積水化学工業(4204)は、住宅から高機能プラスチック、メディカルまで幅広い事業を展開する総合化学メーカーです。直近は市場環境が不安定な中でも売上高が過去最高を更新し、16期連続の増配(予定)を続けるなど、長期投資先として注目が高まっています。
私も100株長期保有中であり、今後手放す予定もありません。
本記事では、最新決算の動向や業績トレンド、事業ポートフォリオ、財務の安定性、配当政策まで、積水化学工業の魅力を深掘りします。

【結論】積水化学工業は「安定成長 × 連続増配 × 財務健全性」の三拍子がそろう企業
・売上高は過去最高を更新し、EPSも改善傾向
・自己資本比率60%
・16期間連続(予定)
・住宅・高機能プラ・メディカルの多角化で景気変動耐性が高い
結論として、積水化学工業は、長期投資、FIRE向けのインカム銘柄としても相性の良い企業です。
以下に詳しく説明していきます。
積水化学工業とは|4つの事業で構成される総合化学メーカー
積水化学工業は、生活インフラを支える事業と高付加価値領域の事業をバランスよく展開しています。
主力となる4つの事業セグメント
- 住宅事業
新築住宅「セキスイハイム」、リフォーム、分譲など。環境配慮型住宅の拡大が成長ドライバー。 - 環境・ライフライン事業
上下水道の配管システム、建材、インフラ補修材。ストック型需要が多く、不況期に強い領域。 - 高機能プラスチックス事業
車載部材、電子材料、航空機部材など。高付加価値の製品を世界展開しており、近年の成長を支える中心。 - メディカル事業
検査薬や医療デバイス。需要は底堅いものの、直近は検査薬需要が一時的に低調。
この4本柱により、景気変動の影響を受けにくい安定的な事業ポートフォリオとなっています。
2026年3月期・中間決算のポイント
2026年3月期の中間決算では、外部環境が厳しい中でも売上高は過去最高を更新しました。ただし利益は一部事業の不調により減益となっています。
中間業績(前年同期比)
| プロジェクト | 実績 | 2年前の同時期と比較して |
|---|---|---|
| 売上高 | 6,297億円 | +0.1% |
| 営業利益 | 454億円 | -6.7% |
| 経常利益 | 489億円 | +1.7% |
| 中間純利益 | 317億円 | -26.1% |
売上は堅調、利益は一時要因で減少という構図です。
利益減少の背景
・欧州での一時費用計上
・EV市場の成長鈍化(高機能プラが影響)
・検査薬需要の弱含み
一方で、高付加価値製品の販売増や住宅事業の棟単価上昇など、通期は回復が期待される材料も揃っています。
財務状況と安定性|自己資本比率60%台の盤石な基盤
積水化学工業の大きな魅力のひとつは、財務体質の強さです。
貸借対照表のポイント
| 索引 | 実績 |
|---|---|
| 総資産 | 1.37兆円(前年+440億円) |
| 自己資本 | 8,538億円 |
| 自己資本比率 | 60.0% |
| 有利子負債 | 横ばい |
総資産が増加しつつ自己資本比率60%と高水準を維持しており、投資余力は十分。ROE10%台と収益性も安定しています。
キャッシュフローの推移|本業の稼ぐ力は堅調
CFの動き(中間期)
・営業CF:498億円(前年同期比▲84億円)
・投資CF:▲198億円(前年同期比▲59億円)
・財務CF:▲119億円(前年同期比+258億円)
営業CFはやや減少したものの、依然として高水準。
現金残高は1,422億円と前年より213億円増加し、余力は十分確保されています。
中期・通期見通し|売上・利益とも過去最高を狙う
最新の通期見通しは次のとおりです。
| プロジェクト | 予想 | 早期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1.32兆円 | +2.0% |
| 営業利益 | 1,100億円 | +1.9% |
| 経常利益 | 1,120億円 | +0.9% |
| 現在の純利益 | 720億円 | -12.1% |
売上高と営業利益・経常利益は過去最高見込み。
純利益が減少するのは、前期にあった一過性プラス要因の反動が大きいためです。
住宅事業の棟単価上昇、リフォーム伸長、航空機需要の回復などが成長を後押ししています。
配当の魅力|16期連続増配へ。利回り3.1%前後と安定感が強い
積水化学工業は長年にわたり増配を続けており、FIRE・配当再投資との相性が良い企業です。
配当金推移
| 年 | 配当金 |
|---|---|
| 2020 | 46円 |
| 2021 | 47円 |
| 2022 | 49円 |
| 2023 | 59円 |
| 2024 | 74円 |
| 2025 | 79円 |
| 2026 | 80円(予定) |
直近数年の増配ペースは特に力強く、2020年から6年で配当が1.7倍となっています。
株価指標
・株価:2,577円
・PER:14.85倍
・PBR:1.29倍
・ROE:10.24%
・配当利回り:約3.1%
割高感はなく、国内株の中では適正~やや割安水準に位置します。
株価チャート
長期の上昇トレンドが確認できますね。

積水化学工業は長期投資に向いているのか
結論、堅実に成長を積み上げていくタイプの銘柄で、長期投資に向いている企業です。
その理由は次の3点です。
- 売上・EPSが安定的に成長している
- 財務の健全性が高く、景気後退局面にも強い
- 連続増配の実績と株主還元方針が明確
特に、配当目的の投資家にとっては、増配を続けながら本業の利益も改善していくという理想的なインカム銘柄のひとつと言えます。
積水化学の弱点・リスク要因
EV市場の鈍化
高機能プラの一部で影響は大きく、短期ではEPSの伸びを抑制する可能性があります。
住宅依存度の高さ
売上の約40%近くを住宅が占める年もあることから、景気後退局面では揺れやすくなります。
メディカル事業の低迷
検査薬需要が本格回復せず、構造的な成長エンジンにはなりにくいです。
これらを理解した上で、長期投資に適するかどうか、判断を下していきましょう。
【まとめ】積水化学工業はじっくり積み上げる投資に最適な銘柄
積水化学工業は、住宅・インフラ・高機能素材・医療という複合事業の強みを持ちながら、安定した成長と連続増配を続けています。
・事業ポートフォリオが強固
・財務基盤は国内トップレベルの堅さ
・EPS成長が続き、収益性も改善基調
・16期連続増配へ
・利回り約3%で長期投資に適した水準
FIREを目指す人、配当重視の投資家、安定成長株を探している人にとって、十分に検討価値のある銘柄です。
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