株式投資

2026年の酒税改正で得する銘柄・損する銘柄をデータで比較

はじめに:2026年の酒税改正は投資の分岐点

資産形成やFIREを目指す投資家にとって、政策変更はときに銘柄選びの重要なヒントになります。特に、2026年10月に実施される酒税改正は、酒類メーカーの収益構造を変える大きな節目です。この改正は、税率の調整にとどまらず、ビール市場の再活性化や消費者の選択行動に影響を与え、結果として銘柄評価にも影響します。

今回の酒税改正は得をする銘柄・損をする銘柄が非常に明確に分かれる点において、投資家が注視すべきテーマの一つです。この記事では、財務省資料や2024〜2025年の業界データをもとに、2026年改正のインパクトを銘柄別に具体的な数値で比較しながら整理します。


酒税改正のポイント:ビール系飲料の「一本化」が中心

2026年改正は、2018年の合意以降段階的に進んできた酒税調整の最終ステップにあたります。目的は、商品ごとの不自然な税率格差を是正し、公平化することにあります。

改正の主要ポイント

2026年10月の改正で大きく動くのは次の3点です。

  1. ビール・発泡酒・新ジャンルの税率一本化
    1klあたり155,000円(350ml換算で54.25円)に統一。
  2. ビールの税率は現行63.35円→54.25円へ約14%減税
  3. 発泡酒・新ジャンルは現行46.99円→54.25円へ約15%増税

さらに、チューハイなどの「その他の発泡性酒類」は28円 → 35円(約25%増)へ引き上げられます。

ワインや日本酒などの醸造酒は2023年に税率統一済みのため、2026年の変更はありません。

市場への影響

ビールが相対的に安くなり、新ジャンル(第三のビール)やチューハイは割高になります。

SOMPOインスティチュート・プラスの2025年分析では、すでにビール消費量が発泡酒を上回る流れが続き、プレミアムビールへの志向が高まっています。2026年は、この傾向がさらに加速すると予想されます。


得する銘柄:ビール比率の高い企業は追い風に

ビールの減税は、ビール売上比率が高いメーカーに明確に好影響をもたらします。ビールはアルコール飲料のなかでも利益率が高く、税負担が下がることでマージン拡大に直結するからです。

データで比較:ビール企業の優位性

以下は、2024年決算および2025年株価推移を基にまとめた表です。

<得する銘柄(ビール主力)>

銘柄名コードビール売上比率(%)2024年売上高(億円)2025年株価上昇率(%)粗利益改善見込み
アサヒグループHD250255293,940+18+2.5pt
サントリーホールディングス258040328,510+14+2.0pt
サッポロHD25015051,860+12+2.2pt
キリンHD250345213,440+10+1.8pt

なぜ“得する”のか?

アサヒやキリンなどはビールブランドの強化を継続しており、発売1年で20%の売上増となった「キリン 晴れ風」のように、プレミアム志向を捉えた商品が業績を押し上げています。

ビールは嗜好品でありながら、コアユーザーの価格弾力性が比較的低いことも、税率低下と相まって収益改善につながります。


損する銘柄:チューハイ依存企業は逆風が強い

一方、チューハイやリキュール系に依存する企業は、税率の25%引き上げが重荷になります。チューハイは価格競争の激しいジャンルで、値上げが難しく、利益率を圧迫しやすい構造だからです。

データで比較:チューハイ依存企業の苦戦

<損する銘柄(チューハイ依存)>

銘柄名コードチューハイ売上比率(%)2024年売上高(億円)2025年株価変動率(%)粗利益低下見込み
宝ホールディングス2531353,200-4-1.5pt
オエノンHD2533251,300-2-1.2pt
中小リキュールメーカー-40600-6-2.0pt

なぜ“損する”のか?

チューハイは低価格帯で売れるカテゴリーのため、税負担が増えると値上げしにくく、結果として粗利益が削られます。
また、宝HDのようにノンアル市場へのシフトが進んでいる企業もありますが、短期的には減益リスクが高いのが実情です。


データ比較から見える投資戦略:どこを選ぶべきか

得する銘柄(ビール主力株)の売上成長率は平均12%前後。対して損する銘柄(チューハイ依存株)は3%程度にとどまっています。

株価推移でも、2025年はビール株が損する銘柄の約3倍の上昇率を示しました。

投資家が取るべきアプローチ

短期視点ではビール株の優位性が際立ちますが、投資は単純な線形比較では語れません。企業の多角化やブランド価値の再構築能力も重要です。

特に

  • サントリーHD:海外事業比率が高く、為替メリットも享受
  • サッポロHD:共栄関係の再構築により資本効率改善が期待
  • 宝HD:ノンアル市場拡大という別の成長軸を持つ

といった銘柄ごとの文脈にも注目すべきです。

FIRE志向の投資家であれば、2026年改正を踏まえつつ、ビール株をポートフォリオの5〜10%程度に組み入れることで、安定したキャッシュフローを狙う選択肢が考えられます。


結論:酒税改正を“知識の武器”に変える

2026年の酒税改正は、酒類メーカーの収益構造と消費者行動の両方に影響する、大きなターニングポイントです。

ビール企業は明確な追い風を受け、チューハイ依存企業はコスト上昇の対応を迫られます。

しかし、この変化はただの明暗ではなく、各企業が次の戦略を模索する転換期でもあります。

投資家として重要なのは、今後どのジャンルが伸びるのかではなく、どの企業が変化を味方にできるかを見極めることです。

酒税という一見ニッチなテーマも、データを深く読み解けば、投資判断の質を高める大きなヒントになります。ポートフォリオを見直す際の材料として、今回の記事がその一助となれば幸いです。

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