわと上昇中です。

イントラストはどんな投資家に向いているか?
イントラストは以下のような投資家に向いています。
- 安定して増えるストック収益が好き
- 生活インフラ系の堅いビジネスを重視
- 中小型株の配当成長に魅力を感じる
- ROE20%超えの高収益企業を探している
- FIREの土台となる「減らないキャッシュフロー」を重視
家賃保証は景気敏感ではなく、一定の需要が続くため、景気後退局面でも値動きが比較的落ち着きやすい点もメリットです。
まとめ|イントラストは長期保有に向く「安定成長×高収益」の優良企業
イントラストの魅力を一言でまとめるなら、生活インフラを支える安定事業 × 高い収益性 × 着実な配当成長 です。
- 家賃保証という不況に強い事業
- 契約数増加によるストック型の強い収益構造
- ROE20%超・自己資本比率61%の高い財務健全性
- 6年間で配当が約4倍に増加
- 最新決算で大幅な増収増益
中長期でじっくり育てていくタイプの銘柄であり、FIREを目指す投資家のサテライトとして、十分検討に値する企業だと言えます。
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