ついこの間まで「仕事中心の人生」が当たり前とされていましたが、今では「ワークライフバランス」や「FIRE」といった言葉が広く使われるようになりました。
つい最近では、自民党総裁選で新総裁に選ばれた高市早苗さんが新総裁に選ばれた後、党所属の国会議員を前にしたあいさつで「私自身もワーク・ライフ・バランスを」…といったスピーチをしたことで、話題となっています。
「ワークライフバランス」と「FIRE」は、どちらも「より自分らしい生き方」を求める考え方ですが、似ているようで目指すゴールは大きく違います。
本記事では、ワークライフバランスとFIREの共通点・相違点を整理しながら、「自分に合った働き方・生き方」を考えるヒントをまとめます。

ワークライフバランスとは?
ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和を意味します。
単に「残業を減らす」や「休暇を取りやすくする」といった表面的な施策ではなく、仕事をしながらも自分や家族、趣味、学びといった人生の他の要素を充実させることを目指す考え方です。
日本では長らく「仕事第一」が美徳とされてきましたが、少子高齢化や人手不足、働き方改革の流れの中で、ワークライフバランスの重要性が強調されるようになりました。
リモートワーク、副業解禁、フレックスタイム制などもその延長線上にあります。
重要なのは、ワークライフバランスが働き続ける前提の最適化であるという点です。
つまり、「どう働くか」を工夫することで人生の質を高めていくアプローチと言えます。
FIREとは?
一方のFIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的自立と早期リタイアを意味します。
資産運用や投資によって生活費をまかなえる仕組みを作り、働く必要から解放される自由を手に入れることが目的です。
FIREは近年、特にミレニアル世代やZ世代の間で注目を集めています。
長時間労働や会社依存の働き方に疑問を持ち、より自由で主体的な生き方を求める流れの中で広がってきました。
ワークライフバランスが「働き方の改善」であるのに対し、FIREは「働かなくてもいい状態」を目指す点で大きく異なります。
つまり、FIREは究極的に“働かない自由”を獲得する戦略なのです。
共通点と相違点
両者には共通点と相違点があります。
- 共通点
- 仕事だけに縛られない人生を目指す
- 自分らしい生き方を実現することがゴール
- 「幸福度」を基準に人生を再設計する点
- 相違点
- ワークライフバランス → 働きながらも生活の充実を追求
- FIRE → 資産を基盤に働かなくても生きられる自由を獲得
言い換えると、ワークライフバランスは現在の働き方をどう改善するか、FIREは将来の働かない自由をどう実現するかに焦点が置かれています。
どちらを目指すべきか?
結論から言えば、「どちらが正しい」ということは無いと考えます。
ワークライフバランスは、比較的短期的に取り組める現実的な改善策で、働き方を工夫し、余暇を大切にすることで、すぐに人生の質を高めることができます。
一方でFIREは長期的な資産形成が必要であり、達成には投資や節約、戦略的なキャリア選択が欠かせません。
その分、実現したときの自由度は圧倒的。
両者は対立するものではなく、その過程において両立も可能だと思います。
ワークライフバランスを意識しながら余剰資金を投資に回し、少しずつFIREに近づいていく。
これが現実的かつ持続的なアプローチと言えるでしょう。
私自身の体験から
私自身もFIREを目指して資産形成を続けていますが、同時にワークライフバランスを意識した働き方を心がけています。
一時期は自分のスキルも乏しく、仕事に追われる毎日で「自由が欲しい」と強く渇望し、そこからFIREを目指し始めました。
ですが、今は働き方そのものを見直し、残業は基本的にお断りし、定時退勤を徹底することで、自分の時間や家族との時間を確保できています。
もちろん仕事を制限する中でも、自分の成長や楽しさを感じられる範囲で主体的に取り組むようにしています。
その結果、「仕事」「家庭」「自分の時間」のバランスを取りながら、FIREに向けた資産形成も進める」という二重の満足感を得られるようになりました。
まとめ
ワークライフバランスとFIREは、いずれも「仕事だけに縛られない生き方」を目指すという点で共通しています。
しかし、前者は「働きながらの最適化」、後者は「働かなくてもいい自由」と、アプローチやゴールは異なります。
大切なのは、自分にとって何を優先したいのかを考えること。
「今を充実させたいのか」
「将来の自由を優先するのか」
その答えによって、選ぶべき方向性も変わってくるでしょう。
どちらを選んでも正解です。
むしろ両者をバランスよく取り入れることで、より豊かで自由な人生をデザインすることができるのだと思います。
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