株式投資

ソフトバンク(9434)はFIRE向きか?事業内容・業績・配当から投資価値を分析

地味だけれど強い。

株式投資やFIREを志向する人にとって、この言葉ほどしっくりくるセクターは多くありません。私も日本株・米国株ともに、通信株を保有しています。中でもソフトバンク(9434)は、高配当・安定収益・事業多角化という特徴から、長期投資家の関心を集め続ける銘柄の一つです。。

本記事では、2025年12月時点の最新決算情報をもとに、ソフトバンクの事業内容・業績動向・財務・配当推移を整理し、投資価値があるのかを投資家目線で考察します。


ソフトバンク(9434)の事業内容|通信を軸にした5つの収益源

ソフトバンク株式会社は、通信事業を中核としながら、非通信分野へ着実に領域を広げてきました。現在の報告セグメントは以下の5つです。

コンシューマ事業

個人向けのモバイル通信、ブロードバンド、電気サービスなどを展開する主力事業です。
契約者数は安定しており、通信インフラとしての強さがそのままキャッシュ創出力につながっています。5G投資が一巡しつつある現在、利益率の安定感が際立ちます。

エンタープライズ事業

法人向け通信、クラウド、セキュリティ、DX支援などを担う分野です。
テレワークや業務DXの定着により、中長期的な需要は堅調で、通信会社の中でも付加価値の高い領域といえます。

ディストリビューション事業

IT機器や関連製品の卸売を中心とした事業です。
景気の影響は受けやすいものの、全体業績に対する変動リスクは限定的です。

メディア・EC事業

Yahoo! JAPANを中心とした広告、EC、コンテンツ事業です。
広告市場の波はあるものの、安定したユーザー基盤を持ち、通信とのシナジーが活きる分野です。

ファイナンス事業(PayPay)

近年、最も注目すべき成長分野です。
PayPayを中心とした決済・金融サービスが急成長し、2026年3月期中間決算では前年比116.2%増益と、全体業績を大きく押し上げました。非通信分野での高収益モデルが、いよいよ利益として顕在化しています。


最新業績|2026年3月期中間決算は過去最高

ソフトバンクの2026年3月期中間決算は、非常に内容の良い決算でした。

2026年3月期 中間決算ハイライト

  • 売上高:3兆4,008億円(前年同期比+7.9%)
  • 営業利益:6,289億円(+7.3%)
  • 純利益:3,488億円(+7.7%)

すべてのセグメントで増収増益となり、売上・利益ともに過去最高を更新しています。
過去12四半期を見ると業績は横ばい基調でしたが、売上高とEPSは緩やかに成長しており、安定の中の成長という表現が適切でしょう。

業績推移(概算)

決算期売上高(億円)営業利益(億円)純利益(億円)EPS(円)
2023/3期59,1208,5004,80010.2
2024/3期60,8409,2005,00010.6
2025/3期65,4439,9005,24211.0
2026/3期中間34,0086,2893,4887.4
2026/3期予想67,00010,0005,40011.4

通期予想に対する進捗率も、営業利益・純利益ともに6割を超えており、見通しは堅調です。


財務分析|収益性は高いが自己資本比率は低め

収益性

  • ROE:20.55%
  • 営業利益率・純利益率:安定推移

ROEは一般的に望ましいとされる8~10%を大きく上回っており、資本効率は非常に高水準です。通信事業の安定収益に加え、PayPayの利益貢献が効いています。

安定性

  • 自己資本比率:17.0%
  • 有利子負債:横ばい

自己資本比率は30%を下回っており、財務の厚みは決して強くありません。ただし、EPSの変動は小さく、借入を成長投資に活用する「レバレッジ型経営」としては許容範囲ともいえます。

成長性

売上高・EPS・フリーキャッシュフローはいずれも前年同期比で堅調です。
成熟産業である通信業界において、これだけの安定成長を維持している点は評価できます。


配当金推移|インカム投資としての強さ

ソフトバンクの最大の魅力は、やはり安定した配当です。

配当金の推移

年度年間配当金
2020年8.5円
2021年8.6円
2022年8.6円
2023年8.6円
2024年8.6円
2025年8.6円
2026年(予想)8.6円
  • 配当利回り:約4.01%
  • 配当の減配実績なし(上場後)

業績が横ばいの局面でも配当を維持しており、インカム重視の長期投資家には非常に相性が良い銘柄です。

PayPayのポイントがもらえる優待も地味にありがたく、2万円ちょっとで優待が頂けます。

株価チャート

ここ4年で株価は1.5倍に成長。


ソフトバンク(9434)は投資価値があるのか?

株価214円前後、PER18.92倍、PBR3.52倍という指標だけを見ると、割安感はありません。しかし、

  • 高ROE
  • 全事業増収増益
  • PayPayの本格的な利益貢献
  • 4%超の安定配当

これらを総合すると、高配当×成長を両立する通信株として、独自のポジションを築いています。

FIREを目指す投資家にとっては、値上がり益を狙う銘柄ではなく、生活費を支える土台としての役割が明確な銘柄です。


まとめ|ソフトバンクは長期保有向け銘柄

ソフトバンク(9434)は

  • 安定した通信収益
  • PayPayを軸とした成長
  • 一貫した配当政策

を兼ね備えた、長期資産形成に向いた銘柄です。

自己資本比率の低さやサイバーリスクといった注意点はあるものの、それを上回る収益力と株主還元があります。
ポートフォリオの守りと収入を担う一角として、検討する価値は十分にあるでしょう。

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