「もう60代だし、今さら投資なんて遅いのでは?」
そう感じる方は少なくありません。
しかし実際には、退職金や年金をどう活かすかによって、その後の生活の安心度は大きく変わります。
近年は「60代からでも投資を始める人」が増えています。
SNSやYouTubeでも、配当金生活や堅実な資産運用の情報が注目を集めており、守りながら増やす投資が現実的な選択肢になっています。
この記事では、リスクを抑えつつ退職金を活かすための具体的な方法を、初心者にもわかりやすく紹介します。

60代から投資を考える人が増えている理由
定年退職を迎えた後も、人生はまだ20年以上続きます。
平均寿命が延びた今、「老後30年時代」は決して珍しくありません。
退職金や預金をそのまま銀行に置いておくだけでは、物価上昇に追いつかず実質的に資産が目減りしてしまうのが現実です。
また、「年金だけでは生活が不安」「医療費や介護費が心配」と感じる人も多く、その結果として60代からの投資ニーズが年々高まっています。
“投資は若者だけのもの”という時代は終わり。
今は「リタイア後の生活を守るための投資」へと変化しています。
投資の基本方針──「増やす」より「減らさない」
60代からの投資で大切なのは、攻めよりも守りの姿勢です。
たとえば、株価の上下に一喜一憂してしまうような運用は避け、「5〜10年でゆるやかに資産を減らさない設計」を目指すのが現実的です。
安全余力を確保する
まずは生活費や緊急資金を確保し、“使う予定のない資金”だけを投資に回すこと。
退職金の全額を投資に入れるのではなく、生活費2〜3年分+医療・介護費の余裕資金を除いた範囲で考えると安心です。
リスク許容度を見直す
若い頃のようなリスクは取らず、値動きの小さい銘柄や分散効果の高いETFを中心に組み立てるのがベター。
目的は「資産を守りながら、少しでも利回りを得ること」です。
おすすめの投資スタイル
① 配当株・高配当ETFで“安定収入”を得る
最も人気が高いのが、高配当株やETFによるインカム投資です。
株価の上昇益を狙うのではなく、定期的な配当金で“お小遣いのような収入”を得るスタイル。
- 米国ETFなら:VYM、HDV、SPYD、JEPQ
- 日本ETFなら:1489(NF日本高配当50)や1698(日本高配当)など
年間3〜4%の利回りを目安に、配当を再投資していくとゆるやかに資産が増えます。
配当は「下がりにくい収入源」。
老後の年金に“もうひとつの年金”を重ねる感覚で育てていきましょう。
② 債券・REITでリスク分散
株式だけでなく、債券やREIT(不動産投資信託)を組み合わせると安定感が増します。
- 債券ETF(例:AGG、BNDなど)は値動きが穏やか
- REITは不動産由来の分配金を得られ、インフレ対策にも
特に退職金の一部を「守りの資産」に置くことで、暴落時にも安心して保有を続けられます。
③ 現金も残す──取り崩し計画とセットで
投資と現金はセットで考えるのが60代の鉄則。
たとえば以下のようなバランスが現実的です。
- 投資:50〜70%
- 現金・預金:30〜50%
毎月の生活費を「年金+配当」でまかなう設計にすれば、元本を崩さずに安定した生活を維持できます。
退職金・年金をどう運用に回すか
退職金は一括で投資せず、分割して少しずつ運用に回すのがポイントです。
例として、半年〜1年かけて時間を分散すれば、株価の上下リスクを抑えられます。
また、60代でもつみたてNISAを継続活用できます。
非課税枠を使い、安定的なインデックスファンド(例:eMAXIS Slimシリーズなど)で積立を続けるのも賢い選択。
iDeCoは60歳で終了しますが、受け取り後の資金をNISAや特定口座で再投資することで、「運用を止めない」設計にできます。
成功している60代投資家の共通点
1 生活防衛資金を厚く持つ
2 高配当株を中心に、焦らず積み上げる
3 株価よりも“入金力(配当や利息)”を見る
4 情報を鵜呑みにせず、自分のペースで続ける
派手な利益を狙わず、時間を味方につけて資産を減らさない人が最終的に勝ちます。
まとめ──“守りながら生きる投資”を
60代からの投資は、「お金を増やすため」ではなく、「安心して暮らすため」のものです。
資産を守りながら、年金+配当+少しの運用益で生活の安定をつくる。
それがこれからの時代の現実的な投資スタイルです。
焦らず、慌てず、でも止まらず。
今日からでも、あなたの老後を支える投資を始めてみてください。
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