「将来のためにお金を貯めたい」と思ったとき、多くの人がまず思い浮かべるのが「預貯金」です。
私は小学生の頃に、両親から地方銀行の通帳をもらった日のことをよく覚えています。
連れられて行った銀行で、余ったお年玉を貯金してもらったときに、その金額が通帳に記載され、妙に嬉しかったことを鮮明に覚えています。
思えば、この瞬間がお金に興味を持つ瞬間だったのかもしれません…。
それから銀行に行くのは年に1回だけのイベントでしたが、預貯金の魅力と、数十円でしたが利子が付く喜びを子どもの頃から感じていました。
しかし、超低金利が続く現在の日本では、ただ銀行に預けているだけではお金はほとんど増えません。
一方、2024年から始まった新NISA制度によって、投資のハードルは大きく下がりました。
この記事では、「預貯金」と「新NISAでの投資」で、毎月1,000円〜10万円を30年間積み立てた場合、最終的にどれだけ差が出るのかを比較します。

銀行の預貯金金利はいまどのくらい?
まずは現状の金利から確認してみましょう。
2025年現在、大手銀行の普通預金・定期預金の金利は以下の通りです。
| 銀行名 | 普通預金金利 | 定期預金金利(1年) |
|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 0.2% | 0.275% |
| みずほ銀行 | 0.2% | 0.275% |
| 楽天銀行 | 0.2% | 0.5% |
この金利で積み立てても、30年間ではほとんど資産は増えません。
たとえば毎月1万円を普通預金で30年間積み立てた場合、利息を含めても約370万円にしかなりません。
新NISAでの投資を前提とした条件
次に、新NISAでのシミュレーション条件を整理します。
- 積立額:毎月1,000円/1万円/3万円/5万円/10万円
- 期間:30年間(360か月)
- 運用利回り:年6%(全世界株式インデックス=オルカン想定)
- 税金:新NISAなので非課税
この条件で「預貯金」と「新NISA」を比較してみましょう。
積立額ごとの30年後の差
| 毎月の積立額 | 預貯金(年0.2%想定) | 新NISA(年6%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1,000円 | 約37万円 | 約100万円 | 約63万円 |
| 10,000円 | 約370万円 | 約1,000万円 | 約630万円 |
| 30,000円 | 約1,110万円 | 約3,000万円 | 約1,890万円 |
| 50,000円 | 約1,850万円 | 約5,000万円 | 約3,150万円 |
| 100,000円 | 約3,700万円 | 約1億円 | 約6,300万円 |
ネット定期やキャンペーン金利を使えばわずかに増えますが、NISAとの差は圧倒的です。
この結果を見て分かるように、利回りの差が30年という時間で大きく広がることが分かります。
毎月わずか1,000円の積立でも、30年後には約63万円の差が生まれ、毎月10万円の積立なら差は6,300万円にも達します。
これは、複利効果と運用利回りの差が長期間で大きく膨らむことを示す典型的な例です。
銀行預貯金の利息はほとんど増えませんが、新NISAでの長期投資は時間を味方につけることで、少額の積立でも将来大きな資産を形成できる可能性があります。
また、積立額が増えれば増えるほど、リタイア後の生活やFIRE達成のスピードにも直結。
預貯金との資産差が急速に広がります。
このデータからも、「預貯金だけで資産形成するのは難しい」という現実が見えてきます。
少額でも早く投資を始めることが、将来の経済的自由を手に入れる第一歩です。
預貯金が悪いわけではない——でも「目的」を分けよう
預貯金がまったく不要というわけではありません。
生活防衛資金として「半年〜1年分の生活費」を現金で確保しておくのは大切です。
ただし、それ以上のお金を長期間銀行に眠らせておくのは、資産形成の観点からは非常にもったいない選択です。
目的別に分けて考えることが大切です。
- 生活費・急な出費 → 預貯金
- 将来の資産形成 → 新NISAなどの長期投資
このように、お金の性質に合わせて「使い分け」るのが賢い戦略です。
なぜ6%で運用できるのか?オルカンという選択肢
「年6%なんて本当にあり得るの?」と思うかもしれません。
これは、全世界株式インデックス(オルカン)に基づいた、過去数十年の平均リターン(6~8%)をもとにした現実的な数値です。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、アメリカを中心に世界中の株式に分散投資できるファンドで、日本国内でも最も人気の高い新NISA対象商品です。
もちろん、年によってはマイナスになることもありますが、長期で見ると右肩上がりなのが株式市場の歴史です。
「時間を味方につける」という最大の武器
投資の世界で最も強力なのは「複利の力」。
毎年得た利益が再び利益を生むことで、資産が加速度的に増えていきます。
たとえば毎月1万円を積み立てた場合、10年後の差はまだ数十万円程度かもしれません。
しかし20年、30年と経つにつれて、何倍もの差が広がっていきます。
投資の世界ではよく「始めるのが早いほど得」と言われますが、まさにこの複利の力を最大化するためです。
まとめ:預貯金より「投資」という選択を
・預貯金金利は0.2%前後、ほとんど増えない
・新NISAで年6%運用を30年続けると、数百万円〜数千万円の差が出る
・預貯金は生活防衛資金、投資は資産形成と目的を分ける
・オルカンのような世界分散投資は、初心者にも現実的で有効
30年間という時間は、想像以上に「お金に働いてもらう力」を生み出します。
もし今、「投資はまだ早い」「少額だから意味がない」と思っているなら、それは時間という最大の味方を逃しているかもしれません。
1,000円でも、今日から始めること。
それが、30年後の自分にとって最大のプレゼントになることだと思います。
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