FIRE。つまり、経済的自立と早期リタイア。
多くの人は、高収入を得られる限られた人のものだと考えがちです。しかし視点を変えてみると、公務員という職業はFIREに近づきやすい構造を持っていることが見えてきます。
本記事では、公務員はなぜFIREと相性がいいのかという問いに対し、収入構造・制度・投資環境の観点から解説します。

FIREに本当に必要なのは「高年収」ではない
FIREというと高収入が必須というイメージを持たれがちです。しかし実際には、FIREの成否を分けるのは年収の高さそのものではありません。
重要なのは、
①安定した収入が長期間続くこと
②支出をコントロールできること
③余剰資金を継続的に投資に回せること
この3点です。
この条件を当てはめると、公務員はFIREにおいて極めて有利な立場にあることが見えてきます。
理由① 収入の安定性が「投資をやめない力」になる
投資で最も大きなリスクは、相場の上下ではありません。
不安定な収入によって、積立を継続できなくなることです。
民間企業では、景気悪化や業績不振により、
- ボーナスの大幅減少
- 突然の配置転換や転職
- 収入の急変
が起こり得ます。一方で公務員は、景気に左右されにくい給与体系と雇用の安定性があります。
このブレにくさは、長期投資において極めて重要です。相場が下落しても、淡々と積立を続けられる。これは、理屈では分かっていても、多くの人が実行できない行動です。
理由② 年金・退職金という“見えない資産”を持っている
公務員には、厚生年金に加えて共済年金の仕組みがあり、将来の年金受給額が比較的読みやすいという特徴があります。また、退職金制度も依然として大きな安心材料です。
これにより、公務員が目指すFIREは完全無収入を前提とする必要がありません。
FIRE資産額を引き下げられるという強み
例えば、老後に一定の年金収入が見込める場合、
- 必要な運用資産額を下げられる
- セミFIRE・サイドFIREという選択肢が現実的になる
といった柔軟な設計が可能になります。
これは、年金が不安定になりがちなフリーランス層にはない、公務員ならではの強みです。
理由③ 支出管理しやすい生活構造
FIREのもう一つの柱は支出の最適化です。
この点においても、公務員は有利な立場にあります。
- 生活リズムが安定している
- 見栄消費や過度な付き合いが比較的少ない
- 転居や単身赴任の頻度が限定的
結果として、固定費をコントロールしやすく、貯蓄率を高めやすい傾向があります。
貯蓄率がFIREスピードを左右する
年収が同じでも、貯蓄率が10%と30%では、資産形成スピードは大きく異なります。
公務員は収入を増やすよりも貯蓄率を安定的に高める戦略が取りやすく、結果としてFIREに近づきやすいのです。
理由④ 新NISAとの相性が非常に良い
2024年からスタートした新NISAは、長期・積立・分散投資を前提とした制度です。これは、まさに公務員の収入構造と噛み合います。
以下に、公務員と新NISAの相性を整理します。
| 観点 | 公務員 | FIRE戦略との関係 |
|---|---|---|
| 収入 | 安定的・予測可能 | 積立投資を継続しやすい |
| 投資期間 | 長期視点を持てる | 複利効果を最大化 |
| リスク耐性 | 高い | 下落相場でも継続可能 |
派手な投資戦略は不要です。
制度を理解し、淡々と使い続ける人が、最終的に大きな差を生みます。
理由⑤ FIREを「段階的」に実現できる制度環境
公務員は、辞めるか続けるかの二択ではありません。
- 休職制度
- 育児・介護休暇
- 再任用制度
などを活用することで、働き方を調整しながらFIREに近づくことができます。
これは、いきなり全てを手放すリスクを避けたい人にとって、大きな安心材料です。
まとめ|公務員は見通し明るくFIREに近づける職業
公務員は、短期間で資産を爆発的に増やす職業ではありません。
しかし、
- 収入が安定している
- 制度的な下支えがある
- 長期投資と相性が良い
という特徴を活かせば、再現性の高いFIREルートを歩むことができます。
FIREとは、派手な成功物語ではなく、構造を理解し、時間を味方につける戦略です。
その意味で、公務員という職業は、想像以上にFIREと相性が良い存在だと言えるでしょう。
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