九州地方の経済・産業を支え続けてきた九州電力。再生可能エネルギーの拡大や電力自由化への対応など、変化の激しいエネルギー業界において、同社は安定性と成長性の両立を進めています。
本記事では、九州電力の事業内容・最新決算・配当推移・投資家が注目すべきポイントを丁寧に解説します。

九州電力とは|地域に根ざす総合エネルギー企業
■ 九州の産業・生活を支えるインフラ企業
九州電力は1951年に設立され、70年以上にわたり九州の電力供給を支えてきた企業です。九州は自動車、半導体、食品、造船などの集積地であり、産業・人口が集中する地域でもあります。その中で、安定した電力供給を担う同社の存在は極めて大きく、地域経済と密接に結びついたビジネスモデルを形成しています。
■ 主力事業:電気事業と周辺領域の拡大
九州電力の収益の中心は、電力の小売販売、卸売、送配電事業です。近年は、以下のような新領域にも積極投資しています。
- 再生可能エネルギー(太陽光・風力)
- スマートグリッド関連
- ICT・DXソリューション
- 海外エネルギー事業
- 環境・エネルギーサービス
特に「九電グループ経営ビジョン2035」では、電源の低・脱炭素化と電化推進を掲げ、カーボンニュートラルの実現に向けた明確な方針を示しています。
最新決算で見る九州電力の今|業績は改善基調が鮮明
2026年3月期第2四半期は、売上こそ減少したものの、利益は大幅に改善しました。
■ 2026年3月期 第2四半期の主な数値
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆1,277億円 | -2.0% |
| 営業利益 | 1,696億円 | +56.2% |
| 経常利益 | 1,653億円 | +60.1% |
| 純利益 | 1,232億円 | +65.9% |
売上は減少したものの、燃料費調整の期ずれと電力需要増により利益が急回復しています。とりわけ、電気事業の営業費用が大幅に減ったことが寄与しています。
■ 過去12四半期の傾向:収益性・安定性・成長性がそろって改善
- 収益性:改善継続
純利益率・営業利益率が明確に上昇。ROEは10%超えと高水準。
ROAは5%未満だが改善中。 - 安定性:自己資本比率が改善
17.3% → 18.7%へ上昇。有利子負債は横ばいで財務健全性が向上。 - 成長性:売上・EPSが伸び続けている
エネルギー需要の底堅さが追い風。
特に安定性の部分は電力会社が評価されやすいポイントであり、改善傾向にあるのは投資家にとって安心材料です。
九州電力の配当金推移|減配を経て増配基調へ
配当金は不安定に見えますが、2023年の配当ゼロを底に、2024年以降は増配基調にあります。
| 年度 | 配当 |
|---|---|
| 2020年 | 35円 |
| 2021年 | 35円 |
| 2022年 | 40円 |
| 2023年 | 0円 |
| 2024年 | 25円 |
| 2025年 | 50円 |
| 2026年 | 50円(予想) |
長期的に安定した配当を続けてきた企業ですが、近年のエネルギー価格の急騰により、一時的に無配へ転じた時期があります。特に、2022年〜2023年にかけての変化は投資家にとって大きな転換点となりました。
まず、2022年9月の中間期では、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした燃料調達コストの急上昇が重くのしかかり、6年ぶりに中間配当が無配となりました。電力会社は燃料費調整制度を用いて価格転嫁を行うものの、期ずれが発生するため、短期的には収益が圧迫されやすい性質を持っています。このズレが利益を直撃し、無配判断につながりました。
その後、2023年3月期の期末配当も見送られ、結果として8年ぶりの通期無配となりました。投資家の期待が大きい配当がゼロになったことは、財務面に厳しさがあったことを示しています。ただし、あくまで一時的なショックへの対応であり、企業としての価値を大きく損なう構造的な問題ではありませんでした。
実際、この無配の翌期から状況は大きく好転。燃料価格の安定化と燃料費調整の期ずれ解消、さらに需要増加による業績改善が進み、2024年度(2025年3月期)には配当を再開。中間25円・期末25円の合計50円と、過去水準を超える正常化した配当政策が復活しました。
2026年3月期の配当も同額の年間50円が予定されており、九州電力は安定配当を再び基軸に戻したといえます。無配を経験した企業は財務規律が強化される傾向がありますが、同社もまさにその流れにあります。業績の回復と財務の改善を確認しながら段階的に配当を戻す姿勢は、むしろ中長期投資にとって評価しやすいポイントです。
● 配当利回り:2.8%前後
● 株価:1,748円
● PER:5.8倍、PBR:0.75倍、ROE:13.64%
低PBR・低PERの割安さと高ROEという、比較的珍しい組み合わせとなっています。
株価チャートの推移

九州電力の強み|投資家が注目すべき魅力
■① 地域需要の安定性
九州は気候の影響から冷暖房需要が高く、電力需要の底堅さが特徴です。産業集積地でもあり、地域経済と連動した安定した収益基盤を持っています。
■② 脱炭素・再エネ投資の加速
九州は日照量が多く、太陽光発電のポテンシャルが高い地域です。九州電力は再エネ比率の拡大を進めており、将来の成長ドライバーとなる分野です。
■③ 業績の明確な回復トレンド
- 燃料費調整の影響緩和
- 電力需要増加
- 効率化による費用改善
これらの要素がそろい、利益が急改善しています。
■④ バリュー株としての魅力
PER5倍台、PBR0.7倍台、ROE 13%超。これらは、電力会社の中でも割安感が際立っています。
九州電力株は買いなのか|投資視点でのまとめ
結論として、九州電力は以下の点から再評価されやすい銘柄といえます。
- 地域需要が安定しており、業績の予測可能性が高い
- 再エネ・脱炭素という長期テーマの恩恵が大きい
- ROEが高く、利益改善が続いている
- バリュー株としての割安感
- 配当が増配傾向にある
もちろん、電力価格や燃料費など外部環境の影響は避けられませんが、財務改善と利益回復が進んでいる現状は投資家にとって追い風です。
おわりに|地域インフラ企業の「再成長」をどう捉えるか
電力会社と聞くと、安定しているが成長性は乏しいというイメージがあるかもしれません。しかし、九州電力は再エネ領域やICTなど、新事業にも積極的に投資しています。業績が底を打ち、再び拡大に転じている今は、企業価値が見直されやすいタイミングと言えるでしょう。電力という生活に不可欠なサービスを担う企業を、長期でじっくりと保有したいと考える投資家にとって、九州電力は有力な選択肢のひとつです。
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