はじめに:家族の未来を見据えたNISA活用
皆さんは、NISAを活用して資産形成を進めながら、家族全体の未来を想像したことはあるでしょうか。
新NISAがスタートしてまだ間もない2025年現在、すでにその恩恵を受けながら投資を続けている方も多いでしょう。
しかし、2026年度に向けた税制改正要望が公表され、制度がさらに進化する兆しが見えています。
金融庁の資料によると、貯蓄から投資へのシフトを加速させるための変更が検討されており、特に全世代への対象拡大が注目されています。
この記事では、そんな2026年の新NISA変更点を、単なる制度の更新としてではなく、私たち投資家が家族のライフプランにどう活かせるかを中心に解説します。

新NISAの現状を振り返り、2026年改正の意義を考える
新NISAは2024年に本格スタートし、非課税期間の無期限化や年間投資上限の拡大(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)により、多くの方の資産形成を後押ししてきました。
実際、金融庁のデータでは2025年3月末時点で口座数が約2647万に達し、累計買付額も59兆円を超えています。
この勢いを背景に、政府は2027年末までに3400万口座達成を目指していますが、課題も浮かび上がっています。
例えば、18歳以上の大人中心の設計では、子供の教育資金や高齢者の老後資金形成が十分にカバーしきれていません。
ここで2026年改正の意義が光ります。
金融庁が2025年8月に公表した税制改正要望では、NISAを「全世代型」のツールに進化させる方針が明確に打ち出されました。
これは、単に利用者を増やすだけでなく、家族単位での資産運用を促進するもの。
この変化は「個人の資産形成」から「世代を超えた資産継承」へのシフトを意味していると考えられます。
たとえば、子供の頃から積立を始め、親の老後資金に繋げるような柔軟な運用が可能になれば、長期的な複利効果が家族全体に波及するでしょう。
2026年改正の主な変更点:全世代拡大と対象商品の拡充
つみたて投資枠の対象年齢拡大
まず、つみたて投資枠の対象年齢拡大です。
現在、つみたて投資枠は18歳以上に限定されていますが、改正ではこれを撤廃し、未成年者も利用可能にする方向です。
これにより、親子で共同運用が可能になり、子供の教育資金を非課税で積み立てる「家族型投資」が現実味を帯びてきます。
たとえば、毎月数万円の積立を子供名義で始め、大学進学時に引き出すイメージです。
従来のジュニアNISAでは18歳以降の制限がネックでしたが、この改正はそれを克服する一手となります。
対象商品の拡大
次に、対象商品の拡大。
新NISAの成長投資枠では現在、上場株式や投資信託が主ですが、要望ではREIT(不動産投資信託)やETFの種類を増やし、多様な資産クラスをカバーする計画です。
これにより、リスク分散がしやすくなり、株式中心のポートフォリオに不動産要素を加えたい投資家にとって魅力的に映ります。
特に、インフレ対策として不動産関連商品を組み込む選択肢が増える点は、FIRE志向の方に新しい気づきを与えるでしょう。
非課税枠の柔軟化と新設枠の検討
さらに注目すべきは、非課税枠の柔軟化と新設枠の検討です。
現行の生涯投資枠(1800万円)に対して、要望では「非課税枠の即時復活」や高齢者向けの新枠が議論されています。
具体的には、65歳以上を対象とした「プラチナNISA」の創設が浮上しており、毎月分配型の投資信託を活用した生活資金形成を非課税で実現するものです。
これは、早期リタイア後のキャッシュフローを安定させるツールとして、非常に画期的です。
一方、子供向けには「こども支援NISA」と呼ばれる新制度が提案されており、ジュニアNISAの課題(非課税期間の短さ)を解消し、非課税枠を即時復活させる内容です。
これにより、家族の資産形成が途切れなく連動するようになります。
改正前後の比較表
| 項目 | 現行(2025年) | 2026年改正要望(検討中) |
|---|---|---|
| つみたて投資枠の対象年齢 | 18歳以上 | 未成年含む全世代(年齢制限撤廃) |
| 対象商品の範囲 | 上場株式、投資信託中心 | REIT、追加ETFなど拡大 |
| 高齢者向け枠 | なし | プラチナNISA新設(毎月分配型対応) |
| 子供向け枠 | ジュニアNISA廃止後、制限あり | こども支援NISA(非課税枠即時復活) |
| 非課税期間 | 無期限 | 維持・柔軟化(継承しやすく) |
この表からわかるように、改正は「包摂性」の強化に重点を置いています。
投資初心者の方は、商品拡大で選択肢が増える安心感を得られるでしょうし、ベテラン投資家は家族全体のポートフォリオ設計に活かせそうです。
投資家としてどう活かすか:家族視点での戦略立案
これらの変更がもたらす最大の価値は、個別最適化ではなく「家族最適化」にあります。
たとえば、2026年から子供のつみたて投資枠を利用すれば、親の成長投資枠と連動した分散運用が可能になります。
株式投資でFIREを目指す際、子供の教育資金を別途貯蓄していた分をNISAに振り替えるだけで、税負担がゼロになり、複利の力が数倍に働きます。
改正前にポートフォリオの見直しを進めておくのが賢明です。
早期リタイアを考える上でも、こども支援NISAは「世代間継承」のツールとして秀逸です。
非課税枠の即時復活により、子供が18歳になる前に利益確定しても損失が出にくく、柔軟に資金を移行できます。
これを活かせば、家族の資産形成が「個人戦」から「チーム戦」へ変わり、モチベーションも持続しやすくなります。
ただ、改正は2025年末の税制大綱で確定しますので、まだ決定事項ではありません。
まとめ:制度の変化をチャンスに、家族で描く資産形成の未来
2026年の新NISA改正は、単なる税制の変更にとどまらず、「投資を家族で共有する時代」への転換点となります。
年齢や世代を問わず活用できるようになることで、資産形成はより身近で、より長期的なものへと進化していきます。
今回の改正をきっかけに、家族それぞれのライフステージや目標を見直し、「誰が・何のために・どの期間で」資産を築くのかを考えることが大切です。
子どもへの教育資金、親世代の老後資金、そして自分自身のFIREプラン──これらをつなげるのが新しいNISAの魅力です。
制度の変更をただ「待つ」のではなく、今のうちから準備を始めることで、2026年以降のスタートダッシュが切れます。
金融機関の情報をチェックしつつ、自分と家族に最適な投資プランを練ってみましょう。
変化は、チャンスです。
NISAを通じて、家族みんなが豊かさを感じられる未来を一歩ずつ築いていきましょう。
