米国の成長株に投資しながら、カバードコール戦略を活用して毎月のインカムを得られる…2025年に登場した「楽天・米国成長株式・プレミアム・インカム・ファンド(毎月決算型)」、いわゆる 楽天JEPQ は、その特徴から早くも注目を集めています。成長性と分配金の両立を狙う設計は、FIREを目指す投資家にとっても相性が良く、分散先の一つとして検討する価値があります。私はJEPQは長期で保有中であり、毎月安定した分配金を得ています。
本記事では、楽天JEPQの仕組みと強み、分配金のポテンシャル、参考となる本家ETF「JEPQ」の特性、そしてFIRE戦略との関係まで整理していきます。

楽天JEPQの基本:毎月分配で米国成長株にアクセスするファンド
楽天JEPQは 2025年8月14日に設定された新しい投資信託で、2035年8月14日までの10年限定ファンドです。主な投資先は、米国J.P.モルガンが運用するJEPQというアクティブETF。ナスダック系の大型成長株を中心に投資しながら、株式に対するコールオプション売りを組み合わせ、毎月の分配を狙う構造です。
為替ヘッジは原則なし。円安が続く局面ではリターンの追い風になりやすく、円建ての投資信託としては珍しく、為替差益の恩恵を受けやすい点も魅力です。さらに、有価証券貸し出しも活用し、貸株料もファンド収益に回る可能性があります。基準価額は2025年11月時点で10,783円前後。設定から数ヶ月ですが安定推移しており、運用の土台として期待が持てます。
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分配金の推移と利回りの実力を確認
楽天JEPQは毎月決算型で、すでに2回の分配を実施しています。
| 決算日 | 分配金額 | 基準価額 | 年率換算利回り(参考) |
|---|---|---|---|
| 2025/10/15 | 75円 | 10,614円 | 約8.5% |
| 2025/11/17 | 80円 | 10,973円 | 約8.8% |
設定からいきなり75円・80円は、かなり攻めた分配です。本家JEPQと同じ構造のため、今後も一定水準のインカムが期待されます。
本家JEPQ ETFの実績(2025年11月時点)
TTM利回り:10.67%
月次分配:0.45〜0.50ドル
1年リターン:17.13%
YTDリターン:11.88%
本家ETFの力強いパフォーマンスがあるからこそ、日本版の楽天JEPQにも期待が持てるわけですね。
カバードコール戦略の本質:インカムと安定性を両立
楽天JEPQの根幹はカバードコール。これは株式を保有しつつ、その株を対象にしたコールオプションを売る手法です。
・保有株の配当
・売却したオプションのプレミアム収入
この2つが毎月の分配源となります。単に利回りを見るだけでなく、どのような仕組みで分配金が生まれているかを理解しておくと、将来的な変動への備えにもつながります。
メリット
- ボラティリティの高いナスダックでは、オプションプレミアムが大きくなりやすい
- 下落局面でクッションとして働く(守りが強い)
- 分配金が安定しやすい
デメリット
- 株価の急騰局面では上値を限定してしまう
- ナスダック100のような純粋なインデックスより値上がり益が小さくなる場合も
FIREを目指す人にとっては、毎月のキャッシュフローが途切れにくいという点は非常に魅力です。生活防衛ラインを確保しやすいのは大きな強みです。
上位銘柄から見るJEPQの構造:テック中心の成長性
本家JEPQの2025年5月末時点の上位銘柄は以下の通りです。
| 銘柄 | 業種 | 備考 |
|---|---|---|
| Microsoft | 情報技術 | 大型グロースの中心。AI関連需要が追い風 |
| Apple | 情報技術 | 高収益×巨大エコシステム |
| NVIDIA | 半導体 | AI・データセンターの成長が牽引 |
| Amazon | 一般消費財 | クラウド×ECで継続成長 |
| Meta Platforms | 通信サービス | 広告とAI投資で収益改善 |
| Broadcom | 半導体 | インフラ半導体・ソフトともに強い |
| Costco | 生活必需品 | 安定した成長と会員制モデル |
AI・クラウドの波に乗っている企業が中心で、ボラティリティが高いからこそオプションプレミアムも増えやすい構造です。誰もが知っている大型株に投資しているという安心感もあり、ファンド内容が透明で理解しやすい点も楽天JEPQのメリットです。大型ハイテク株の特徴を把握しておくと、値動きやリスク要因への理解が深まり、運用方針に対する納得感も高まります。
FIREとの相性:毎月インカムが資産寿命を伸ばす
楽天JEPQがFIRE勢から注目される最大の理由は、
・分配金による安定キャッシュフロー
・成長株による値上がり益
・為替差益の可能性
この3つが同時に狙えることにあります。
例えば利回り10%前後が維持される場合、月20万円の不労所得を得るには必要資金は約2,400万円。もしS&P500のような純インデックスだけでFIREを目指すと、4%ルールで6,000万円が必要と言われますが、楽天JEPQならその半分以下で現実的に近づきます。さらに毎月の分配を再投資すれば、複利が強力に効いてきます。
100万円投資すると、月7,000〜8,000円のインカムが期待でき、年間8〜9万円。これを積み上げれば生活費の一部をまかなうのに十分です。安定したキャッシュフロー源を確保できるかどうかは、FIRE後の心理的な安心感にも直結します。
投資のデメリットと向き合う:注意したいポイント
楽天JEPQには魅力が多い一方、いくつか留意すべきポイントもあります。
・株価急騰局面では上値を取りにくい
・テック企業の規制強化の影響を受ける可能性
・為替の影響を強く受ける
・分配金が将来必ず維持されるとは限らない
私自身は、S&P500などの王道インデックスと併用しながら、JEPQ系は一定の比率にとどめています。分配金は半分再投資、半分は生活費に回すといったルールを設定しておくと、精神的にも安定します。
楽天JEPQと本家JEPQの主な違い
以下に、楽天JEPQ(投信)と本家JEPQ(ETF)の主要項目を整理します。
| 項目 | 楽天JEPQ(投信) | JEPQ(ETF) |
|---|---|---|
| 投資形態 | 投資信託(国内) | ETF(米国上場) |
| 設定日 | 2025年8月14日設定、10年満期(2035年8月14日償還) | 2022年5月3日設定、無期限 |
| 投資対象 | 主に本家JEPQ(ETF)を経由して投資 | 米国成長株+個別コール売りを直接運用 |
| 為替 | ヘッジなし(円建てで受け取り) | ドル建て |
| 分配頻度 | 毎月決算(円で分配) | 毎月分配(ドル) |
| 最低投資額 | 100円〜(積立可能) | 1株買付(約56ドル ≒ 約8,500円) |
| 管理報酬 | 信託報酬0.658%(税込、JEPQ分を含む) | 経費率0.35% |
| 税制 | NISA対象外(特定口座で外国税控除可能) | NISA成長投資枠対応/外国税控除あり |
| 売買 | 日々の基準価額で購入 | 市場でリアルタイム売買 |
この表からわかるように、楽天JEPQは海外ETFを国内投信として包んだ日本仕様のラッパー商品で、利便性と円建て運用が強みです。一方、本家JEPQは低コスト・市場直結の運用が魅力で、性質は大きく異なります。
違い①:楽天JEPQは 本家の運用を取り込む 国内投信
楽天JEPQの特徴は、本家JEPQを主要投資対象とすることで、カバードコール戦略をそのまま国内投信の形式で利用できる点です。
ナスダック中心の成長株とコール売りの組み合わせを、難しい手続きなしで円建てのまま保有できます。
楽天側の裁量は必要最小限で、JEPQへの実質的な投資比率が高く、構造としては海外ETFの日本版ラッパーといえます。
一方、本家JEPQはETFとして直接米国市場で運用され、
・個別株の組入れ
・ボラティリティに応じたコール売り
・分配金の設計
といった運用判断がリアルタイムで反映されます。
この違いにより、楽天版は動きがマイルドになりやすく、本家は市場変動の影響を受けやすいという性質の差が生まれます。
違い②:為替と税制の扱いは投資成績にも直結する
どちらも為替ヘッジなしですが、通貨建ての違いは大きな影響を持ちます。
● 楽天JEPQ(円建て)
・円安局面では基準価額に追い風
・円高局面ではマイナス要因
・分配金は円で受け取れるため、生活防衛資金にも使いやすい
● 本家JEPQ(ドル建て)
・為替変動は別途管理が必要
・利益確定時には為替差益も課税対象
・ドル資産を増やしたい投資家には有利
税制でも両者は大きく分かれます。
楽天JEPQ:新NISA対象外。特定口座で20.315%課税+外国税控除が可能
本家JEPQ:NISA成長投資枠で購入可能。日本課税ゼロ(米国源泉10%のみ)
長期のインカム投資では、NISAでの分配金非課税は効果が大きく、本家JEPQに優位性があります。
違い③:分配金の通貨と安定性
どちらも毎月分配ですが、通貨が異なるため特徴が変わります。
本家JEPQ(ドル分配)
・市場環境に応じて変動
・直近では 0.48ドル前後
・プレミアム収入の柔軟性が高い
楽天JEPQ(円分配)
・毎月15日に円で決算
・為替を反映して分配額が決まる
・設定後は 75円(10月)→80円(11月)と高水準
・分配方針は投信の規約に基づき、必ずしも本家と完全連動ではない
円分配の安心感がある反面、為替ショック時の調整は避けられません。FIRE目的で毎月の円インカムを重視する投資家にとっては、楽天版は使いやすい選択肢になります。
違い④:手数料と利便性のトレードオフ
本家JEPQ:経費率0.35%で長期に有利
楽天JEPQ:0.658%と高めだが、利便性(少額積立、自動再投資、円建て管理)が強み
手数料差は年0.3%前後ですが、運用のしやすさやNISA対応の有無など、実際の使い勝手で評価が分かれます。
まとめ:用途の異なる2つの選択肢
本家JEPQは、低コスト・リアルタイム売買・NISA非課税メリットを重視する投資家向け。
楽天JEPQは、円建てで運用したい・毎月のインカムを生活設計に組み込みたい・積立で手間なく運用したいという投資家に適しています。
どちらが優れているかではなく、目的に応じて使い分けることが大切ですね。
まとめ:楽天JEPQはFIRE投資家にとって新しい有力な選択肢
楽天JEPQは、米国成長株のポテンシャル × カバードコールの安定インカムという2つの強みを組み合わせた、日本では珍しいタイプの投資信託です。
・毎月の分配金
・本家JEPQの高いパフォーマンス
・テック株の成長性
・為替のプラス要因
これらを同時に狙えるため、FIRE志向の投資家にとっては非常に相性が良いと言えます。(FIRE達成後はなお◎)
値上がり益だけに頼らない、強いキャッシュフローを作りたい、インデックス投資にプラスαを加えたい。そんな人にとって、楽天JEPQは魅力的な選択肢になり得ます。まずは少額からでも試しながら、自分のポートフォリオに合うか確かめてみてください。
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