毎月の手取りが25万円。
日本の平均的なサラリーマンにとって、これは決して珍しくない数字です。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、30代男性の平均手取りは約30万円前後ですが、昨今の生活費の高騰を考えると、余裕を感じにくいのも事実でしょう。
私自身、20代の頃に似たような収入で暮らしていました。家賃や食費、光熱費を支払った後に残るのは数万円。
貯金すらままならず、焦りを覚えたこともあります。
しかし、そんな状況でも投資は可能です。
2025年現在、新NISA制度の拡大により、非課税枠が年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)と手厚くなりました。
生涯投資上限も1,800万円に達し、より現実的に資産形成を進められる時代です。
本記事では、手取り25万円でも実現できる投資配分を提案します。

手取り25万円の家計を可視化する
まず、自分の家計を冷静に見つめ直すことから始めましょう。
手取り25万円の額面年収は約400万円前後(月額約32万円程度)と推定されます。
生活費の内訳を見直すことで、投資の余地が見えてきます。
総務省「家計調査」(2024年データ)によると、単身世帯の平均消費支出は約18万円。
残り7万円が貯蓄や投資の原資となりますが、実際には趣味や交際費で目減りしやすいのが現実です。
私の経験から言うと、
生活必需費:50%(12.5万円)
貯蓄・投資:30%(7.5万円)
予備・娯楽費:20%(5万円)
このバランスが無理なく続けやすい黄金比です。
以下は、2025年の物価上昇(消費者物価指数+約2%)を考慮したモデル家計の一例です。
| 項目 | 支出額(目安) | 割合(%) | コメント |
|---|---|---|---|
| 家賃・光熱費 | 7万円 | 28 | 家賃によりますが抑制は可能 |
| 食費 | 4万円 | 16 | 自炊中心に。週1外食でストレス回避 |
| 通信・交通費 | 2万円 | 8 | 格安SIMと定期券で最適化 |
| 娯楽・雑費 | 3万円 | 12 | 削りすぎない。継続には心の栄養も必要 |
| 貯蓄・投資 | 7万円 | 28 | 本記事の焦点。NISA活用で効率化 |
| 予備費 | 2万円 | 8 | 急な出費や冠婚葬祭に対応 |
| 合計 | 25万円 | 100% |
このように固定費を抑える工夫が資産形成の第一歩です。
他にも、ふるさと納税を活用すれば、食費を間接的にカバーしつつ節税効果を得られます。
また、家計簿アプリで支出を見える化するだけでも、心理的な安心感が生まれます。
2025年の投資環境:新NISAがもたらすチャンス
2025年は、新NISA制度の2年目。
金融庁のデータによると、2024年末時点でNISA口座数は約2,559万口座に達し、買付額も急増しています。
特に「つみたて投資枠」の利用者が増加中です。
新NISAの魅力は、非課税期間が“無期限”になったこと。
従来の「5年・20年」という期限がなくなり、長期保有がより現実的になりました。
初心者にとってのポイントは、年間投資枠の柔軟性です。
- つみたて投資枠:年間120万円(低リスクのインデックス中心)
- 成長投資枠:年間240万円(個別株やETFも対象)
手取り25万円の家計なら、まずは月2万円からスタートしても十分です。
年間24万円の積立で、つみたて枠の20%をカバーできます。
楽天証券やSBI証券の調査では、30〜40代の平均投資額は月10万円前後ですが、無理に追う必要はありません。
むしろ、少額でも継続する方が心理的な負担が少なく、リターンも安定します。
2025年の市場見通しも明るめです。日経平均は年末4万5,000円を目指すとの予測(三菱UFJ eスマート証券)もあり、米国の利下げ継続が追い風となっています。
ただし、トランプ政権による関税政策など、地政学的リスクには注意が必要になることから、次章では、リスク管理の考え方を整理します。
リスク管理の基本:手取り25万円だからこそ慎重に
投資の醍醐味はリターンですが、リスクを制御できなければ継続は難しいもの。
Bloombergの分析によると、2025年の株式市場は上昇基調ながら、VIX指数(ボラティリティ)の上昇リスクも指摘されています。
最初にすべきは、生活防衛資金の確保です。
目安は手取りの6ヶ月分、つまり150万円程度を普通預金で確保。
これで、市場下落時のパニック売りを防げます。
また、年齢に応じたリスク許容度も大切です。
楽天証券が紹介する「株式比率=100−年齢」という目安で考えると、30代なら株式70%、40代なら株式60%程度が妥当です。(私は株式の割合はもっと高めでリスクを取っています。)
手取り25万円の投資家であれば、個別株に集中せず、インデックスファンド中心の分散投資をおすすめします。
私自身、2022年の下落相場で株式100%だったポートフォリオが大きく落ち込みましたが、その経験から分散と現金余力の重要性を痛感しました。
現実的な資産配分モデル(手取り25万円・月5万円投資)
日本人の平均貯蓄額(2人以上世帯)は1,307万円(金融広報中央委員会、2024年)ですが、中央値は330万円。
投資によってこのギャップを埋めることができます。
以下は、手取り25万円・月投資額5万円を想定した現実的なモデルです。
| 資産クラス | 配分比率(%) | 月額投資目安 | 理由と商品例 |
|---|---|---|---|
| 現金・預金 | 20 | 1万円 | 流動性確保。普通預金(金利0.37%程度)を活用 |
| 債券 | 20 | 1万円 | 安定収入源。eMAXIS Slim先進国債券などでリスク分散 |
| 国内株式 | 20 | 1万円 | 成長+配当狙い。メガバンク(三菱UFJなど) |
| 海外株式 | 30 | 1.5万円 | S&P500連動ETFで米国成長を享受 |
| REIT・その他 | 10 | 0.5万円 | 不動産リスク分散。インフレヘッジ効果あり |
| 合計 | 100% | 5万円 | 年平均リターン想定4〜6% |
特に、海外株式の比率をやや高めにするのがポイント。
為替リスクを伴う一方で、世界経済の成長を取り込みやすく、日本の賃金停滞に左右されない資産形成が可能になります。
始め方と継続のコツ:小さな習慣から
実際に始めるなら、例えばSBI証券や楽天証券で新NISA口座を開設しましょう。
積立設定を自動化すれば、買い忘れや感情的な判断を避けられます。
そして数ヶ月ごとにリバランス(資産比率の見直し)を行うことで、安定的な運用を継続することができます。
投資の本質を学びたい人は、名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』を一読するのもおすすめします。
多くの図書館で貸し出し可能だと思います。
まとめ:一歩踏み出す勇気が未来を変える
手取り25万円での投資は、決して夢物語ではありません。
新NISAという制度的後押しと、現実的な資産配分を組み合わせれば、誰でも自分のペースで資産を育てられる時代です。
投資をお金儲けではなく自分への投資として捉えてみてください。
手取り25万円の今が、10年後の自由を形づくります。
焦らず、倹約しすぎず、淡々と。それが、最も現実的で持続可能なFIREへの第一歩です。