長期的な資産形成や老後の安定収入を考えたとき、多くの投資家が注目するのが高配当株への積立投資。
私が30代で1億円を達成したのも、淡々とした高配当株への継続的な投資というシンプルな手法です。
米国の高配当株ETF「SCHD」に実質投資できる楽天SCHDが、安定した配当と資産成長の両立を目指せる人気の投資信託として知られています。
本記事では、楽天SCHDを月1万円・3万円・5万円で30年間積み立てた場合の配当収入シミュレーションを、楽観・標準・悲観シナリオで詳しく紹介します。
また、NISA口座での非課税メリットや特定口座との違いも簡単に整理しておりますので、これから長期の配当投資を始めたい方や、FIREを目指す方の御参考になればと思います。

楽天SCHDとは?
楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(愛称:楽天SCHD)は、米国の高配当株ETF SCHD(シュワブ米国配当株式ETF) に実質投資する投資信託です。
投資対象:米国の高配当株(ダウ・ジョーンズ US ディビデンド100インデックス連動)
信託報酬:年0.1238%程度
分配:四半期ごと(2月・5月・8月・11月)
為替ヘッジ:なし
純資産:1,700億円突破(2025年9月時点)
楽天証券の積立設定ランキング:10位以内と人気
安定的な配当収益と中長期的な値上がり益を狙うファンドとして、投資家の注目を集めています。
SCHDとは
楽天SCHDが実質投資をするSCHD(シュワブ・米国配当株式ETF)は、米国の大手金融機関チャールズ・シュワブが運用する高配当株ETF。
ベンチマークとして「ダウ・ジョーンズ US ディビデンド100インデックス」に連動することを目指し、安定した配当を出し続けている優良企業100社に分散投資しています。
純資産総額は700億米ドル(約10兆円)を超えており、米国高配当ETFの中でもトップクラスの規模と人気を誇ります。
配当収入を得ながら、長期的な資産成長も狙えることから、FIREや配当生活を目指す投資家から特に注目を集めているETFです。
上位構成銘柄(2025年時点)
SCHDはETFであるため、銘柄の入れ替えはインデックスの定期的な見直しによって行われますが、2025年9月時点での上位銘柄は以下の通り。
| 銘柄 | 業種 | 割合 |
|---|---|---|
| アッヴィ | 製薬 | 4.55% |
| シェブロン | エネルギー | 4.36% |
| ホームデポ | 住宅小売 | 4.28% |
| アルトリア | たばこ | 4.19% |
| ペプシコ | 飲料 | 4.12% |
| コノコフィリップス | エネルギー | 4.10% |
| シスコシステムズ | 通信機器 | 4.06% |
| メルク | 製薬 | 3.99% |
| ベライゾン | 通信 | 3.85% |
| アムジェン | バイオ | 3.81% |
ディフェンシブな製薬・飲料から、エネルギー・通信まで幅広く構成されており、景気変動に強いポートフォリオとなっています。
楽天SCHDのパフォーマンスが直近で優れない理由
過去10年では安定した成長を見せたSCHDですが、2022年以降の成績はS&P500やNASDAQに劣後しています。

純資産は勢いよく増えましたが、基準価格だけで見ると設定来とほとんど変わっておりません。
以下、理由として考えられることを列挙します。
高配当株の伸び悩み
近年、米国株式市場ではハイテク成長株が市場全体をけん引しており、特にFANGや半導体関連株の急成長が目立ちます。
その一方で、伝統的な高配当株は株価の上昇が相対的に限定される傾向にあります。
配当利回りは魅力的ですが、資本成長の面では成長株に劣るため、全体のパフォーマンスとしては市場平均にやや出遅れる傾向があります。
金利上昇による逆風
米国の金利が上昇する局面では、債券の利回りが高まるため、高配当株の魅力が相対的に薄まります。
投資家は安定した配当を得られる株式よりも、低リスクで利回りの高い債券に資金をシフトすることが多く、高配当株の株価は圧迫されやすくなります。
このため、短期的には利回りの高さが裏目に出て、株価の伸びが鈍化する傾向が見られます。
セクター比率の偏り
SCHDをはじめとする高配当ETFは、エネルギー、通信、ヘルスケアなどディフェンシブ株に偏った構成になりやすい特徴があります。
そのため、市場全体がリスクオンで大きく上昇する局面では、成長株に比べて相対的に出遅れることがあります。
逆に景気後退局面では守備力を発揮するものの、「攻めの局面では弱い」という特性が投資パフォーマンスに反映されやすいのです。
高配当株は「守りに強いが攻めには弱い」という特徴を持っています。
安定的な配当収入と景気変動に強い点は魅力ですが、成長株に比べて株価上昇は限定的。
金利や市場環境の影響を受けやすいため、長期投資の戦略を立てる際はこの特性を理解しておくことが重要ですね。
それではシミュレーションに行ってみましょう。
増配率シナリオの設定
SCHDは2011年に運用開始し、2012年以降は毎年連続増配を続けています。
- 2012〜2024年の平均増配率:年率11.5%
- 直近2024年の増配率:12.2%
ただし今後も同じペースが続くとは限らないため、以下3つのシナリオを設定しました。
- 楽観シナリオ:+10%(実績に近い水準)
- 標準シナリオ:+6%(保守的、米国高配当株全般の中央値)
- 悲観シナリオ:+3%(インフレ程度の増配にとどまるケース)
配当金シミュレーション(受け取り型・再投資なし)
前提条件:
初年度利回り:3.5%
積立額:月1万 / 月3万 / 月5万
為替・税金は考慮せず
月1万円積立(年間12万円)
| シナリオ | 10年目 | 20年目 | 30年目 | 累計配当(30年) |
|---|---|---|---|---|
| 楽観(+10%) | 約7.9万円 | 約28.6万円 | 約93.5万円 | 約930万円 |
| 標準(+6%) | 約5.2万円 | 約12.1万円 | 約26.5万円 | 約350万円 |
| 悲観(+3%) | 約4.1万円 | 約6.9万円 | 約11.1万円 | 約210万円 |
解説
月1万円の少額投資でも、時間を味方につければ意味のある成果が得られることが分かります。
楽観シナリオでは30年後に年間93万円近い配当となり、年金にプラスするだけで暮らしが一変します。
標準シナリオでも年間26万円で「1回分の旅行や趣味の費用」をまかなえる規模。
悲観シナリオでも年間10万円超となり、光熱費や通信費をカバーする効果がありますね。
月3万円積立(年間36万円)
| シナリオ | 10年目 | 20年目 | 30年目 | 累計配当(30年) |
|---|---|---|---|---|
| 楽観(+10%) | 約23.7万円 | 約85.8万円 | 約280万円 | 約2,790万円 |
| 標準(+6%) | 約15.6万円 | 約36.3万円 | 約79.6万円 | 約1,050万円 |
| 悲観(+3%) | 約12.3万円 | 約20.7万円 | 約33.2万円 | 約630万円 |
解説
月3万円の積立なら、将来の配当収入は「副収入」から「生活の柱」へと成長します。
楽観シナリオで30年後には年間280万円、生活費の大部分をカバーできるレベルです。
標準シナリオでも年間約80万円と、年金に上乗せするだけで老後の安心度は格段に高まります。
悲観シナリオでも年間30万円台で、車の維持費や教育費の補填として十分機能します。
月5万円積立(年間60万円)
| シナリオ | 10年目 | 20年目 | 30年目 | 累計配当(30年) |
|---|---|---|---|---|
| 楽観(+10%) | 約39.6万円 | 約143万円 | 約467万円 | 約4,650万円 |
| 標準(+6%) | 約26万円 | 約60.5万円 | 約133万円 | 約1,750万円 |
| 悲観(+3%) | 約20.5万円 | 約34.5万円 | 約55.5万円 | 約1,050万円 |
解説
月5万円の積立は負担もありますが、得られるリターンは圧倒的です。
楽観シナリオで30年後には年間配当467万円、FIRE(配当生活)レベルに到達します。
標準シナリオでも年間130万円超、年金と組み合わせれば老後の資金不安はほぼ消えます。
悲観シナリオでも年間55万円と、生活費の1割前後を賄える規模になります。
NISAと特定口座の違い
シミュレーションを語る上で忘れてはいけないのが「課税の有無」です。
- NISA成長投資枠
NISA口座で楽天SCHDを運用すると、配当金も売却益も非課税となるため、得られた配当をそのまま受け取ることができます。
税金がかからないため、配当の満額を手元に残せる点が大きなメリットです。
この仕組みにより、長期の配当投資との相性は抜群で、着実に配当収入を積み上げながら資産形成を進めることが可能です。
- 特定口座
特定口座で楽天SCHDを運用した場合、配当金や売却益には約20.315%の税金が課されます。
たとえば年間100万円の配当を受け取っても、実際の手取りは約80万円にとどまります。
長期にわたって積み立てる場合、この税負担は累積して非常に大きくなり、資産形成や配当収入の効率に大きな影響を与えることになります。
具体例(30年後・月3万円積立・標準シナリオ)
たとえば、月3万円積立・標準シナリオで30年後に年間配当が約79.6万円に達した場合を考えてみましょう。
NISA口座で運用すれば、配当金は非課税のため、満額の79.6万円を受け取ることができます。
一方、特定口座で運用すると税引後の手取りは約63.5万円となり、年間で16万円以上の差が生じます。
この差は長期にわたって積み上がるため、NISA口座の活用がいかに有利かがわかります。
「非課税で守られるかどうか」で、老後資金の余裕度は大きく変わります。
楽天SCHDのような長期・高配当成長を狙う商品は、NISA成長投資枠での活用が圧倒的に有利ではありますね。
まとめ
楽天SCHDは、米国の高配当株ETF「SCHD」に実質的に投資できる人気ファンドです。
過去の実績からも配当の成長力は高く、30年間積み立てれば年間数十万〜数百万円の配当収入が見込めます。
例えば、月5万円を楽観シナリオで積み立てればFIRE(配当生活)レベルの収入に到達しますし、月1万円を標準シナリオで積み立てるだけでも、老後の副収入として十分機能します。
また、特定口座では配当・売却益に約2割課税されるため、長期の配当投資を最大限活かすには、NISAなどの非課税口座のメリットを活用することが非常に重要ですね。
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