FIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指す人にとって、最も大切な要素は「どのくらい早く投資を始めるか」。
積立額や利回りの条件が同じなら、かかる年数は変わりません。
しかし、スタートが10年遅れるだけで、1億円に到達できる年齢は丸ごと10年遅れる(至極当然…笑)ことになります。

シミュレーション条件
- 毎月の積立額:5万円(年間60万円)
- 想定利回り:年率5%
- 投資開始年齢:30歳 / 40歳
- 目標資産額:1億円
5万円という積立額の設定は、各家庭の節約、支出の最適化次第では無理のない額ではないかと思います。
また年率5%も控えめな設定で、大いに上振れ期待があります。(オルカンの30年平均リターンは8%弱。)
ということで、控えめなシミュレーション条件のもと1億円に到達するのは何歳になるのか見ていきましょう。
正確な到達年数
複利計算を使って計算すると、1億円に到達するまでの期間は 約44年10ヶ月。
- 30歳からスタート → 約 75歳 で1億円到達
- 40歳からスタート → 約 85歳 で1億円到達
投資を始める時期が10年遅れると、FIREを達成できる年齢もそのまま10年後ろにずれるというわけです。(当たり前×2…。)
しかし違いが出るのはここから。
このまま運用を続け、同年齢に達した時、その差は如実に表れることになります。
85歳まで運用するとどうなるか?
両者ともに85歳まで運用を続けたと仮定すると、最終資産額に大きな差が出ます。
- 30歳開始 → 約1億7,000万円
- 40歳開始 → 約1億円
投資開始時期の10年の違いは、「資産7,000万円の差」として表れるのです。
これは単なる10年の遅れ以上に、複利の力が長期運用で効いてくることを示しています。
※85歳って…という気付きは心に閉まっておいてください。
40歳から追いつくには?
では、40歳から始めた場合、30歳スタートとの差を埋めるにはどうすればよいでしょうか。
ひとつの方法は、積立額を増やすことです。
毎月5万円では到達までに約45年かかりますが、10万円に増やせば約33年で1億円に到達でき、73歳前後で達成可能です。
また、利回りを少し高めに設定するのも有効です。
年率7%で運用できれば、約31年で1億円に到達でき、40歳からでも70歳前後でFIREが現実的になります。(オルカンの過去実績なら十分に可能な水準です。)
さらに、(元も子もないですが)目標金額そのものを下げるという工夫もあります。
例えば1億円ではなく7,000万円をFIREラインとすれば、達成年齢を大幅に前倒しでき、より早いリタイアが視野に入ります。
このように、「40歳からでは遅い」と考える必要はなく、積立額を調整したり、利回りを少し工夫したり、生活水準を見直して必要資金を下げることで、十分に現実的なFIREを目指すことは可能です。
FIREの条件は人それぞれ
今回は1億円でシミュレーションしましたが、一つ押さえておきたいのは、「1億円=絶対条件」ではないということです。
実際にSNS上ではFIRE達成者の多くは、7,000万円や5,000万円といった金額でリタイア生活を始めています。
例えば、生活費が月25万円(年間300万円)なら、7,500万円あれば25年間暮らせる計算です。
さらに年金や配当収入があれば、必要額はもっと下がります。
また、「いつまで健康でいられるか」も重要な視点。
日本人の健康寿命は男性で約72歳、女性で約75歳。(2022年 生命保険文化センターの情報に依る)
75歳や85歳に1億円到達という数字だけを追うのではなく、資産を使える時期にどう備えるかが、より大切ですね
まとめ
今回のシミュレーションから分かるのは、投資の開始時期は資産形成に大きな影響を与えるということ。
30歳から投資を始めればおよそ75歳で1億円に到達できますが、40歳からのスタートでは85歳前後まで時間がかかります。(しつこいですが当然です。)
さらに、85歳まで運用を続けた場合の最終資産を比較すると、30歳スタートでは約1億7,000万円に達する一方で、40歳スタートでは約1億円にとどまり、その差は7,000万円にも広がります。
とはいえ、40歳からでもFIREを実現する道はあります。
積立額を増やしたり、利回りを少し高めに狙ったり、あるいは生活費を見直して必要資産額を下げることで、十分に目標に近づくことが可能です。
結局のところ、FIRE、資産形成において最も重要なのは「時間」と「継続力」。
そして忘れてはならないのは「今日が一番若い日」という事実。
思い立った今から行動することで、FIREは確実に現実へと近づいていきます。
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