2025年9月29日、国内の金の店頭小売価格が史上初めて1グラム2万円を突破し、2万18円の最高値をつけました。
わずか2年ほど前の2023年8月に1万円を突破したタイミングから、さらに1万円上昇したことになります。
ここ数年、金の値上がりは非常に速く、従来であれば買い控えの傾向が出やすい水準ですが、現在も中央銀行や機関投資家、個人投資家を中心に購入ニーズが維持されています。
では、なぜ金価格はここまで上昇しているのでしょうか。その背景には複数の要因があります。
掘り下げてみていきましょう。

1. 米国の利下げ観測とドル金利の低下
今月中旬、アメリカが利下げを決定し、さらに追加利下げの観測が広がりました。
これにより高金利であったドルの魅力が相対的に低下し、金利のつかない金の需要が増加。
その結果、安全資産としての金への資金シフトが加速しています。
金は投資家にとって、株のジェットコースターに疲れたときの「避難所」のような存在とも言えます。
やっぱりこういう局面では安全資産が注目されますね。
米国の利下げは、今後の金価格を左右する重要な要素になるので要チェックです。
2. 地政学リスクの高まり
中東やウクライナを中心とした国際情勢の不安も、金価格を押し上げる要因。
実際、金は戦争や紛争、政治の不安定さが強まるほど、買われる傾向があります。
「有事の金」と呼ばれるのも納得の展開になっています。
3. ドルの信認低下と通貨価値の希薄化
長期的な話ですが、ドルの供給量が増えると通貨の価値は希薄化します。
かつての金本位制下では、金保有量の範囲でしかドルを発行できませんでしたが、1971年のニクソン・ショック以降、ドル発行量は急増。
これによりドル価値は下落し、希少価値のある金が相対的に高騰する構図が生まれました。
現在も世界的な政府債務拡大のトレンドは続いており、通貨価値下落と金価格上昇の余地は大きいと考えられます。
4. 投資家心理と分散投資ニーズ
金は景気循環に左右されにくく、安全資産としての特性を持っています。
「株ばかりじゃちょっと不安…」と思うとき、金を保有していると安心感があるのは否定できません。
そのため、中央銀行や個人投資家はポートフォリオの分散先として金を購入し続けています。
特に近年は、政治・経済・社会の多方面で世界が分断される中、リスクヘッジとしての金需要が増している状況です。
まとめ
国内店頭価格が1グラム2万円を突破したことは、単なる数字の節目にとどまらず、米国利下げ、地政学リスク、通貨価値の希薄化、投資家心理の変化といった複合的な要因が作用した結果です。
今後も、米国の追加利下げの動向や国際情勢の不安が、金相場を左右する重要なポイントとなるでしょう。
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