FIRE(早期リタイア)を目指す人にとって、「3000万円でFIREは可能なのか?」という疑問は、一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
結論から言えば、生活費や家族構成、投資利回り次第では可能だと言えます。
この記事では、3000万円でFIREを達成する現実的な条件や戦略を解説し、単身・夫婦・家族持ちの場合のシミュレーションも紹介します。

3000万円でFIREできるのか?基本条件
まず、FIREでよく使われる「4%ルール」を参考に、年間生活費を計算します。
年間生活費 = 資産 × 取り崩し率
年間生活費 = 3000万円 × 0.04 ≒ 120万円
つまり、3000万円でFIREする場合、年間の生活費は約120万円が目安です。
月に換算すると約10万円。単身でミニマルな生活を送る場合に現実的な条件です。
家族構成によっても可能性は大きく変わります。
- 単身世帯:可能性有り。生活費を抑えれば、(もちろんギリギリではありますが)十分現実的
- 夫婦世帯:生活費が多いため、生活費の大幅削減か副収入が必要
- 子持ち4人家族:生活費がさらに多く、3000万円だけではFIREは長期的に厳しい
3000万円でFIREを可能にする戦略
支出を徹底的に見直すことが肝となります。
家賃や住宅ローン、光熱費など固定費を削減し、食費や娯楽費などの変動費も最小限に抑えましょう。
また、副業やフリーランスで生活費の一部を補うのも有効ですね。
資産運用で収入を増やすことも重要です。
高配当株やETFを活用して配当金を生活費に充てることで、資産を大きく減らさずに生活できます。
配当金や分配金で年利3%を目安に計画を立てることが現実的なラインです。
さらに、パートタイムや副業で生活費を補うハイブリッド型FIREも選択肢に入ります。
副収入を得ることで取り崩し率を抑え、資産寿命を延ばすことが可能です。
シミュレーション例(資金が尽きるまでの概算)
それではシミュレーションです。
前提条件
- 資産:3000万円
- 年利:3%(複利計算)
- 年間生活費(家族構成別平均値)
- 単身世帯:204万円
- 夫婦世帯:316.8万円
- 子持ち4人家族:387.6万円
- 計算式:翌年資産 = 前年資産 × 1.03 - 年間生活費
単身世帯(年間生活費204万円)
年数 | 資産残高 | コメント |
---|---|---|
0年目 | 3000万円 | FIRE開始 |
1年目 | 2886万円 | 安定して生活可能 |
5年目 | 2634万円 | 安定して生活可能 |
10年目 | 2245万円 | 取り崩し+運用で維持 |
20年目 | 1330万円 | 生活費維持可能 |
30年目 | 246万円 | FIRE継続可能だが残高少ない |
31年目 | - | 資金尽きる |
単身世帯の場合、年間生活費を約200万円前後に抑えられるかどうかがFIRE継続の鍵になります。上のシミュレーションでは、運用益を得ながらも30年目で資金が尽きる結果となりました。
つまり「完全FIRE」というよりは、セミリタイアや週数日の労働で補う形が現実的といえるでしょう。
ただし、運用利回りが上がる・生活費をもう少し抑える・年金受給が始まるなどの条件が加われば、実質的に生涯FIREを維持することも十分可能です。
3000万円でも「自由な時間を優先する生き方」を始めることは決して夢ではありません。
夫婦世帯(年間生活費316.8万円)
年数 | 資産残高 | コメント |
---|---|---|
0年目 | 3000万円 | FIRE開始 |
1年目 | 2693万円 | 安定して生活可能 |
5年目 | 2042万円 | 取り崩し大きい |
10年目 | 1193万円 | 資産減少傾向 |
15年目 | 0万円 | 資金尽きる(概算) |
夫婦2人の場合、生活費が単身世帯よりも年間約100万円以上多くかかるため、同じ3000万円でも資金の減りが早くなります。
上のシミュレーションでは、15年目で資金が尽きる結果となり、「完全FIRE」としてはやや厳しい現実が見えてきます。
ただし、生活費を抑えたり、どちらか一方がパート・在宅ワークなどで月数万円の収入を得るだけでも資金寿命は大幅に延ばせます。
また、年金受給開始後の補助や高配当株の分配金収入を組み合わせれば、実質的なセミリタイア生活を長期間維持することも可能です。
要するに、夫婦世帯の場合は「完全に働かないFIRE」ではなく、ゆるく働きながらのFIRE(サイドFIRE)を目指すのが現実的な選択肢といえるでしょう。
子持ち4人家族(年間生活費387.6万円)
年数 | 資産残高 | コメント |
---|---|---|
0年目 | 3000万円 | FIRE開始 |
1年目 | 2682万円 | 生活費が大きく圧迫 |
5年目 | 1726万円 | 資産減少著しい |
7年目 | 0万円 | 資金尽きる(概算) |
4人家族となると、生活費が年間約390万円と大きく膨らみ、3000万円の資産では7年ほどで資金が尽きる結果となりました。
教育費や食費、住宅費などの負担を考えると、現実的にはFIRE達成はかなり難しい水準といえます。
そのため、子育て世帯の場合は、
- 共働きで一定の収入を維持する
- 投資よりもキャッシュフロー重視の家計管理に切り替える
- 教育費を奨学金・自治体支援などで分散する
といった対策が必須。
ただし、子どもが独立したあとの生活費は一気に下がるため、「一時的にFIREが難しい」だけであり、将来的には再度FIREを目指せる可能性も十分あります。
長期的な視点で段階的リタイア)を考えるのが現実的な戦略といえるでしょう。
ケースによっては可能
単身世帯であれば、資産3000万円でも長期的にFIREを実現することは可能です。
生活費を抑えつつ、配当や副業で収入を補うことで、さらに安定した生活が維持できます。
一方、夫婦世帯では生活費が高くなるため、資産3000万円だけでは約15年程度で資金が尽きる見込みです。
そのため、副収入を得たり生活費を削減したりする工夫が必須となります。
子持ち4人家族の場合は、資産3000万円だけでのFIREは短期間で困難です。
安定したリタイア生活を目指すには、追加の資産形成や収入源の確保が不可欠です。
まとめ
3000万円でFIREは、単身でミニマルな生活を送る場合には現実的です。
夫婦や子持ち世帯の場合は、生活費を抑えるだけでなく、資産運用や副業収入が必須となります。
FIREを成功させるには、生活費、家族構成、投資戦略、収入源のバランスを慎重に考えることが重要ですね。
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