2024年からスタートした新NISA制度。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が導入され、これまでよりも柔軟な投資が可能になりました。
ただ、投資家の間でいまも議論が絶えないのが、「年初に一括で投資すべきか?」「それとも毎月コツコツ積立がいいのか?」というテーマです。
本記事では、それぞれの特徴や2024年の実績データをもとに、どちらの投資方法が有利だったのかを検証していきます。
ちなみに私は毎月コツコツ派でして、その最大の理由は入金力不足です…笑

一括投資と積立投資の違いとは
一括投資の基本
一括投資とは、手元資金をまとめて一度に投資する方法です。
リターンを得るスピードが速い反面、相場の変動リスクもそのまま受けることになります。
例えば、年間120万円を1月に一括で投資した場合、その年の相場の動きをダイレクトに反映します。
上昇相場なら早期に大きなリターンを得られますが、下落局面に当たれば短期的な損失を抱えることもあります。
積立投資の基本
一方の積立投資は、毎月一定額をコツコツと投資していく方法です。
「ドル・コスト平均法」により購入価格を平準化できるため、リスクを分散しながら長期的な資産形成が可能です。
年間120万円を毎月10万円ずつ積み立てる場合、相場が下がった月には多くの口数を買えるため、平均取得単価を下げる効果が生まれます。
新NISA制度でできる投資方法
新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを組み合わせることが可能です。
つみたて投資枠
年間120万円までの非課税枠があり、金融庁が指定する長期・積立・分散に適した投資信託やETFを対象としています。
自動積立によって、安定的に投資を続けたい人に向いています。
成長投資枠
年間240万円まで非課税で、株式・ETF・投資信託を自由なタイミングで購入できます。
こちらでは一括投資も積立投資もどちらも可能。
つまり、新NISAでは年間最大360万円まで非課税投資ができ、積立と一括を自在に組み合わせられる仕組みです。
一括投資 vs 積立投資|それぞれのメリット・デメリット
一括投資のメリット
市場が上昇局面にある場合、早くからリターンを得られる点が最大の魅力です。
投資効率が高く、複利効果を最大限に活かせるため、資産形成のスピードが速くなります。
一括投資のデメリット
反面、投資のタイミングが悪いと大きな損失を抱えるリスクもあります。
また、投資初心者にとっては「大金を一度に投じる」という心理的負担が大きい点もデメリットです。
積立投資のメリット
積立投資は、毎月自動的に買い付けを行うことで、相場の上下に一喜一憂せず続けられるのが特徴です。
ドル・コスト平均法により、買い時や売り時を考える手間が省ける点も大きな利点。
少額から始められるため、初心者にも向いています。
積立投資のデメリット
上昇相場では、一括投資に比べてリターンが伸びにくいという弱点があります。
また、投資額が分散されることで複利の効果を得るまでに時間がかかり、資産形成のスピードはやや遅めです。
【実績分析】2024年は「年初一括投資」に軍配
2024年の相場は、日経平均もS&P500も年初から年末にかけて右肩上がりの展開となりました。
この環境下では、1月にまとめて投資した人がより大きな利益を得る結果となりました。
2024年のシミュレーション結果
たとえば、S&P500に連動するETFに年間120万円を投じた場合、
年初に一括投資をしたケースでは+28.4%のリターン、毎月10万円ずつ積み立てた場合は+18.7%**のリターンという差が生まれました。
投資方法 | タイミング | 年間リターン(S&P500連動ETF) | 備考 |
---|---|---|---|
一括投資 | 2024年1月初に120万円投資 | +28.4% | 上昇相場の波をフルに享受 |
毎月積立 | 毎月10万円ずつ計120万円 | +18.7% | 上昇途中の高値づかみが発生 |
差 | – | 約+9.7%差 | 一括投資が優位に |
つまり、一括投資のほうが約9.7%ほど有利だったという結果に。
(参考:S&P500指数は2024年初4,750 → 年末6,100へ上昇)
これは、「上昇相場では早く投資を完了したほうが、時間のメリットを享受できる」という典型的な結果と言えます。
ただし、この傾向はあくまで2024年のような右肩上がりの相場での話。
急落相場や横ばい相場では、積立投資が優位になるケースもあります。
過去データから見る投資手法の傾向
長期的なデータを振り返ると、10年・20年といったスパンでは一括投資の方が最終的な資産額が大きくなる傾向にあります。
これは、早期に市場に資金を投入することで、長期の複利効果を最大化できるためです。
一方で、リスク許容度が低い人にとっては積立投資の安定性が魅力です。
特に相場の変動にストレスを感じやすい人には、積立のほうが継続しやすく精神的にも安心できます。
また、本質的には「投資タイミング」よりも「どの資産に投資するか」の方が成績差に大きく影響します。
S&P500やNASDAQ100といった米国株式型インデックスは、長期的に見て最も高いパフォーマンスを示してきました。
実際どうすべき?NISAでの最適解
初心者は「積立+ときどき一括」が最適
投資を始めたばかりの人には、毎月の積立をベースに、ボーナス時などに一括投資を組み合わせる方法が向いています。
成長投資枠を活用すれば、年初や相場の下落局面でまとめ買いすることも可能です。
この「積立+一括」のハイブリッド型が、心理的にも続けやすく、リスクとリターンのバランスが取れた戦略です。
経験者は「相場判断で一括投資」も有効
投資経験があり、相場の押し目や下落局面を見極められる人は、一括投資のタイミングを狙うのも有効。
特に米国株や先進国株インデックスに長期で投資する場合は、下がったタイミングで一気に買う戦略がリターンの最大化につながります。
まとめ
2024年は、一括投資が圧倒的に有利な一年でした。
上昇相場では早期投資が強みを発揮しますが、逆に不安定な局面では積立投資のリスク分散効果が光ります。
結局のところ、「タイミング」よりも「継続」こそが最強の投資戦略。
無理のない範囲で、つみたて投資をベースに、好機を見極めて一括投資を組み合わせる。
これが新NISA時代における最適解といえるでしょう。
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