株式市場を語るうえで、欠かせない存在、それは日本取引所グループ(8697)です。
日々の売買を支える取引インフラを担う、日本経済の「心臓」とも言える存在。
株式投資をしている人なら、必ずその恩恵を受けている企業です。
新NISAの開始以降、投資ブームが再び熱を帯びていますが、その中心で静かに利益を積み上げているのがJPXです。
取引量が増えれば増えるほど利益が伸びる、まさに「市場の成長=企業の成長」を体現しています。
この記事では、そんなJPXの事業内容や業績の推移、配当の魅力、そして投資対象としての価値を、長期投資・FIREの視点から丁寧に見ていきます。

事業内容:日本の投資市場を動かす“舞台装置”
JPXは、東京証券取引所・大阪取引所・日本証券クリアリング機構を傘下に持つ、日本の資本市場インフラ企業です。
主な事業は以下の通りです。
- 金融商品取引所の運営(株式・ETF・デリバティブなどの売買市場)
- 上場関連サービス(新規上場・維持費用など)
- 市場データの提供(株価情報、指数データの販売)
企業が株を上場し、私たち投資家がその株を売買できるのは、JPXが「市場のルール」と「取引の場」を提供しているからです。
この構造的なポジションは、JPXを景気変動に強い安定企業にしています。
業績推移:安定成長と堅実な増配が続く
JPXの業績はここ数年で着実に拡大しています。
新NISAの追い風を受け、個人投資家の取引増加・IPO件数の回復などが利益を押し上げています。
| 決算期 | 売上高(百万円) | 年間配当(円) |
|---|---|---|
| 2022年3月期 | 135,432 | 36.0 |
| 2023年3月期 | 133,991 | 31.5 |
| 2024年3月期 | 152,871 | 45.5 |
| 2025年3月期 | 162,230 | 45.5 |
| 2026年3月期(予想) | 176,000 | 50.0 |
業績は右肩上がりで、2026年3月期は過去最高益更新が見込まれています。
また、年間配当は5期連続で上昇基調にあり、株主還元への姿勢も安定しています。
取引所という独占的なビジネスモデルに支えられ、JPXのキャッシュフローは極めて堅実です。
金融機関のような貸倒リスクもなく、“安定×利益率”の高さが際立ちます。
以下は、2025年10月29日時点の株価チャートです。
2023年の急上昇、そして力強い長期の推移。

魅力①:景気に左右されにくい「金融インフラ企業」
JPXの強みは、景気に過度に依存しない安定性です。
景気が良ければ売買が活発になり、悪くなってもボラティリティ上昇で取引量が増える。
つまり、どんな相場でも収益が生まれる構造を持っています。
また、上場企業が増えるほど上場維持費が積み上がるため、長期的な固定収入も拡大。
一度構築された市場インフラは容易に代替できないため、JPXはまさに盤石な独占企業と言えます。
魅力②:個人投資家の拡大と「新NISA特需」
2024年に始まった新NISA制度は、日本人の投資行動を大きく変えました。
証券口座の開設数は過去最高水準を更新し、取引量も増加。
その直接的な恩恵を受けているのがJPXです。
市場に新しい資金が流入するたびに、売買手数料収入が増える。
まさに、日本の投資文化の広がり=JPXの成長という構図。
魅力③:FIRE投資家に向く「安定×配当」の組み合わせ
FIREを目指す投資家にとって、JPXのような銘柄は精神的な安定剤でもあります。
高配当ではありませんが、配当性向はおおむね60〜70%代と高く、利益が出れば素直に株主へ還元される設計。
さらに、業績の波が小さいため、減配リスクが極めて低いのも特徴です。
市場が上下しても、取引自体は続くからです。
株価指標(2025年10月29日時点)
- 株価:1,686円
- PER(株価収益率):26.7倍
- PBR(株価純資産倍率):5.33倍
- 配当利回り:2.96%(年間配当50円予想ベース)
PER・PBRともにやや高めに見えますが、これは「安定的な収益と独占的地位」に対する評価の表れ。
利回りは3%近くあり、増配傾向も続くため、長期的に見るとインカム+キャピタルの両取りが狙える銘柄です。
まとめ:市場と共に歩む、堅実な“成長インフラ株”
日本取引所グループは、日々の取引を支える「市場の心臓部」です。
株価の派手な値動きこそありませんが、その安定性と成長性のバランスは、長期投資家にとって極めて魅力的です。
FIREを目指す上で、「攻め」の成長株だけでなく、こうした守りの安定株を組み入れることは大切です。
配当を受け取りながら、じっくりと資産を増やす。
JPXはまさに、そんな投資スタイルに寄り添う一社です。
関連記事


