金融・資本市場で自民党総裁選への注目度が高まっています。
小泉進次郎農相が勝てば円高が進むとの声がある一方、高市早苗前経済安全保障相なら株高・円安が加速すると指摘されており、日経平均株価が最高値圏で推移するなか、相場の先行きを占ううえでも大きな焦点となっています。
今回は、小泉氏・高市氏・林氏の3候補を中心に、政策テーマと関連銘柄を交えて、市場の予測シナリオを整理しました。(※あくまで予測です。)

小泉氏勝利:労働市場改革・GX・農業改革が注目
- 日経平均株価:下落
政策の具体性がまだ不透明で短期的な株価調整の可能性。 - 円相場(ドル円):上昇(円高)
不透明感からリスク回避の円買いが進む傾向。 - 円金利:低下
日銀の金融緩和継続が意識され、長期金利は低位安定。
政策テーマ株例
人材サービス・リスキリング
- リクルートHD(6098)、パーソルHD(2181)、パソナG(2168)
→ 労働流動化・賃上げ・人手不足で外部人材需要が継続
モビリティ・配車DX
- DeNA(2432)、JVCケンウッド(6632)、大和自動車交通(9082)、アイサンテクノロジー(4667)
→ 規制緩和とドライバー不足で配車効率化が焦点
再エネ・省エネ(GX)
- レノバ(9519)、ウエストHD(1407)
→ 2050カーボンニュートラルに向けた設備投資・O&Mが息長く続く
農業改革(スマートアグリ)
- クボタ(6326)、井関農機(6310)、オプティム(3694)、ACSL(6232)、サカタのタネ(1377)、ニチレイ(2871)
→ 精密営農・省人化・流通高度化・輸出強化が長期テーマ化
高市氏勝利:成長・防衛・先端技術への積極投資
- 日経平均株価:上昇
経済成長・企業支援姿勢で株価にプラス期待。 - 円相場(ドル円):下落(円安)
利上げ観測により海外資金流入、円安圧力が想定される。 - 円金利:上昇
強めの金融政策観測で長期金利が上昇。
政策テーマ株例
核融合・量子コンピューター
- 三菱重工業(7011)、日立製作所(6501)、古河電気工業(5801)、NEC(6701)、富士通(6702)、NTT(9432)、フィックスターズ(3687)
防衛・危機管理・サイバー
- FFRIセキュリティ(3692)、ラック(3857)、NTTデータ(9613)、サイバートラスト(4498)、スカパーJSAT(9412)
宇宙開発
- 三菱重工業(7011)、IHI(7013)、ispace(9348)
林氏勝利:現状維持路線
- 日経平均株価:横ばい~やや下落
政策は安定志向で大きな追い風はなし。 - 円相場(ドル円):横ばい
金融政策の現状維持が意識されるため大きな変化はなし。 - 円金利:横ばい
金利も現状維持で推移。
候補者別 政策テーマ × 注目銘柄
| 候補者 | 政策テーマ | 主な関連銘柄 |
|---|---|---|
| 小泉進次郎 | 労働市場改革(雇用流動化) | リクルートHD(6098)、パーソルHD(2181)、パソナG(2168) |
| リスキリング&モビリティ | インソース(6200)、KIYOラーニング(7353)、DeNA(2432)、大和自動車交通(9082)、アイサンテクノ(4667) | |
| GX・再エネ・農業改革 | レノバ(9519)、ウエストHD(1407)、クボタ(6326)、井関農機(6310)、オプティム(3694)、ニチレイ(2871)、ACSL(6232)、サカタのタネ(1377)、タクマ(6013)、eRex(9517) | |
| 高市早苗 | 量子・HPC・最適化 | NEC(6701)、富士通(6702)、フィックスターズ(3687) |
| サイバーセキュリティ | トレンドマイクロ(4704)、FFRIセキュリティ(3692)、ラック(3857)、NTTデータ(9613)、サイバートラスト(4498) | |
| 宇宙・防衛 | 三菱重工(7011)、IHI(7013)、ispace(9348)、QPS研究所(5595) | |
| 国土強靭化 | 応用地質(9755)、不動テトラ(1813) | |
| その他成長テーマ | 古河電気工業(5801)、住友電工(5802)、神戸製鋼(5406)、日本電気硝子(5214)、スカパーJSAT(9412) | |
| 林芳正 | 現状維持(大きな新テーマなし) | 銘柄選別は限定的(既存政策の継続が中心) |
上記の表からも分かるように、候補者ごとに市場で注目されやすいテーマや関連銘柄は大きく異なります。
小泉進次郎氏は「労働市場改革」や「GX(グリーントランスフォーメーション)」を前面に掲げる可能性が高く、人材関連株や再エネ関連株が注目されやすいシナリオです。
特にリスキリング(学び直し)やモビリティサービスといった、働き方改革や新しい産業構造の変化に直結する企業への関心が高まると考えられます。
高市早苗氏は「経済安全保障」を軸に据えており、量子・HPC・サイバーセキュリティ・防衛宇宙といった国家戦略級の分野が政策の柱になる可能性があります。
これらは政府調達や補助金と密接に結びつきやすいため、関連銘柄は政策報道に敏感に反応する点が特徴です。
林芳正氏は現実路線を重視し、大きな新テーマを打ち出すよりも、既存政策の延長線上で経済運営を進める姿勢を見せると見られます。
この場合、特定のテーマ株が大きく動くよりも、全体相場の安定感や継続性に注目が集まる展開が想定されます。
候補者別マーケット予想まとめ(表)
| 候補者 | 日経平均株価 | 円相場(ドル円) | 円金利 | 政策テーマ・関連銘柄 |
|---|---|---|---|---|
| 小泉氏 | ↓ | ↑ | ↓ | 労働市場改革・GX・農業改革(リクルート、DeNA、レノバ、クボタなど) |
| 高市氏 | ↑ | ↓ | ↑ | 成長・防衛・先端技術・AI(三菱重工、NEC、FFRI、IHIなど) |
| 林氏 | → | → | → | 現状維持・安定政策 |
この表は、自民党総裁選で誰が勝利するかによって、市場がどのように反応するかを示した予測シナリオです。
小泉氏が勝利した場合には、労働市場改革やGX(グリーントランスフォーメーション)、農業改革といったテーマが前面に出ることで、人材関連株や再エネ関連株、さらには農機や物流といった分野の企業に関心が集まりやすいと考えられます。
ただし、金融緩和的なスタンスが意識されれば、円安や低金利圧力が強まり、株価にはやや下押し要因となる可能性もあります。
一方で、高市氏が勝利した場合は、防衛や先端技術、経済安全保障を重視する政策が想定されます。
量子コンピューターやサイバーセキュリティ、宇宙・防衛関連といった国家戦略級のテーマ株が物色されやすく、政府調達や補助金との結びつきが強いため、株価は政策報道に敏感に反応する展開が見込まれます。
その流れの中で、財政支出や規制強化が意識されれば、円高や金利上昇を伴いつつも、株価全体を押し上げる可能性があります。
林氏が勝利した場合は、現実路線を重視した政策運営が中心となり、大きな新テーマは打ち出されないと見られます。
そのため、市場へのインパクトは限定的で、特定のテーマ株が大きく動くよりも、全体相場の安定感に注目が集まる展開になると考えられます。
注意点
本記事は、各候補者の政策や過去の発言、関連銘柄から見た市場予測シナリオで、実際の株価・為替・金利は、海外市場や地政学リスクなど複数の要因で変動する可能性があります。
矢印や銘柄例はあくまでイメージであり、投資判断の唯一の根拠にはしないようにご注意ください。
まとめ
次期総裁選の結果は、短期的には株価・円相場・金利に大きく影響する可能性があります。
- 小泉氏:政策テーマ株を中心に中長期の成長期待はあるものの、短期的には不透明感で株価調整や円高の可能性。
- 高市氏:成長・防衛・先端技術を軸に株価上昇・円安・金利上昇のシナリオが想定される。
- 林氏:現状維持で市場は比較的安定、急激な動きは見込みにくい。
政策テーマと関連銘柄を理解することで、読者は「総裁選の勝者による市場変化」を具体的にイメージできます。
株価や円相場の動きに敏感な投資家や、政策テーマ株に注目したい方にとって、有用な指標となるでしょう。
また、最後に再確認ですが、ここで示した銘柄はあくまで予測による参考例であり、投資判断の唯一の根拠とするものではなく、全く違う展開になることも十二分にあり得ます。
投資助言でも御座いませんので、最終的な判断はご自身の責任で行い、株価の動きを楽しむくらいの感覚で、政治と市場の動きを見守ってまいきましょう。
最近よく見聞きする、金融所得課税という言葉。今後の動きも気になります。心と頭の備えはしておくべきでしょう。
