小森コーポレーション(KOMORI)は、創業100年を超える日本の印刷機メーカーです。近年は印刷需要の変化、世界的な景気後退などの逆風を受けつつも、事業構造の見直しとデジタル分野の強化を背景に、業績が改善基調へと転じています。本記事では、最新の業績動向、事業内容、財務面、株主還元まで、投資家の視点から小森コーポレーションの魅力を整理していきます。

小森コーポレーションとは
小森コーポレーションは、オフセット印刷機を中心とした印刷機器の大手メーカーで、商業印刷・パッケージ印刷・証券印刷など、多様な用途に対応した機器を展開しています。近年はインクジェット技術を取り入れたデジタル印刷機を強化しており、伝統的な印刷技術とデジタル技術を融合させた製品ラインアップが特徴です。
主な事業領域
- オフセット印刷機(売上比率の約60%)
- デジタル印刷(インクジェット、オンデマンド印刷)
- フィニッシングシステム(後加工装置)
- グローバル展開(北米・欧州・中華圏・アセアン・インド・オセアニアなど)
世界的なパッケージ需要の増加や電子商取引の拡大により、印刷の需要構造は変化しています。その中で、小森コーポレーションは紙器パッケージ向けの設備投資需要を着実に取り込み、過度に景気循環に振られにくい収益基盤を形成しています。
最新業績:2025年3月期上期は大幅増益
2025年3月期の上期は、投資家にとって非常にポジティブな内容となりました。
業績ハイライト(2025年3月期 上期)
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 522.15億円 | +4.1% |
| 営業利益 | 31.56億円 | +141.7% |
| 経常利益 | 36.43億円 | +159.1% |
| 親会社株主純利益 | 23.57億円 | +134.5% |
収益改善の背景には、以下のような地域別の動向が見られます。
地域別の売上トレンド
| 地域 | 増減率 |
| 北米 | +18.4% |
| 欧州 | +7.6% |
| 中華圏 | -15.1%(ただし第2四半期で回復の兆し) |
北米と欧州は設備投資需要が堅調で、特にパッケージ印刷の需要が追い風となりました。一方で、中華圏は一時的に落ち込みましたが、下期に向けて改善が進んでいます。
通期予想:売上・利益ともに増加基調を維持
会社側が示す2026年3月期の通期予想は、売上・利益ともに増加見込みです。
通期見通し(2026年3月期)
- 売上高:1,245億円(前期比 +12.1%)
- 営業利益:91億円(同 +27.8%)
- 経常利益:89億円(同 +16.8%)
- 当期純利益:64億円(同 -11.7%)
純利益のみ減益予想ですが、これは前期に特異な利益があった反動と見られ、事業全体としては成長軌道の中にあります。受注残の厚さや円安の影響もプラス材料です。
財務の健全性:高い自己資本比率と改善する収益性
小森コーポレーションの特徴のひとつに、極めて安定した財務基盤があります。
財務指標(2025年時点)
| 指標 | 数値 |
| 自己資本比率 | 66.8% → 62.8%(やや低下も依然高水準) |
| PBR | 0.7倍 |
| PER | 12.8倍 |
| ROE | 6.3% |
| 株価 | 1,549円(2025年11月時点) |
自己資本比率は60%を超え、製造業としては極めて安定的です。一方、有利子負債がやや増加している点は注意ですが、資金調達の幅を広げている側面もあります。過去12四半期を通じて、純利益率・営業利益率が改善し、EPSも増加傾向にあります。構造改革の成果が明確に表れていますね。
株価推移(5年チャート)

キャッシュフロー:安全性を高める運転資金構造
キャッシュフローの細部は公表が限定的ですが、現金預金は減少したものの、有価証券の増加が顕著です。流動性の高い資産へシフトしたと見られ、守りを固めつつ資金効率を高める運用が進んでいます。
配当と株主還元:徐々に積み上がる安定配当
4年連続の増配見込みで、利回りは4%を超える水準です。
配当金の推移
| 年度 | 配当金 |
| 2020年 | 30円 |
| 2021年 | 20円 |
| 2022年 | 56円 |
| 2023年 | 45円 |
| 2024年 | 60円 |
| 2025年 | 68円 |
| 2026年(予想) | 70円 |
利回りは約4.5%と高く、安定した業績回復を背景に、持続的な株主還元が期待されます。
投資家から見た魅力:割安さと構造的成長の両立
小森コーポレーションへの投資妙味は、大きく3点に整理できます。
1. 割安なバリュエーション
PBR0.7倍は、資産価値から見て明らかに割安です。財務基盤を考慮すれば、下値の堅さが期待できます。
2. 業績回復の持続可能性
北米・欧州の需要に加え、中華圏が回復すれば成長に再加速が見込めます。デジタル印刷の強化も長期の成長源泉です。
3. 高配当かつ増配傾向
利回り4.5%前後を維持しつつ、増配基調が続いています。FIREや配当再投資戦略との相性も良好です。
まとめ
小森コーポレーションは、景気の波に左右されがちな印刷業界にありながら、技術力の深化と事業ポートフォリオの最適化によって、収益性と成長性の両方を改善してきました。財務の強さ、割安さ、世界的な需要の底堅さを背景に、今後も安定したパフォーマンスが期待できる企業です。
印刷という成熟市場であっても、構造改革と技術革新によって企業価値を高め続ける。その典型例として、小森コーポレーションは長期投資家にとって十分に検討に値する銘柄といえるでしょう。
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