人生論 資産形成

配当金が増えても、FIREが安心にならない3つの理由

はじめに|「数字は増えたのに、なぜか安心できない」

年を経るごとに、配当金が増えてきました。月1万円、月5万円、月10万…気づけば月40万円も見えてきました。

多くの人がこの段階で、こう感じ始めるのではないでしょうか。
「もう少しでFIREが見えてきたかもしれない」

ですが実際には、この配当が形になり始めた瞬間から、逆に不安が強くなる人は少なくありません。

私自身もまさにその通りで、数字上は着実に前進しているのに、心はなぜか落ち着くことはありません。

この記事では、配当金が増えてもFIREが安心にならない理由を、制度や理屈ではなく、FIREを意識し始めた個人の視点から整理したいと思います。


理由① 配当金が増えると、生活水準も自然と上がる

配当金は収入です。そして収入が増えると、人は無意識に生活水準を引き上げます。

・外食の頻度が増える
・少し良い家電を選ぶ
・将来の固定費を許容し始める

これら浪費ではなく、頑張った自分への正当な対価として、自然に起こります。

私は、FIRE達成までは収入(もしくは配当金)が増えても、生活水準を一切変えないつもりでしたが、家族が増えたことによる外食費の増加や固定費(サブスク)の契約増は免れませんでした。確実に10年前より、生活水準が上がり消費が増えています。(もちろんその分快適・便利になっていますよ。)

しかし、FIREを目指す場合、ここに落とし穴があります。

一度上げた生活水準は、下げにくいのです。特にフルFIREの場合は、収入を増やして調整するという選択肢がありません。

配当金が増えた安心感が、知らないうちに必要生活費を押し上げてしまう。その結果として、

  • FIREに必要な配当額が増える
  • まだ足りないという感覚が消えない

数字は増えているのに、ゴールが遠ざかっていくように感じるのです。


理由② 配当=「働かなくていい」という誤解

FIREという言葉には、もう何もしなくていいというイメージが付きまといます。ですが、配当金で生活するということは完全に何もしなくていい状態ではありません。

実際には、

  • 決算や減配ニュースをチェックする
  • ポートフォリオを定期的に見直す
  • 市場全体の変化に神経を使う

これは労働ではありませんが、やるべきこと・そして家族を養う責任は消えません。

特にFIREを意識し始めると、配当金はご褒美から生活を支える柱に変わります。

この瞬間、配当が減ることへの恐怖や判断を間違えられないプレッシャーが生まれます。

配当金が増えれば増えるほど、その金額に精神的に縛られる。

自由になるために始めた投資なのに、別の不安が増えていると感じるのは、決しておかしいことではありません。


理由③ 不安は金額では解決しない

多くの人が、もっと配当金が増えれば不安は消えるはずと考えることだと思います。

でも実際は、不安耐性は金額と比例しません。

・月3万円の人は「5万円あれば…」
・月5万円の人は「10万円あれば…」
・月10万円の人は「20万円あれば…」

と、基準は常に先へ移動します。

これは配当投資が悪いのではなく、人間の心理の問題です。

FIREを意識すると、失敗したら取り返せないという思考が強くなります。

その結果、

  • 相場下落時に必要以上に不安になる
  • 他人の成功談に焦る
  • 自分の戦略に自信が持てなくなる

つまり、不安の正体は金額不足ではなく、確信不足から訪れます。

以上、理由を3つ上げてきましたが、その他にも、インフレと減配リスクが消えない点や、家族や将来のライフイベントの予測が難しい点も不安が消えない理由の一つです。


じゃあ、どうすればいいのか

配当金でFIREを目指すこと自体は、とても合理的な選択です。

大切なのは、配当金を安心のゴールにしない、そして不安が消えない前提で設計することです。

具体的には、

・生活費と投資資金を明確に分ける

・配当以外の選択肢(労働・副収入)を完全には捨てない

・いくらあれば不安が減るかを言語化しておく

配当金は不安をゼロにする道具ではなく、不安をコントロールしやすくする道具として捉えるのが一つの考え方です。

例えば、①生活費を、最低限・快適・贅沢の3段階でシミュレーションしたり(例:最低限20万円、快適30万円、贅沢50万円)、②配当金以外に現金数年分を確保することで暴落時も配当を崩さないようにしたり、③年に一度もし減配30%になったら…のストレス・テストをしたり、④副業・パートタイムOKのマインドセットを維持したりするなど、具体的な対策を考えておくことで不安をコントロールしやすくなることでしょう。


結論|配当金は増えていい。でも、期待しすぎない

配当金が増えても、FIREが自動的に安心になるわけではありません。

それは、生活水準・心理的責任・不安耐性といった、数字に表れない部分が影響するからです。

配当金は、FIREへの進捗確認にはなりますが、安心の保証書ではありません。

だからこそ、配当金を増やしながらも、自分の感情や生活設計を定期的に見直す。

その積み重ねが、数字以上に納得感のあるFIREにつながることだと思います。

焦らず、比べすぎず、それぞれのペースで。自分なりの資産形成とFIREに向かって進んでいきましょう。


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制度・インフレ・減配リスクといった配当金の構造的な注意点については、こちらの記事で整理しています👇

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