資産形成

現金を持てば持つほど貧乏になる理由― インフレ時代のFIRE戦略 ―

近年、インフレの影響が日常生活に及ぶ中で、資産形成や早期リタイア(FIRE)を目指す人々にとって、現金の役割を見直す必要性が高まっています。
多くの人にとって現金は安全な資産に映りますが、インフレ環境下では実質的に価値が目減りする資産でもあります。

本記事では、なぜ現金を持つほど貧乏になるのかという仕組みを解説し、インフレ時代に適したFIRE戦略について考えていきます。


インフレの基礎:お金の価値が目減りする仕組み

インフレとは、物価が継続的に上昇する現象を指します。
同じ金額の現金で買える商品やサービスの量が減る、という形で私たちの生活に影響します。

インフレは統計上の数字だけでなく、私たちの生活の中でも確実に進んでいます。実際、子どもの娯楽価格からもその変化を実感しました。

例えば、今年100円で買えた商品が来年110円になると、現金の購買力は約10%低下したことになります。

日本では長らくデフレが続いていましたが、近年は状況が変化しています。
2025年時点の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年比で約2%台の上昇が続いており、食品やエネルギー分野では体感インフレ率がさらに高くなっています。

一方で、銀行預金の金利はほぼゼロ水準に近く、インフレ率を下回る状況が続いています。

この結果、お金は減っていないのに、使える価値だけが減るという現象が起こります。


現金保有が貧乏化を招く理由

現金を多く持つほど貧乏になる最大の理由は、インフレによる実質的な資産価値の低下です。

仮に100万円を現金で保有し、年2%のインフレが10年間続いた場合、その購買力はおよそ82万円相当まで低下します。

数字上は減っていなくても、使える力は確実に削られているのです。

また、心理面も重要です。
現金は安心感を与えてくれますが、その安心は短期的なものに過ぎません。
インフレが進行すると生活費が増え、結果として貯蓄を切り崩す構造に陥りやすくなります。

守っているつもりの現金が、長期的には生活の自由度を奪っていく。
これが、現金保有が貧乏化につながる本質です。

インフレ環境では、名目の収入や配当額が増えても生活の余裕が増えないケースもあります。
この点については、以下の記事で詳しく整理しています。


歴史から学ぶインフレと資産の関係

日本では1970年代のオイルショック時に高インフレを経験しました。
その際、現金の価値は急激に低下し、株式や不動産といった実物資産を持っていた人の方が相対的に資産を守ることができました。

一方、米国では長期的に見ると、株式市場の平均リターンはインフレ率を大きく上回っています。
S&P500の長期平均リターンはおおむね年10%前後とされ、インフレを差し引いても実質的な成長を続けてきました。

ここから読み取れるのは、インフレ環境では現金よりも長する資産が重要になるという事実です。


資産クラス別:インフレへの強さ比較

資産クラス平均年リターン(目安)インフレ調整後リターンリスク水準
現金(預金)約0.001%マイナス(インフレ2%時)
日本株(日経平均)約8~10%約6~8%
米国株(S&P500)約10%約7%前後中高
債券約2~3%約0~1%低中

この表から分かる通り、現金はインフレに対して最も弱い資産です。
一方、株式は価格変動リスクを伴うものの、長期では購買力を維持・拡大できる可能性が高い資産といえます。

株式、とくに高配当株は、インフレ下でも収入源を確保しやすい資産クラスです。


インフレ時代に適したFIRE戦略

FIREを目指す人にとって、インフレは最大の敵です。
従来の「4%ルール」も、インフレ率の上昇を前提に調整が必要とされています。

重要なのは、現金比率を下げ、成長資産を組み込むことです。

具体的には、日本株と米国株を組み合わせた分散投資、株式と債券を併用したポートフォリオ構築が有効です。

また、FIRE後もインフレによる生活費上昇に備え、支出を柔軟に調整できる設計が重要になります。
固定費を抑え、資産収入と生活費のバランスを保つことで、インフレ環境下でも持続可能な生活が可能になります。

かつて有効とされた「4%ルール」も、インフレ時代には再検討が必要になっています。日本の現状に即した考え方については、こちらで詳しくまとめました。


実践的なステップ:まず何から始めるか

最初に行うべきは、現在の資産配分を把握することです。

現金が過剰になっている場合、少しずつ投資に振り分けることで、インフレ耐性のある資産構成に近づけることができます。

NISA制度などの税制優遇を活用し、長期・分散・積立の視点で運用することが現実的な選択肢となります。

重要なのは、一気に変えることではなく、構造を変えていくことです。


結論:現金信仰から脱却することが、FIREへの第一歩

現金を持てば持つほど貧乏になる理由は、インフレによって購買力が奪われるからです。

これは投資をしていないこと自体が、リスクを取っている状態とも言えます。

インフレを敵と捉えるのではなく、資産成長の視点から味方につける。
この発想の転換こそが、インフレ時代におけるFIRE戦略の本質です。


インフレに負けないためには、資産を動かし続けることが重要です。その具体策として有効なのが、配当金の再投資です。

現金で持つか資産として育てるかで、将来の差は大きく開きます。両者の違いを数字で比較しました。

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断片的な情報に惑わされやすい時代だからこそ、シンプルな投資スタイルを貫いて参ります。

この原則を信条とし、着実に資産形成を続けていきます。

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