資産形成

FIREを目指すにあたって年金をどう捉えるか|早期退職後も安心な資産設計

「FIREしても、年金って月20万円くらいはもらえるんでしょう?」…そんな淡い期待を抱いたことがあります。いや、抱きたい…笑

実際の平均はもっと低く、厚生年金を受け取る人は月14万6,429円(国民年金含)、国民年金のみの人はわずか月5万7,584円にとどまります(厚労省「令和5年度」データ)。

しかもこれらの数字は、定年まで会社員として働き、年金を満額納め続けた場合の水準。

もしFIREなどで早期退職すれば、受給額はさらに減少し、月20万円の年金を得るのは極めて難しいのが悲しい現実。

だからこそ、FIREを目指す人にとって年金は「老後のプラスアルファ」くらいで捉え、サラリーマンを続けながらできるだけ年金最大化を目指しつつも、配当収入を中心に据えた資産収入戦略を進めていくこと。

私はこの戦略を、早期退職後も安心な資産設計として推したいと思います。


1:年金のリアルデータ

厚生年金:平均 14万6,429円

国民年金:平均 5万7,584円

男女差:男性 16.6万円、女性 10.7万円

「月20万円以上」もらえる人は全体の 16%のみ

(データ引用:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)

後述しますが試算によれば、月20万円以上を確保するには独身の場合は「平均年収715万円を古キャリアで継続する」ことが必要です。

私のような地方サラリーマンにとっては、現役世代の中でも、かなりハードルが高い数字だと思います。

2:世帯構成別シミュレーション

では、「定年まで働き、年金を満額納め続けた場合」に、世帯ごとにどれくらい年金を受け取れるかを見てみます。

なお月20万円以上の年金を目標にした場合の目安です。※国民年金(基礎年金)は満額前提です。

独身の場合
月20万円以上の年金を受け取るには、現役時代の平均年収が約715万円必要。
独身だと自分一人で高い収入を稼ぐ必要があり、ハードルは高め。

専業主婦(夫)世帯
夫(または妻)1人が働く1馬力世帯では、月20万円を目指すには年収約336万円が目安。
現役時代の年収がそれだけあれば、夫婦2人分の年金である程度の生活費をカバーできます。
※配偶者の年金も含む。

共働き世帯
夫婦ともに働く場合、1人あたり約168万円の年収で、合算すると月20万円以上の年金を確保可能。
2人で少しずつ支えるイメージですね。

自営業世帯
国民年金のみの場合、満額でも月6.9万円にとどまります。FIREを目指す場合は、年金だけでは十分ではないため、私的資産や配当収入の積み上げが必須です。

あくまでフルキャリアで勤め上げ、国民年金も満額の場合になりますので、月20万円の年金というのはFIRE(早期退職前提)を目指すサラリーマン投資家にとっては中々現実的には厳しんですよね。

次に、年金だけに依存するリスクについても押さえておきましょう。

3:年金だけに頼る危険性

年金は「老後の最低限の生活費」を支える制度として設計されていますが、年金だけに頼った生活設計は当然大きなリスクが潜んでいます。

支給額は税金・社会保険料の控除後にさらに減る

表面上の年金額を見て「月20万円程度あるなら安心」と思いがちですが、実際には所得税や住民税、国民健康保険料などが天引きされます。

そのため、手取り額はさらに数万円減少し、生活に直結するお金は想像以上に少なくなります。

平均生活費と比べても不足する現実

総務省「家計調査」によれば、高齢夫婦世帯の平均生活費は約23〜26万円。

単身世帯でも月15〜18万円程度が必要とされています。

つまり、年金だけでは毎月数万円の赤字になるケースが一般的で、預貯金や資産運用に頼らざるを得ません。

FIRE世代にとっての心構え

FIREを目指す人にとって、年金は「プラスアルファの収入」と割り切るのが現実的だと私は思います。

あてにしすぎると、想定とのギャップで老後に大きな不安を抱えることになりかねません。

4:FIREと年金の組み合わせ戦略

先程も述べたように、年金はあくまで「プラスアルファの収入」くらいに捉え、投資収入や副業収入を組み合わせるのが合理的。

年金は多ければ多いほど安心ですが、FIRE設計では「年金はないものとして計画を立てる」くらいの余裕を持つ方が安全です。

あくまで配当収入や資産運用を中心にキャッシュフローを積み上げ、年金は付随するボーナスとして捉えることで、早期退職後も安心して暮らせる設計が可能だと個人的には思います。

配当収入を軸にする

高配当株やETFからの配当は、労働に依存しない収入源

長期保有することで安定したキャッシュフローを得られ、さらに増配企業を組み合わせれば「年金+配当=インフレに負けない収入設計」が可能になります。

とくに高配当ETFは分散効果があり、初心者でも取り入れやすい王道の選択肢となります。

資産形成期における配当収入のコツコツとした最大化こそがメイン戦術です。

配当金を最大化させる手段とおすすめの高配当ETFについては、以下記事をご覧ください。

不動産収入をサブの柱に

家賃収入はインフレ耐性があり、配当収入との相性も良好です。

ローン完済後は年金と並ぶ強力な収入源に。

副業収入という柔軟な選択肢

シニア期でも継続できる軽作業やスキル副業は、配当や年金と合わせてキャッシュフローを安定させる補完手段ですね。

「年金+4%ルール」で取り崩す

配当だけで不足する部分は、FIRE資産を4%ルールで取り崩して補うのが基本戦略です。

とくに年金受給開始までの「つなぎ資金」をどう確保するかがFIRE設計のカギとなります。


5:年金を増やすための制度活用

年金は工夫次第で受け取れる額を増やすことも可能です。

制度を知り、積極的に活用することが将来の安心につながります。

繰下げ受給で大幅アップ

知れた手段ではありますが、年金の受給開始を最長75歳まで繰り下げると、受給額は最大84%も増加。長寿リスクに備える有効な手段ですね。

iDeCo・企業型DCの活用

自助努力で積み立てる私的年金制度は、税制優遇を受けながら老後資金を形成できる強力な武器です。

会社員なら企業型DC、個人ならiDeCoを活用することで実質的な年金額を増やせます。

私はiDeCoを積み立て中。

iDeCo資産はほぼ倍増という驚異的な増え方を維持しています。

付加年金という“コスパ最強”制度

これも知れた制度ですが、国民年金に月400円を上乗せするだけで、年額で200円×納付月数分が一生涯もらえます。

年利換算で驚異的な効率を誇り、自営業者やFIRE後に国民年金に切り替わる人にとって有利な制度ですね。

任意加入制度で年金を補強

60歳以降も任意で国民年金を納付し続けることが可能で、未納期間や受給額を補う手段になります。

NISAで私的年金づくり

(これもFIREを目指すサラリーマン投資家で活用していない人はいないだろうと思いますが…)配当金や取り崩しを老後収入に充てる“自分年金”を作るには、NISA口座の活用が最適。

税制優遇を受けながら資産を増やせるため、年金制度の不足分を補う手段になりますね。


6:実際の生活設計に落とし込む

制度や投資を学ぶだけでなく、自分の生活に落とし込んだ具体的なシミュレーションもFIREが近付く程に欠かせないものとなります。

まずは自分の年金額を知る

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分が将来受け取れる年金額を確認しましょう。

私は毎年ハガキは保存しているのですが、毎年少しずつ増え続けるのはちょっと嬉しい気持ちになります。

漠然とした安心感ではなく、数字で把握することは重要だな~と思います。

平均額と生活費を比較

総務省の家計調査を参照し、自分や世帯の生活費と照らし合わせることで「どの程度不足するか」が明確になります。

年金+FIRE資産でシミュレーション

年金と自分の投資資産を組み合わせ、老後のキャッシュフローを年次ベースで試算してみましょう。

これにより「いつFIREできるか」「取り崩し速度は適切か」が見えてきます。

定期的なアップデートを習慣に

経済環境やライフスタイルは変化します。

数年ごとに見直しを行い、現実的な資金計画に修正していくことが、FIRE成功のカギです。

自分の年金見込み額を確認しつつ、FIRE資産との組み合わせを計画的に進めていくことこそが、安心で自由度の高い人生設計につながりますね。

まとめ:年金は最大化、FIREは配当で自由を確保

「年金は月20万円くらいもらえるだろう」という期待は、定年まで働き続ける人の一部にしか当てはまりません。

FIREという早期退職を前提にするなら、年金だけで20万円を確保するのは難しいのが現実です。

だからこそ、

  • 年金は「積み上げられるうちは最大化しておく
  • FIRE資産は「配当収入を軸に構築する

この2本柱で設計することが、FIRE世代にとって最も現実的で安心できる戦略です。

年金をプラスアルファと捉え、積み上げつつ、自分の配当資産から毎月キャッシュフローを生み出す。

これこそが「働かなくても暮らせる仕組み」を実現し、FIREを成功させる最短ルートといえるでしょう。

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断片的な情報に惑わされやすい時代だからこそ、シンプルな投資スタイルを貫いて参ります。

この原則を信条とし、着実に資産形成を続けていきます。

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