米国株式ETFの中でも、JEPI(JPMorgan Equity Premium Income ETF)は「毎月分配型」で高利回りを狙える点から注目を集めています。
私もかれこれ数年保有しておりまして、配当金再投資戦略の6番バッターくらいの活躍を見せてくれている銘柄です。
そこまで保有はしていないものの、毎月1万円程度は安定して配当金を届けてくれます。
JEPIは値上がり益(キャピタルゲイン)+インカム(配当+オプションプレミアム)を二刀流で追求する戦略が特徴です。
その魅力を整理してみましょう。

JEPIの基本情報
- 運用会社:J.P.モルガン・アセット・マネジメント
- ETFタイプ:アクティブETF(S&P500ベンチマーク)
- 経費率:0.35%(アクティブETFとしては低水準)

株価は50~60のレンジを行ったり来たりしていますが、利回り7%~10%程度の超高配当(しかも毎月)でありながらですので、安定して推移していると言えます。
JEPIの運用方針・戦略
(1) インカムとキャピタルの二刀流
JEPIは、米国大型株の現物に投資すると同時に、コールオプションの売却(カバードコール戦略)を組み合わせることで、安定的なインカム収入を狙うETFです。
具体的には、株式の配当金とオプションのプレミアム収入を原資として、毎月分配を目指しています。
この仕組みによって、株価の値上がり益だけに依存せず、市場が横ばいの局面でも一定の収入を得られるため、長期保有でも安定したキャッシュフローを確保しやすくなっています。
言い換えれば、インカムとキャピタルゲインの両方を狙える、いわば「二刀流」の運用が特徴です。
(2) 株式の選定
JEPIのポートフォリオは、ディフェンシブな大型株を中心に構成されています。
これは、市場の急激な変動にも耐えられる比較的安定した銘柄を選ぶことで、リスクを抑えつつ値上がり益も狙う戦略です。
さらに、J.P.モルガンの独自リサーチに基づき、銘柄ごとの割安・割高を分析して投資比率を調整。
その結果、ポートフォリオ全体のリスク・リターンのバランスを最適化し、長期的に安定した運用成果を目指しています。
(3) カバードコール戦略
カバードコールとは、株式の保有と同時にコールオプションを売却する投資手法です。
この戦略により、保有株の値上がり益を一部放棄する代わりに、オプションのプレミアムをインカムとして受け取ることができます。
そのため、株価が大きく上昇しない局面でも、安定したオプション収入を得ることが可能です。
ただし、株価が急上昇した場合には利益が限定される点や、株式市場全体が下落すると損失が発生するリスクもあるため、投資判断には注意が必要です。
このように、カバードコール戦略は安定収入の確保に優れた手法である一方、リターンの上限やリスクの特性も理解した上で運用することが重要です。
毎月分配の魅力
JEPIの最大の魅力は毎月分配型ETFであること。
設定来の分配金実績を見ると、長期保有でも安定したインカムを期待できます。
JEPI 分配金実績(一部抜粋)
分配日 | 分配額(1口あたり $) | 年間利回り目安 (%) |
---|---|---|
2025/10/01 | 0.36 | 8.31 |
2025/09/02 | 0.37 | 8.36 |
2025/08/01 | 0.36 | 8.52 |
2025/07/01 | 0.40 | 8.34 |
2025/06/02 | 0.54 | 8.33 |
2025/05/01 | 0.49 | 8.08 |
2025/04/01 | 0.41 | 7.58 |
2025/03/03 | 0.33 | 7.18 |
2025/02/03 | 0.33 | 7.19 |
2025/01/03 | 0.39 | 7.27 |
2024/12/02 | 0.40 | 6.99 |
2024/11/01 | 0.38 | 7.22 |
2024/10/01 | 0.39 | 7.09 |
2024/09/03 | 0.40 | 7.13 |
2024/08/01 | 0.29 | 7.19 |
2024/07/01 | 0.33 | 7.29 |
2024/06/03 | 0.36 | 7.32 |
2024/05/01 | 0.33 | 7.45 |
2024/04/01 | 0.35 | 7.37 |
2024/03/01 | 0.30 | 7.66 |
2024/02/01 | 0.30 | 8.00 |
ポートフォリオと組入上位銘柄
JEPIは、米国を代表する大型株に投資しています。
銘柄 | 概要 | 保有比率 (%) |
---|---|---|
NVDA | エヌビディア | 1.68 |
ABBV | アッヴィ | 1.68 |
GOOGL | アルファベット | 1.68 |
MSFT | マイクロソフト | 1.67 |
MA | マスターカード | 1.60 |
JNJ | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 1.54 |
V | ビザ | 1.53 |
META | メタ・プラットフォームズ | 1.52 |
AMZN | アマゾン | 1.52 |
ROST | ロス・ストアーズ | 1.49 |
JEPIは、米国の代表的な大型株を中心に構成されており、テクノロジー、ヘルスケア、金融など幅広いセクターに分散投資されています。
特に、エヌビディア(NVDA)、アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、メタ(META)といったテクノロジー銘柄が中心で、成長性と安定性のバランスを意識したポートフォリオです。
また、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、アッヴィ(ABBV)などのヘルスケア銘柄を組み入れることで、市場の変動リスクを抑えながら安定した配当収入を狙う構造になっています。
金融系のビザ(V)、マスターカード(MA)も加えられており、景気動向に応じた安定的な収益源を確保しています。
このように、JEPIは成長株によるキャピタルゲインの追求と、安定株+オプションプレミアムによるインカム獲得を両立できる設計になっており、投資家にとって魅力的なETFと言えます。
6. 過去のパフォーマンス
JEPIは設定以来、安定したパフォーマンスを維持しており、長期投資家にとって魅力的なETFです。
- 3年トータルリターン:11.99%
- 5年トータルリターン:10.62%
これらの数値は、S&P500指数と比較しても優れたリターンを示しています。
特に注目したいのは、JEPIのボラティリティ抑制効果。
カバードコール戦略とディフェンシブ銘柄の組み合わせにより、株価の急激な上下動を抑えつつ、長期的にはS&P500に連動した値上がり益の一部を享受できる設計になっています。
このため、株式市場の変動が激しい局面でも、比較的安定した運用成果が期待できるETFと言えます。
JEPIのまとめ・魅力
JEPIの最大の魅力は、安定したインカム収入と値上がり益の両立です。
毎月分配型で安定したインカムを獲得
株式の配当金とオプションプレミアムを組み合わせることで、毎月定期的なキャッシュフローを生み出すことが可能です。
長期保有を前提とする投資家にとって、収益の見通しが立てやすい点は大きなメリットです。
値上がり益(キャピタルゲイン)も狙える
カバードコール戦略で一部利益は限定されますが、株価の上昇による値上がり益も享受可能。
インカムとキャピタルの二刀流で運用できる点が魅力です。
経験豊富なJPモルガン運用で安心感
運用は世界的に高い実績を誇るJ.P.モルガン・アセット・マネジメントが担当。
長年の運用経験を持つプロがポートフォリオ構築・リスク管理を行うため、投資初心者でも安心感があります。
経費率0.35%でアクティブETFとして低コスト
アクティブ運用でありながら、コストが低水準に抑えられている点も投資家にとって大きな魅力です。
手数料が低いことで、長期運用の複利効果を最大化しやすくなります。
投資にあたっての注意点
投資にはリスクが伴うため、JEPIを購入する際には以下の点に注意が必要です。
過去の実績は将来を保証するものではありません
分配金やトータルリターンは過去のデータに基づくものであり、今後も同じ水準の成果が得られるとは限りません。
カバードコール戦略により株価急上昇時の利益は限定される
オプションプレミアムを得る代わりに、株価が大きく上昇した場合のキャピタルゲインは限定されます。
市場が急騰した際の利益上限を理解した上で運用する必要があります。
元本割れのリスクもある
株式市場の下落や経済環境の変化により、元本割れのリスクは存在します。
長期投資を前提に、リスク分散や資金管理を意識することが重要です。
まとめ
JEPIは、米国大型株への投資とカバードコール戦略を組み合わせることで、安定したインカム収入と値上がり益の両立を目指すETFです。
毎月分配型でキャッシュフローを得られるだけでなく、S&P500に連動した値上がり益も享受できるため、長期投資家にとって非常に魅力的な選択肢となります。
さらに、運用を担当するのは経験豊富なJ.P.モルガン・アセット・マネジメント。
信頼できる運用会社によるプロのポートフォリオ管理により、安心感を持って投資を継続することができます。経費率も0.35%と低水準で、アクティブETFとしてコスト効率も良好です。
ただし、過去の実績が将来を保証するものではないこと、株価急上昇時の利益が限定される点、元本割れのリスクがある点には注意が必要です。
リスクを理解した上で、長期投資の一環としてJEPIを活用することで、安定した資産運用の柱にすることができるでしょう。
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