新NISAと特定口座、結局どっちが得なんだろう?
投資をしていると、一度は必ずぶつかる疑問です。
2024年から始まった新NISAは制度として非常に魅力的ですが、一方で特定口座にもあえて使う価値が残っているのも事実です。
本記事では、制度の表面的な違いではなく、資産形成・FIRE目線でどちらが得かを整理します。

新NISAと特定口座の基本的な違い
まずは制度の全体像を、シンプルに整理しておきましょう。
新NISAとは何か(2026年時点)
新NISAは、投資で得た利益がすべて非課税になる制度です。
2024年から制度が刷新され、以下の特徴があります。
- 非課税期間は無期限
- 生涯投資枠は1,800万円
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用可能
- 売却すれば、その分の枠は翌年以降に復活
長期・積立・分散投資を前提にした、日本の個人投資家にとって最強クラスの優遇制度と言っていいでしょう。
特定口座とは何か
特定口座は、通常の課税口座です。
株式やETF、投資信託など、ほぼすべての商品を自由に売買できます。
- 利益・配当には20.315%の税金
- 売買制限なし、金額上限なし
- 損失が出た場合は損益通算・繰越控除が可能
税制面では不利ですが、自由度と柔軟性の高さが最大の特徴です。
関連記事
新NISAと特定口座の比較表
| 項目 | 新NISA | 特定口座 |
|---|---|---|
| 利益への税金 | 非課税 | 約20.3%課税 |
| 投資上限 | 生涯1,800万円 | 制限なし |
| 非課税期間 | 無期限 | なし |
| 損益通算 | 不可 | 可能 |
| 投資の自由度 | 一部制限あり | 非常に高い |
この表だけを見ると、どう考えても新NISA一択では?と思うかもしれません。
ですが、得かどうかは投資スタイル次第で変わります。
「税金ゼロ」だけで新NISAを選ぶと失敗する理由
新NISAの最大の魅力は非課税ですが、それだけで判断すると、思わぬ落とし穴があります。
売却タイミングが心理的に縛られる
新NISAでは、せっかくの非課税枠を使っているのだから売りたくないという心理が強く働きます。
結果として、明らかに投資方針がズレた銘柄を持ち続ける、リバランスが遅れる、機動的な資産配分変更ができないといった問題が起こりがちです。
損失を活かせない
特定口座であれば、損失は他の利益と相殺できます。
しかし新NISAでは、損失が出ても税制上はなかったことになるため、投資の失敗を制度的に取り戻すことができません。
これは、特に個別株や高ボラティリティ商品を扱う人にとって重要なポイントです。
結論:どっちが得かは「投資の役割」で決まる
ここで結論です。
新NISAと特定口座に、絶対的な優劣はありません。
得かどうかは、その資産に何をさせたいかで決まります。
新NISAが圧倒的に向いている人
新NISAが最も力を発揮するのは、次のようなケースです。
- 長期保有が前提
- 売買回数が少ない
- インデックス投資や高配当ETF中心
- FIRE後の生活費の土台を作りたい
つまり、人生のコア資産を置く場所として最適です。
関連記事
特定口座をあえて使うべき人
一方で、特定口座が向いているのは、
- 中短期の売買を行う
- 個別株の入れ替えが多い
- 相場環境に応じて柔軟に動きたい
- 損益通算を戦略的に使いたい
といった、機動性重視の投資です。
FIREを目指す人におすすめの現実解
FIREを意識する投資家にとっての最適解は、新NISA100% or 特定口座ゼロではありません。
現実的には、新NISAは生活費を生む長期資産(インデックス・高配当ETF)、特定口座はサテライト投資・調整用・戦略的売買
という役割分担が、最もストレスが少なく、長続きします。
制度を最大限活かすとは、全部を一つに詰め込むことではなく、制度の性格に合った使い方をすることです。
関連記事
新NISAと特定口座の具体的な使い分け例
ここからは、結局どんな商品を、どちらの口座で持てばいいのか?を具体例ベースで整理していきます。
制度の理解よりも、このパートが読者の行動を決めます。
新NISA向きの具体例【長期・非課税の恩恵を最大化】
新NISAに向いているのは、できるだけ売らず、時間を味方につける資産です。
① 全世界株式・S&P500などのインデックスファンド
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
これらは値動きがあっても、売らずに持ち続けること自体が戦略になります。
仮に30年保有し、元本1,000万円 → 2,500万円になった場合、差額1,500万円がまるごと非課税になるのは、新NISAならではです。
インデックス投資の王道は、新NISAとの相性が極めて高いと言えます。
② 高配当ETF(長期保有前提)
- VYM / HDV / SPYD
- 日本高配当ETF(1489、2529 など)
配当は本来、受け取るたびに約20%課税されます。
しかし新NISAで保有すれば、配当も売却益もすべて非課税です。
FIRE後に生活費の一部を配当でまかなうという目的があるなら、新NISAは配当専用口座として非常に合理的です。
特定口座向きの具体例【柔軟性と戦略性を活かす】
一方で、特定口座が活きるのは動かす前提の資産です。
① 個別株の売買・入れ替え
- 決算で期待が外れた
- 業績は良いが株価が先行しすぎた
- 投資テーマが変わった
こうした理由で売却する場合、特定口座なら心理的なブレーキがかかりにくい。
さらに、別の銘柄で出た利益と損益通算ができます。
個別株投資をする人ほど、新NISA一本に寄せすぎるのはリスクになります。
② 短中期のテーマ投資・ETF
半導体・AI・ロボティクス・防衛・エネルギー・新興国株。これらは、数年単位で波に乗って降りる投資になりやすい分野です。
新NISAで持つと、売り時を逃しやすくなり、枠を使ったことが心理的負担になるというデメリットが出ます。
特定口座で割り切って運用した方が、結果的にパフォーマンスが安定するケースも多いです。
【ケース別】どっちが得か一目で分かる例
| 投資スタイル | 得になりやすい口座 | 理由 |
|---|---|---|
| 20年以上の積立投資 | 新NISA | 非課税×長期複利が最大化 |
| FIRE後の配当収入 | 新NISA | 配当課税ゼロの恩恵が大きい |
| 個別株の回転売買 | 特定口座 | 損益通算・自由度が高い |
| 相場に応じた戦略変更 | 特定口座 | 売却の心理的制約が少ない |
「全部新NISA」にしない方がうまくいく理由
新NISAは確かに強力ですが、万能ではありません。
すべてを新NISAに詰め込むと、売れない・動けない・修正できないという状態になりがちです。
一方で、
- 新NISA=守りのコア資産
- 特定口座=攻めと調整のサブ資産
と役割を分けておくと、相場が荒れても判断がブレにくくなります。
制度は正解より「相性」
新NISAと特定口座の違いは、得・損という単純な話ではありません。
- どれくらいの期間持つのか
- どれくらい動かしたいのか
- その資産は人生のどの役割か
これを一度言語化してみると、自然と置き場所は決まります。
制度に合わせて投資を変えるのではなく、投資に合わせて制度を選ぶ。
それが、長期で資産形成を続ける人の共通点です。
まとめ:どっちが得かではなく、どう使うか
新NISAと特定口座、どっちが得か。この問いに対する答えは以下に集約されます。
得かどうかは、自身の投資に何を期待するかで決まる。
税金ゼロの魅力は確かに大きい。しかし、自由度や柔軟性を捨ててまで選ぶものでもありません。
制度に振り回されるのではなく、自分の人生設計に制度を合わせる。
それが、資産形成を長く続けるための、いちばん知的な選択だと思います。
新NISAはいくらから始めるべきなのでしょうか。
新NISA成長投資枠。効果的に使っていきましょう。
配当金月5万円を達成するためには?という記事です。






