資産形成

NISAで配当狙いは要注意|配当投資家が「やってはいけない」NISAの使い方7選

「NISAは非課税だから、配当狙いに使うのが一番お得」。

そう考えて、高配当株や高配当ETFをNISA口座で買っている人は多いでしょう。はい、私もそうです。笑

確かに、配当金が非課税になる点だけを見ると、NISAと配当投資の相性は良さそうに見えます。しかし、2024年から始まった新NISA制度を前提に冷静に考えると、配当狙いだからこそやってはいけない使い方が存在します。

この記事では、配当狙いの投資家が陥りやすいNISAの落とし穴を7つに整理し、では、どう使うべきかという視点まで掘り下げて解説します。


新NISAと配当投資の前提整理

新NISAの基本構造(2024年〜)

新NISAは以下の2つの枠で構成されています。

区分成長投資枠つみたて投資枠
年間投資枠240万円120万円
生涯投資枠合計1,800万円(成長枠は1,200万円まで)
非課税期間無期限無期限
投資対象個別株・ETFなど投信(一定条件あり)

旧NISAと異なり、非課税期間が無期限になった点は大きな進化です。一方で、生涯投資枠という上限が明確に存在することが、配当狙いにおいて重要な意味を持ちます。


やってはいけないこと① 高配当利回りだけで銘柄を選ぶ

NISAで配当狙いをする人が最初に陥りがちなのが、とにかく利回りが高い銘柄を選んでしまうことです。

表面利回りが5%、6%と高くても、その配当が将来にわたって維持される保証はありません。減配や無配に転じた瞬間、非課税のメリット以前に、資産そのものが目減りします。

NISAは損益通算ができないため、配当は非課税だが、株価下落の損はそのままという構造になりやすい点を忘れてはいけません。


やってはいけないこと② 成長性のない銘柄で非課税枠を埋める

新NISAの最大の価値は非課税枠を長期間使い続けられることです。

にもかかわらず、

  • 株価がほとんど成長しない
  • 配当だけを吐き出す成熟しきった企業

で非課税枠を埋めてしまうと、本来得られたはずの資産成長の非課税メリットを放棄することになります。

配当狙いであっても、

  • 緩やかでも増配余地があるか
  • 事業自体が拡大しているか

といった時間を味方につけられる企業かどうかを見る視点は不可欠です。


やってはいけないこと③ NISAを「配当専用口座」にしてしまう

NISAはあくまで非課税制度であり、配当専用口座ではありません。

特にFIREを目指す人の場合、

  • 現役期:資産を最大化するフェーズ
  • リタイア期:キャッシュフローを作るフェーズ

という時間軸の考え方が重要になります。

現役期からNISAをすべて配当目的で使い切ってしまうと、将来、本当に非課税で売却したかった成長資産を入れる余地がなくなる可能性があります。


やってはいけないこと④ 分配金が多い投資信託を安易に選ぶ

毎月分配型や高頻度分配型の投資信託は、一見すると配当狙いに向いているように見えます。

しかし実際には、

  • 元本を取り崩して分配しているケース
  • 税制上は分配金でも実質的に資産の先食い

という構造になっている商品も少なくありません。

新NISAでは、つみたて投資枠に分配型は基本的に入れませんが、成長投資枠では購入できてしまいます。
非課税=有利と短絡的に判断するのは危険です。


やってはいけないこと⑤ 配当金の使い道を決めていない

配当狙いでNISAを使うなら、配当金をどう扱うかは事前に決めておくべきです。

  • 生活費に使うのか
  • 再投資に回すのか
  • 将来のためにプールするのか

これが曖昧なままだと、配当金が単なる消費に流れ、資産形成スピードが想像以上に鈍化します。

特に現役期では、配当金を再投資するかどうかで、10年後・20年後の資産額に大きな差が生まれます。


やってはいけないこと⑥ 外国株配当の「二重課税」を放置する

米国株や米国ETFの配当には、現地課税(通常10%)がかかります。

NISA口座では、日本の課税(約20%)は非課税になりますが、外国税額控除は使えません

その結果、

  • 課税口座よりも手取りが少なくなるケース

も現実に存在します。

米国高配当ETFをNISAで持つこと自体が悪いわけではありませんが、NISAだから一番得と思い込むのは危険です。


やってはいけないこと⑦ NISA=正解、特定口座=失敗と考える

最後に、最も大切な視点です。

NISAは万能ではありません。配当狙いにおいては、

  • 特定口座の方が柔軟に売却・入れ替えできる
  • 損益通算や外国税額控除が使える

といったメリットもあります。

NISAだから良い、特定口座だから損という二元論ではなく、目的ごとに口座を使い分けることが、長期投資では重要です。


配当狙いこそ、NISAの使い方に戦略が必要

配当投資は、精神的な安定やキャッシュフローの可視化という大きな魅力があります。
しかし、NISAという限られた非課税枠をどう使うかは、配当利回り以上に重要です。

短期的な非課税で配当がもらえるという快感よりも、

  • 10年後、20年後にどんな状態でいたいか
  • FIRE後にどんな収入構造を作りたいか

という視点でNISAを使えるかどうか。

それが、配当狙い投資家の明暗を分けるポイントになります。

NISA“正しく使えば非常に強力な制度です。
だからこそ、やってはいけないことを知った上で、着実に使いこなしていきましょう。

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