日経平均株価は高値圏で推移していますが、足元では調整局面も見られます。2026年2月20日の終値は56,825.70円となり、前日比で642円安と大きく下落しました。
現在の日経平均株価をPERで見ると、おおむね20倍前後となっており、過去10年平均(およそ14~16倍前後)と比較すると、やや割高な水準に位置しています。
もっとも、近年は企業業績の回復や円安、AI関連投資の拡大などを背景に、20倍超の水準が常態化している点も特徴的です。
いずれにせよ日経平均株価は高値圏で推移しており、配当株投資に対して今からでは遅いのではないかと感じる投資家も多い状況です。
実際、株価の上昇により配当利回りは低下しやすく、過去と同じ水準の利回りを期待することは難しくなっています。
しかし一方で、利益成長を継続し、財務体質が健全で、配当性向に余力がある企業であれば、将来的な増配によって配当水準が高まる可能性も残されています。
本記事では、株高局面でも検討余地のある配当株という観点から、一定の成長性・財務健全性・配当余力を満たす企業を抽出しました。
ただし、楽観的に評価するのではなく、あくまでポジティブ要素とネガティブ要素の両面を踏まえた中立的な視点で整理したいと思います。

スクリーニング条件
今回のスクリーニング条件は以下の通りです。
時価総額:500億円以上
配当性向:40%以下
営業利益成長率(5年・10年):年率5%以上
自己資本比率:50%以上
実績配当利回り:2.5%以上
過去10年間で増収回数:8回以上
過去10年間で増益回数:8回以上
利益成長、財務健全性、配当余力の3点を重視した条件設定になります。
■ なぜこのスクリーニング条件としたのか
今回のスクリーニング条件は、株高局面でも検討余地のある配当株を抽出することを目的として設定しています。
株価水準が高い局面では、単純に配当利回りが高い銘柄を探すことは難しくなります。
そのため、本記事では現在の利回りの高さよりも、将来の配当成長余地を重視しました。
具体的には、以下の考え方に基づいています。
まず、営業利益の長期成長率や過去10年間の増収・増益回数を条件に加えることで、一時的な業績ではなく、構造的に利益を伸ばしてきた企業を選別しています。
次に、自己資本比率50%以上という条件を設けることで、財務体質が安定しており、景気後退局面でも配当を維持しやすい企業を対象としました。
また、配当性向を40%以下に設定することで、すでに配当を出し切っている企業ではなく、将来的に増配できる余地を残している企業を選別しています。
さらに、実績配当利回りを2.5%以上とすることで、成長期待だけでなく、現時点でも一定のインカム収益が見込める水準を確保しています。
このように本スクリーニングは、高配当株ではなく、利益成長・財務健全性・配当余力のバランスが取れた企業を抽出することを目的としたものになります。
株高局面においても、将来的な増配によって投資妙味が高まる可能性がある企業を探す一つの参考基準として整理しています。
抽出された10銘柄一覧
| 会社名 | 業種 | 配当性向(%) | 営業利益10年成長率(%) | 自己資本比率(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 新日本建設 | 建設 | 25.6 | 8.6 | 70.7 | 2.72 |
| グリムス | 電気・ガス | 40.0 | 33.7 | 62.3 | 2.97 |
| ソフトクリエイトHD | 情報・通信 | 38.7 | 14.1 | 58.5 | 2.70 |
| クレスコ | 情報・通信 | 39.3 | 11.5 | 71.1 | 2.74 |
| TDCソフト | 情報・通信 | 37.1 | 15.6 | 73.8 | 2.60 |
| JFEシステムズ | 情報・通信 | 35.2 | 16.1 | 62.2 | 2.95 |
| コニシ | 化学 | 31.4 | 7.2 | 63.1 | 2.83 |
| 宝ホールディングス | その他製品 | 38.2 | 16.2 | 75.7 | 3.04 |
| 三協フロンテア | サービス業 | 34.3 | 7.6 | 74.7 | 3.80 |
| ミロク情報サービス | 情報・通信 | 37.6 | 9.6 | 64.6 | 3.15 |
■ 銘柄群の特徴
① 情報・通信セクターが多い点
クレスコ、TDCソフト、JFEシステムズ、ミロク情報サービスなど、業務システム系の企業が多く含まれています。
これらの企業は、
・継続的な保守・運用収入
・設備投資負担が比較的小さい
・人材と技術を軸としたビジネスモデル
といった特徴を持ち、安定した利益成長と配当の両立がしやすい構造となっています。
② 財務体質が良好である点
全銘柄が自己資本比率50%以上となっており、中には70%を超える企業も見られます。
このことから、不況時の耐久力、減配リスクの低さ、将来的な増配余地といった点で、比較的安心感のある銘柄群といえます。
③ 配当性向に余力が残されている点
配当性向はおおむね30%台に収まっており、現時点で配当を出し切っている状態ではありません。
今後も利益成長が継続した場合、配当性向の引き上げ、利益成長による自然増配の両面から、配当水準が高まる可能性があると考えられます。
■ 株高局面で探す意味
株価上昇局面では、表面的な配当利回りは低下しやすくなります。そのため、高利回り銘柄を探すことが難しくなりがちです。
一方で、利益が着実に伸び、株価も上昇しつつも配当性向はまだ低いという企業は、将来的に配当水準が高まる余地を残している可能性があります。
短期的な利回りではなく、数年後の配当額の成長を重視する投資家にとっては、株高局面こそ検討価値のある局面とも言えます。
■ ネガティブに見るべき点
一方で、いくつか注意すべき点もあります。
まず、日経平均が高値圏にあることから、株価上昇の影響で配当利回りは過去と比べて低下している点。
次に、営業利益成長率はあくまで過去10年間の実績であり、将来の成長を保証するものではありません。景気減速や企業の投資抑制などの影響を受ける可能性があり、建設業や化学といった業種については、景気後退局面で業績が伸び悩むリスクも考えられます。
また、情報・通信セクターの比率が高く、業種分散の面ではやや偏りがあります。IT投資の鈍化や人件費の上昇、価格転嫁の遅れなどが生じた場合、複数銘柄が同時に影響を受ける可能性があります。
2026年前後の市場環境として、金利上昇、景気後退、円高、インフレ圧力といったマクロ要因も不確実性として意識する必要があります。
■ まとめ
今回抽出された10銘柄は、
・長期で増収増益を継続
・財務体質が健全
・配当性向に余力あり
・現時点でも利回り2.5%以上
という条件を同時に満たしています。
短期的な高配当ではなく、将来の高配当を目指す視点で見れば株高局面においても検討余地のある銘柄群であると考えられます。
