日本化薬は、1915年創業の化学メーカーです。火薬・染料から始まった会社は、現在では「安全」「機能性」「医療」という3つの領域に軸足を置き、多角的な事業展開で安定した収益基盤を築いています。さらに、日経累進高配当株指数の採用銘柄でもあり、安定配当と株主還元の継続性を重視する企業として投資家から評価されています。
本記事では、日本化薬の事業内容の特徴、直近の業績推移、財務の安全性、配当金推移、投資価値を整理しながら、日経累進高配当指数に採用された理由を紐解いていきます。

日本化薬の事業内容|ニッチ領域で強みを持つ3つの柱
日本化薬の事業は大きく3つの領域に分かれています。いずれもニッチかつ高い技術力を求められる分野で、単なる多角化にとどまらないシナジーのある事業構造が同社の一番の魅力です。
モビリティ&イメージング事業領域
自動車のエアバッグ起爆装置、インクジェットプリンターのインク材料などを扱う事業です。
エアバッグ関連部品では世界上位のシェアを確保しており、EVシフトにより安全部品需要は底堅く、2025年は自動車市場の回復も追い風となっています。特にエアバッグ用起爆装置は参入障壁が高いことから、長期的に安定収益が期待できる領域です。
ファインケミカルズ事業領域
樹脂添加剤、電子材料、農薬原料など、機能性化学品を中心とする領域です。
半導体や電子材料向けの需要が堅調で、環境対応型添加剤など成長テーマに沿った製品も揃います。顧客ごとにカスタマイズするすきま技術が評価され、他社が参入しにくい市場を確立しています。
ライフサイエンス事業領域
医薬品と農薬を手掛ける領域で、特に医薬品は日本化薬の成長の柱へと育ちつつあります。
がん領域に強みがあり、抗体薬物複合体(ADC)技術の強化が進んでいます。世界的に医薬品市場は年平均8%の成長が見込まれており、この領域は今後の日本化薬の収益ドライバーとなる可能性があります。
日本化薬の最新業績|増収増益予想と利益の回復基調
2026年3月期中間決算では、売上・利益ともに重要な動きがありました。
売上高は1,135億7,500万円で前年同期比4.1%増加しました。営業利益は106億1,800万円で前年同期比4.9%減少しましたが、ファインケミカルズとライフサイエンス事業は堅調でした。純利益は116億8,900万円と前年同期比95.7%増加しており、これは投資有価証券売却益が寄与したものです。
通期業績予想(最新)
| 項目 | 予想値 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,398億円 | +7.7% |
| 営業利益 | 213億円 | +4.4% |
| 経常利益 | 209億円 | ▲6.1% |
| 当期純利益 | 204億円 | +16.5% |
増収増益の見込みであり、全体としては堅実な回復基調と言えます。
財務状況|自己資本比率70%超の極めて安定したバランスシート
日本化薬の財務安全性は非常に高く、自己資本比率は71.6%と上場企業の中でもトップクラスの高さです。
総資産は3,919億円(前期比4.9%増)で、有利子負債は増加傾向にあるものの、これだけの自己資本比率があれば財務リスクは極めて限定的です。現金及び預金の増加も見られ、手元流動性は十分です。
キャッシュフローを見ると、営業CFが182億円(前年同期比+23.8%)と本業の収益力は確実に改善しています。投資CFは支出が大幅に減少し、財務CFも安定しています。
収益性と成長性|改善傾向が続く利益率
日本化薬の収益性は中長期的に改善傾向です。
営業利益率と純利益率は過去数年で着実に回復しており、直近の四半期でもその傾向が続いています。ROEは6.52%とまだ伸びしろがある水準ですが、医薬品事業が成長すれば中長期的な改善が期待できます。
売上高とEPSは増加傾向で、四半期ごとの振れはあるものの、成長性を評価できる内容です。
株価推移

長期投資向けの安定したチャートです。
配当金推移|安定と増配が両立する魅力的な株主還元
日本化薬は安定した配当政策を続けており、近年は増配基調が鮮明です。
| 年度 | 配当金(円) |
|---|---|
| 2020 | 30 |
| 2021 | 30 |
| 2022 | 40 |
| 2023 | 45 |
| 2024 | 45 |
| 2025 | 60 |
| 2026 | 60(予想) |
利回りは3.66%、PERは12.51、PBRは0.94(株価1638円ベース)と、割安感を持ちながらしっかりと配当がもらえる設計となっています。
日本化薬の投資価値|安定×成長のバランスが魅力
総合的に見ると、日本化薬は守りと成長のバランスに優れた企業です。
財務の健全性は際立っており、景気後退局面でも大きく崩れにくい構造があります。ニッチ市場での強み、医薬品事業の成長余地、安定した配当政策が魅力で、高配当・FIRE向けポートフォリオでも役割を果たします。
ROEなど改善の余地は残りますが、それも将来の伸びしろと捉えられるでしょう。FIRE志向や高配当・長期投資を進めたい方にとって、同社は守りが強く、成長の芽もある企業として検討に値する銘柄ですね。
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