ここ最近のニュースを見ていると、アメリカとイランの情勢には再び緊張感が漂っているように感じられます。
本来であれば平穏な日常が続いてほしいと願うばかりですが、国際情勢の不安定化は私たちの生活や資産にも少なからず影響を及ぼします。
アメリカとイランの緊張関係が報じられるたびに、もし軍事衝突が起きたら株価はどうなるのかと不安を感じる投資家の方は、私だけではないはずです。
地政学リスクは予測が難しく、感情的な売買を招きやすいテーマです。しかし、過去の市場データを振り返ると、戦争やテロといった有事に対する株式市場の反応には、ある程度の共通パターンが見られます。
本記事では、アメリカがイランに軍事攻撃を行った場合に想定される株価への影響を、過去の有事事例と照らし合わせながら整理します。
短期的な値動きだけでなく、長期的な投資姿勢についても考察したいと思います。

アメリカ・イラン情勢と市場の関係
近年、アメリカとイランは核開発問題や中東地域の軍事的緊張を背景に、断続的に対立を深めています。仮に軍事行動が現実化した場合、市場がまず意識するのは以下の3点です。
1 原油油供給への影響
2 インフレ圧力の再燃
3 世界経済への波及リスク
特にホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、この地域の不安定化はエネルギー価格に直結します。原油高は企業収益を圧迫し、株式市場には逆風となりやすい構造です。
戦争が起きた直後の株式市場の動き
戦争や大規模な軍事衝突が発生した直後、市場はリスク回避に傾く傾向があります。典型的な反応は次の通りです。
株式市場への影響
✅株式市場は短期的に下落
✅原油価格は上昇
✅金(ゴールド)は買われやすい
✅為替は円高やドル高に振れやすい
この局面では、企業業績よりも不確実性そのものが嫌気され、投資家心理が冷え込みます。ただし、この下落は必ずしも長期的なトレンド転換を意味するものではありません。
過去の有事と株価の推移
歴史を振り返ると、有事は一時的な株安を引き起こすものの、市場は比較的早期に回復してきました。代表的な事例を整理します。
真珠湾攻撃(1941年)
真珠湾攻撃直後、ダウ平均株価は約4%下落し。しかし、その後の戦時経済の拡大により、長期的には株価は上昇基調となりました。短期的なショックと長期的な経済成長が必ずしも一致しない例です。
9.11同時多発テロ(2001年)
米国市場は一時閉鎖され、再開後にS&P500は大きく下落しましたが、数か月後には回復に向かいました。予測不能な事象であっても、経済の基盤が維持されれば市場は回復力を示します。
湾岸戦争・イラク戦争
湾岸戦争では原油価格の急騰を背景に株価は一時的に下落しましたが、戦争終結後は回復しています。イラク戦争でも、開戦前の不透明感が解消された後、市場は上昇局面に入りました。
有事と株価の関係を整理した表
| イベント | 発生年 | 初期反応 | 最大下落幅 | 回復までの傾向 | 1年後の株価動向 |
|---|---|---|---|---|---|
| 真珠湾攻撃 | 1941年 | 急落 | 約20% | 時間をかけ回復 | プラス |
| 湾岸戦争 | 1990年 | 下落 | 約17% | 終戦後に回復 | プラス |
| 9.11テロ | 2001年 | 急落 | 約12% | 約1か月で底打ち | 回復 |
| ロシア・ウクライナ侵攻 | 2022年 | 下落 | 約5% | 数か月で落ち着く | 小幅回復 |
このように、有事の直後は下落しても、1年後には回復している例が多いことが分かります。
アメリカがイランを攻撃した場合の想定シナリオ
限定的な軍事行動の場合
核施設などへの限定的な攻撃にとどまる場合、市場の反応は次のように想定されます。
このケースでは、不透明感が解消されることで、比較的早期に市場が落ち着く可能性があります。
紛争が拡大した場合
ホルムズ海峡封鎖など、エネルギー供給に深刻な影響が出る場合には、株価下落の長期化、インフレ再燃、世界景気減速の懸念といった悪循環が生じる可能性があります。この場合、下落幅は10%以上になるシナリオも否定できません。
日本株への影響
日本は原油の多くを輸入に依存しているため、中東情勢の悪化は日本経済にとってマイナス要因です。
日本株への影響
✅原油高によるコスト増
✅円高による輸出企業の採算悪化
✅日経平均は下げやすい
一方で、商社や資源関連株、防衛関連株は、有事による資源価格の上昇や防衛費拡大への期待が収益面での下支えとなり、相対的に底堅く推移する傾向があります。
投資家はどう行動すべきか
有事の際に最も重要なのは、短期的な値動きに感情で反応しないことです。
第一に、分散投資の重要性が再認識されます。株式だけでなく、債券や金など複数資産を組み合わせることで、リスクを和らげることができます。
第二に、長期視点を維持することです。FIREや資産形成を目指す投資家にとって、短期の下落はむしろ積立投資の機会となる場合があります。
第三に、有事は市場の効率性を実感する局面でもあります。悪材料は急速に価格へ反映されるため、事前に想定しておくことで冷静な判断が可能になります。
まとめ:戦争リスクをどう捉えるか
アメリカがイランを攻撃した場合、株価は短期的に下落する可能性が高いと考えられます。しかし、過去の有事の多くは、時間の経過とともに市場が回復してきました。
重要なのは、戦争=長期暴落と短絡的に考えないことです。
地政学リスクは投資における避けられない要素の一つであり、冷静な分析と長期的な視点が資産形成を支えてくれます。
暴落時の代表的な対応についてまとめています。
有事の金と呼ばれる理由がしっかりあります。
投資が怖くてやめたいと感じるのは、異常ではなく多くの投資家が通る、正常な心理反応です。



