仕事納めは、一年の業務を終える区切りであると同時に、自分の働き方や人生設計を静かに振り返る貴重なタイミングでもあります。多くの人が来年も同じように働くことを前提に新年を迎えますが、その前提自体を一度疑ってみる価値はあるのではないでしょうか。
本記事では、投資やFIRE、資産形成に関心のある方に向けて、働き続ける前提を見直す意味と、その先にある選択肢について整理します。

なぜ私たちは働き続ける前提を疑わないのか
日本社会に根付く継続前提の思考
日本では長らく、定年まで働くこと、会社に属し続けることが標準モデルとされてきました。終身雇用や年功序列が揺らいだ現在でも、その思考の名残は強く残っています。特に日々の業務に追われていると、疑問を持つ余白すら失われがちです。
忙しさが思考停止を生む
平日は仕事、週末は疲労回復。こうした生活リズムの中では、本当にこの働き方を続けたいのか、他の選択肢はないのかを考える時間が後回しになります。だからこそ、仕事納めという節目は、意識的に立ち止まる好機です。
「来年も働く」が悪いわけではない
問題は無意識の前提
ここで誤解してほしくないのは、働き続けること自体を否定しているわけではないという点です。仕事にやりがいや成長を感じている人にとって、来年も働く選択は自然で健全です。
ここで少し、私自身の話もしておきたいと思います。
正直に言えば、私は最近、仕事が楽しく、やりがいを感じています。毎月安定して振り込まれる給料にも、今でも素直にありがたさと喜びを覚えます。
だからこそ、働くことそのものを否定したいわけではありません。むしろ、納得感を持って働けている今の状態は、過去の自分から見れば理想に近いとも言えます。
それでもなお、来年も働き続ける前提でしか考えていない自分に、ふと違和感を覚える瞬間があります。
楽しい仕事と、選択肢のない働き方は、似ているようでまったく別物だからです。
つまり問題となるのは、その選択が無意識の前提になっている場合です。選んでいるつもりでも、実は選択肢が見えていないだけ、というケースは少なくありません。
資産形成がもたらす前提を外す力
お金はゴールではなく選択肢を増やす手段
投資や資産形成の本質的な価値は、単に資産額を増やすことではありません。働かないと生きていけないという前提を少しずつ外し、人生の選択肢を広げる点にあります。
以下は、資産形成の有無による選択肢の違いを整理したものです。
| 状態 | 働き方の選択肢 | 心理的余裕 |
|---|---|---|
| 資産形成なし | 働き続けるしかない | 不安が大きい |
| 生活防衛資金あり | 転職・休職が視野に入る | やや余裕あり |
| 配当・不労所得あり | 働き方を選べる | 高い |
FIREを目指す過程そのものが、来年も同じように働くしかないという思考から距離を取らせてくれます。
2025年以降の環境変化も無視できない
インフレと賃上げのギャップ
近年の日本では物価上昇が続く一方、実質賃金の伸びは限定的です。2025年時点でもこの構造は大きく変わっておらず、働き続ければ安心という前提は以前ほど強固ではありません。
働き方の多様化が進む現実
副業解禁、リモートワーク、個人での情報発信など、働き方の選択肢は確実に広がっています。それにもかかわらず、思考だけが旧来のままでは、変化の恩恵を受けにくくなります。
仕事納めに自分へ問いかけたい3つの視点
来年も今の働き方を「選びたい」のか
続ける理由が他に選択肢がないからなのか、納得しているからなのか。この違いは大きな意味を持ちます。
収入源は一つである必要があるのか
給与一本に依存している状態は、思っている以上にリスクが高いものです。配当、事業、副収入など、小さくても複数の柱を持つ意識が重要です。
お金が理由で諦めていることは何か
時間、健康、家族との時間。もしそれらを犠牲にしているなら、資産形成の方向性を見直す価値があります。
まとめ:前提を疑うことが、自由への第一歩
仕事納めに考えたいのは、来年も働くかどうかそのものではありません。来年も働き続ける前提で思考停止していないかという点です。
投資や資産形成は、人生を劇的に変える魔法ではありません。しかし、前提を一つ外す力は確実に持っています。選べる状態で働くのか、選べないまま働くのか。その差は、年を重ねるほど大きくなります。
この年末、少しだけ立ち止まり、自分の前提を見直してみてはいかがでしょうか。それだけでも、来年の景色は静かに変わり始めるはずです。