地政学リスクが高まると、株価は一時的に大きく揺れます。
戦争が起きたら株は全部下がる…と思われがちですが、過去の主要紛争を振り返ると、実際は少し違います。
上がるセクターと下がるセクターが、はっきり分かれます。
この記事では、湾岸戦争・イラク戦争・ウクライナ侵攻などのデータをもとに、その傾向を整理していきます。

全体市場の傾向:短期下落 → 早期回復が基本
まずは相場全体の動きから。
戦後の主要な軍事イベント(20件以上)の分析では、
という結果が出ています。
具体例
- 湾岸戦争(1990年)
→ 一時-16.9%下落
→ その後回復し、翌年は+26〜29% - イラク戦争(2003年)
→ 開始前後に下落
→ 1年後 +26.7%
つまり、最初は下がるけど、意外と戻るのが早いというのが歴史的なパターンです。
ただし、日本株は少し注意が必要です。後述しますが、エネルギー依存の高さから影響を受けやすい構造があります。
戦争で上がる株・セクター【勝ち組】
では、どこが強いのでしょうか。
① 防衛・航空宇宙(王道)
最も分かりやすい有事銘柄です。
戦争や緊張状態では軍事費が増え、防衛企業の受注が増えるため、株価に直結します。
代表例
- 米国:LMT、RTX、NOC、GD
- 日本:三菱重工(7011)、IHI(7013)、川崎重工(7012)
過去の紛争では、5〜15%超の上昇が見られるケースが多数あります。
ただし、短期で上がっても、その後は市場全体に引っ張られることも多いという特徴があります。
ずっと勝ち続けるセクターというより、初動が強いセクターと捉える方が現実的です。
② エネルギー・石油
戦争=供給不安 → 原油価格上昇という流れで、エネルギー企業は恩恵を受けます。
湾岸戦争では原油価格が一時的に約2倍近く上昇し、市場全体が下げる中、エネルギーはプラスでした。
最近の中東情勢でも、エクソンモービル(ExxonMobil)やシェブロン(Chevron)などは相対的に強い動きを見せています。
ただしここも重要で、 供給不安が解消されると原油価格は落ち着くことから、株価も調整という流れが訪れます。
短期テーマになりやすい点は押さえておきたいところです。
③ 金・資源(安全資産)
いわゆる逃避先として、金(ゴールド)や一部資源には資金が流入しやすく、短期的に上昇しやすい傾向があります。
戦争で下がる株・セクター【負け組】
逆に、明確に弱いのがこちら。
① 航空・旅行・クルーズ
ここはかなり分かりやすく、燃料費の高騰と渡航制限・需要減のダブルパンチです。
実例
- Delta、Unitedなど → 数%〜10%超下落
- 日本:JAL・ANAも同様
有事のたびに繰り返されている典型パターンです。
② 消費・景気敏感株
原油高は、企業にも家計にもコスト増として効いてきます。
その結果、小売やサービス、陸運などがじわじわ効いてきます。
日本では、 原油価格が10%上昇すると、数週間株価軟調といった傾向が指摘されています。
過去の主要紛争まとめ(データ簡易整理)
| 紛争 | S&P500の動き | 強いセクター | 弱いセクター |
|---|---|---|---|
| 湾岸戦争(1990) | 一時-16.9% → 回復 | エネルギー・防衛 | 航空・旅行 |
| イラク戦争(2003) | 1年後 +26.7% | エネルギー・防衛 | 一部消費 |
| ウクライナ侵攻(2022) | 約-7% → 反発 | 防衛・エネルギー | 航空・景気株 |
こうして見ると、初動は下げるもののその後は回復する、そして防衛・エネルギーが強く、航空が弱いという構図は、時代が変わっても繰り返されています。
一方で、戦争の規模や長期化によっては例外もあり、最終的には市場全体に影響が広がる点には注意が必要です。
日本投資家への示唆
日本は構造的に影響を受けやすい国です。
- 原油の中東依存:約95%
- 海上輸送(ホルムズ海峡)リスク
つまり、 戦争=日本株全体が揺れやすいという前提があります。
その中での整理として
ただし注意点として、 長期化するとインフレ・景気悪化で全部下がる展開もあり得るので、楽観はしすぎない方が良いです。
最後に:大事なのはパターン理解と距離感
戦争は人間にとっては悲劇ですが、市場は不確実性の変化に反応します。
だからこそ、初動は下げやすいけれど、回復は意外と早いという動きが繰り返されてきました。
ただし、戦争の規模や期間、経済への影響によって結果は大きく変わります。
結局のところ一番大事なのは、 短期の動きに振り回されすぎないことです。
長期・分散という軸を持ちながら、こういう動きになりやすいという知識だけ持っておくという距離感が、いちばん現実的だと思います。
注意事項
本記事は過去データに基づく一般的な傾向の整理です。
特定の銘柄推奨や投資勧誘ではありません。
投資はご自身の判断とリスク許容度に基づいて行ってください。
市場環境は常に変化します。
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