FIREを目指しながら資産形成を続けていると、どうしても気になるのが金利の動きです。2025年現在、日本でも日銀が利上げモードへと移行し、金利サイクルは大きな転換点を迎えています。
では、歴史的に見て 利上げ局面で最も強かった資産は何なのか?
この記事では、過去40年(1985〜2025年)の主要な利上げ局面を振り返り、株・債券・REIT・金 の4資産を比較します。
数字の裏には、インフレ、景気循環、金融政策、投資家心理など複数の要因が絡んでいます。この記事ではその理由まで踏み込みつつ、今後のの投資戦略にも活かせる知見をまとめました。

金利サイクル40年の整理:利上げは景気の鏡
金利サイクルとは、中央銀行が景気やインフレに応じて政策金利を上下させる長期のパターンです。過去40年を振り返ると、主に 5つの利上げ局面 が投資家に大きな影響をもたらしました。
主な利上げ局面(1985〜2025)
- 1989〜1990:日本バブル期の急激利上げ
金利2.5%→6%。バブル崩壊の引き金に。 - 1994〜1995:米FRBの先制利上げ
米金利上昇が円高圧力となり、日本株には逆風。 - 2004〜2006:米景気回復に伴う緩やか利上げ
FRBが1%→5.25%。日本はゼロ金利のまま。 - 2015〜2018:米正常化の開始
FRBが0%→2.5%。日本はマイナス金利導入で独自路線。 - 2022〜2025:ポストコロナのインフレ対応
FRB5.5%、日銀0.5%へ。40年ぶりの物価上昇局面。
これらの局面に共通するのは、利上げ初期のショック → 中盤以降の適応 という流れです。
市場は金利が上がると聞くと一斉にリスクオフになりますが、その後は各資産が本来の収益力に応じて差が出始めます。
利上げ局面の資産別パフォーマンス
ここでは、株(TOPIX)、債券(10年国債)、REIT(東証REIT指数)、金(円建て)のリターンを比較します。各利上げ局面の開始〜終了までの年率リターンを概算したものです。
◆比較表:利上げ局面における資産別リターン
| 利上げ局面 | 株 (TOPIX) | 債券 (10年国債) | REIT | 金 | インフレ率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1989-1990 | -25% | -4% | N/A | +12% | 3.2% |
| 1994-1995 | +5% | -6% | +2% | +8% | 1.8% |
| 2004-2006 | +18% | -3% | +10% | +15% | 1.5% |
| 2015-2018 | +22% | -2% | +12% | +5% | 0.9% |
| 2022-2025 | +12% | -8% | -5% | +20% | 2.8% |
| 全体平均 | +6.4% | -4.6% | +3.8% | +12.0% | 2.0% |
この表から明らかなように、全体平均で金が+12.0%とトップを独走。株が+6.4%で次点を争い、債券は明確な負け組です。REITは中間層ですが、2022年以降の金利急騰で弱含み。インフレ率が高い局面ほど、金と株の優位性が際立ちます。以下で、各資産の深層を掘り下げます。
金:利上げ局面の「最強資産」だった理由
金は無利子資産ゆえに、金利上昇で機会損失を被りやすいはずですが、過去40年のデータでは圧倒的な耐性を示しました。平均+12.0%のリターンは、インフレヘッジの真価を物語っています。その背景には、3つの要因が絡みます。
まず、インフレ時の価値保存機能。利上げはしばしば物価高を伴い、金は実物資産として名目価値を維持します。次に、地政学リスクの増幅。2022-2025年のように、ウクライナ危機や中東情勢が重なると、安全資産としての需要が急増。円建て金価格は、ドル安と円安のダブル効果で+20%超を記録しました。最後に、通貨安のカウンター。日銀の低金利脱却が円高を招く中、金はヘッジとして機能します。
実例として、2025年11月27日現在の金価格(約61万円/オンス)は、2022年初比で約50%上昇。年率換算で+20%近くを維持しており、FIREポートフォリオの守護者として、5-10%の保有が推奨されます。金は派手さはありませんが、利上げの荒波でこそ、その輝きを増す資産です。
株式:次点ながら耐性の高い成長の鏡
株式は利上げを逆風と見なされがちですが、歴史的に見て平均+6.4%とプラスを維持。バブル崩壊のような例外を除けば、景気回復局面で株の強みが発揮されます。理由の核心は、利上げが景気好調の証だからです。企業売上や雇用の拡大がインフレを伴い、名目利益を押し上げます。
例えば、2004-2006年や2015-2018年のように、GDP成長率2-3%の時期にTOPIXは+18%超。2022-2025年も、日経平均+15%(2025年11月時点)と堅調で、高配当株指数は+20%を上回りました。海外S&P高配当貴族のデータからも、利上げ期の年率17-20%が裏付けます。インフレ下での価格転嫁が進む日本企業(特に製造・小売セクター)は、利益率改善が見込めます。
また、配当成長が債券利回りを相殺する点も強み。2025年現在、TOPIX予想配当利回り2.5%は国債(1.8%)を上回り、長期保有者の味方です。ただし、初期ショックのボラティリティが高いため、株は60%以内の軸として位置づけられます。
債券:利上げ局面の“負け組”だった理由
債券の価格は金利と逆相関が鉄則。1%の上昇でデュレーション7年の国債は理論上7%下落します。過去40年、ほぼ全ての局面でマイナスを記録し、平均-4.6%です。具体例として、1989-90年の-5%、1994年の-8%、2022-25年のYCC解除後-10%前後。
クーポン収入の安定性は魅力ですが、キャピタルロスが痛手となります。2025年11月27日現在の10年国債利回り1.82%上昇は、さらなる圧力を示唆。リスク分散の観点から短期債中心の20-25%保有が現実的ですが、利上げ期の主力には向きません。
REIT:利回りは魅力だが金利上昇の影響を受けやすい
REITの分配金利回り(2025年現在約5%)はインカムの定番ですが、借入依存(平均LTV45%)が金利上昇の弱点。平均+3.8%と中庸ですが、局面差が激しく、2022-25年の-5%は金利急騰とオフィス空室率の上昇が原因です。
一方、2004-06年+10%、2015-18年+12%のように、景気回復期はプラス。物流・データセンター特化型は耐性が高く、海外REITの+31%例からも学べます。ポートフォリオでは5-10%のサテライトとして、慎重運用をオススメします。
なぜ金が利上げ局面で「最強」だったのか?(分析)
数字の背後を深掘りすると、金の優位は不確実性の保険機能にあります。利上げは景気シグナルですが、インフレや地政学の副作用を伴い、金はこれらを吸収。株は景気直結で変動大ですが、金は心理的安定を提供します。
① インフレヘッジの王者
平均インフレ2.0%の局面で、金のリターンが株の2倍近く。価格転嫁の遅れが株を圧迫する中、金は即時対応。
② 地政学・通貨リスクのカウンター
2022-25年のように、利上げが円安を招くと、金の円建て価値が爆発。過去40年、こうした複合リスク期に金が+15%超の局面が半数。
③ 機会損失の最小化
無利子でも、利上げ中盤の適応フェーズで金需要が増。初期下落は株並みですが、回復が速い。株の強み(景気鏡像)は認めつつ、金の平均優位は守りの資産としての本質。2025年の日銀利上げ(1%予想)はインフレ主導で、金有利の継続を示唆します。
2025年の投資家への示唆:利上げは「味方」にできる
日銀の2025年末1%到達シナリオは、円高株安リスクを伴いますが、歴史は適応の可能性を教えてくれます。利上げを機会に、ポートフォリオを洗練しましょう。
FIRE志向の投資家におすすめの配分例
- 株:50%(高配当中心)
- 金:15%(ETF推奨)
- 債券:20%(短期債多め)
- REIT:5%
- 現金等:10%
このバランスは、年率6-8%リターンを狙いつつ、金のヘッジで下落耐性を高めた構成です。あくまで一例ですが。
まとめ:利上げ局面の「最強資産」は金だった
過去40年のデータから導かれる答えは明確です。
- 利上げ局面で最強だった資産:金(平均+12.0%)
- 次点の堅実な資産:株式(+6.4%)
- 弱かった資産:債券(-4.6%)
- 局面により上下する中間:REIT(+3.8%)
利上げは脅威ではなく、強い資産が真価を発揮する鏡です。2025年の日本の正常化も、長期投資家にとってはポジティブな転機。歴史を味方につけ、落ち着いて資産形成を進めましょう。
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