子育て真っ盛り世代の私たち家族にとって、ドラッグストアは日常生活に欠かせない存在です。
日用品から飲み物・お菓子、栄養食品、赤ちゃん用品まで、気づけば月に何度も足を運んでいます。
そんな身近な存在でありながら、実は株式市場でも安定成長を続ける企業があります。
それが、クリエイトSDホールディングス(3148)です。
神奈川県を中心に全国で店舗を展開するドラッグストア大手で、近年は「調剤薬局併設型店舗」に力を入れながら、着実に売上と利益を伸ばしています。
今回は、このクリエイトSDホールディングスの事業内容・業績・配当推移・成長性をわかりやすく整理し、投資先としての魅力を徹底解説していきます。

クリエイトSDホールディングスとは|事業内容と特徴
クリエイトSDホールディングスは、神奈川県を地盤とするドラッグストアチェーン「クリエイトSD」を展開する企業。
事業セグメントは以下の3つで構成されています。
- ドラッグストア事業:医薬品・化粧品・食料品・日用雑貨などを販売。調剤薬局併設型店舗を積極展開。
- スーパーマーケット事業:地域密着型の食品スーパーを運営。
- 介護事業:高齢化社会を背景に、介護用品販売・在宅支援サービスを展開。
とくに中核となるドラッグストア事業では、調剤薬局の強化が業績拡大のカギとなっており、医療と生活を結びつける地域密着型の店舗運営が特徴です。
ドミナント出店戦略:神奈川県シェアNo.1
同社の最大の強みは、「ドミナント出店戦略」による圧倒的な地盤の強さです。
神奈川県だけで約430店舗(全体の約55%)を展開し、関東全体では787店舗という高密度ネットワークを構築。
この集中出店により、配送・広告・人材配置などの効率を極限まで高めています。
実際に「1km圏内にクリエイトが3軒ある」という声も珍しくなく、物流効率化とブランド認知拡大を同時に実現する戦略が功を奏しています。
成長を支える“スーパードラッグ”モデル
近年のクリエイトSDは、「調剤+生鮮食品」を掛け合わせたモデルへと進化しています。
精肉・青果・鮮魚まで揃う店舗も多く、食品売上構成比は業界平均(20%未満)を大きく上回ります。
「風邪薬+今晩の夕飯の食材+処方箋」が1店舗で完結する利便性が支持され、特に共働きや子育て世代からは“時短神店”として親しまれています。
調剤薬局併設による地域医療の中核的役割
クリエイトSDのもう一つの柱は、調剤薬局併設率の高さ(約58%)にあります。
門前薬局ではなく、複数の医療機関の処方箋を受け付ける“面分業型”を採用し、在宅訪問薬剤師の配置も進めています。
その結果、調剤売上比率は業界平均(約10%)を上回る水準となり、地域医療の玄関口としてシニア層からも信頼を着実に高めています。
値引きに頼らない「EDLP戦略」と高粗利経営
同社は「EDLP(Everyday Low Price)」を掲げ、セールやチラシに頼らない価格政策を展開。
牛乳98円、卵98円といった安値を維持しつつ、PBブランド「くらしモア」で粗利を確保しています。
「毎日が特売日」という安心感でリピーターを増やし、価格競争に強い安定収益モデルを築いています。
M&Aによる成長戦略と長期目標
2025年以降は、北関東・甲信エリアへのM&Aを積極化。
中期経営計画では、2030年に売上高6,800億円を目指す方針を掲げています。
「調剤」「食品」「エリア拡大」の3本柱で持続的成長を図り、ローカルチェーンから*関東最強ドラッグストアグループ”へと進化を続けています。
最新業績と経営状況|安定感と成長性の両立
売上・利益ともに堅調に推移
2026年5月期 第1四半期決算では、以下の通り増収増益を達成しています。
売上高:1,215.86億円(前年同期比 +6.7%)
営業利益:56.33億円(同 +6.6%)
経常利益:59.08億円(同 +8.0%)
純利益:39.96億円(同 +16.7%)
既存店の売上好調に加え、調剤部門の伸長や新規出店・M&A効果が寄与しました。
処方箋応需枚数・単価も堅調に推移しており、コロナ禍後も安定的な需要が続いています。
貸借対照表と安定性
- 総資産:2,345.15億円(前期末比 -0.9%)
- 純資産:1,438.48億円(同 +0.8%)
- 自己資本比率:61.3%(前期60.3% → 改善)
自己資本比率が60%を超えるなど、財務健全性は高い水準です。
現金及び預金の減少は、設備投資や出店戦略に伴う一時的なものと考えられます。
成長見通し(2026年5月期)
通期では以下のように増収増益・増配を見込んでいます。
売上高:4,915億円(前期比 +7.5%)
営業利益:241億円(同 +6.5%)
純利益:163億円(同 +3.9%)
1株配当:90円(前期比 +12円)
堅実な成長が続いており、過去12四半期でも売上・EPS・利益率が改善傾向にあります。

株価は上昇中もまだまだ割安水準と言えます。
指標・バリュエーション
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 3,195円(2025年11月時点) |
| 予想PER | 12.66倍 |
| PBR | 1.43倍 |
| ROE | 11.49% |
| 自己資本比率 | 60.3% |
| 配当利回り | 約2.82% |
PER・PBRともに過熱感はなく、堅実な成長企業として適正水準といえます。
特にROEが10%を超えている点は、資本効率の高さを示しています。
配当金推移|毎年増配を継続する魅力
クリエイトSDホールディングスは、安定した業績を背景に、着実な増配を続けています。
配当性向を無理に引き上げることなく、利益成長に合わせた堅実な株主還元を実施しています。
| 年度 | 1株配当(円) |
|---|---|
| 2021年 | 44円 |
| 2022年 | 46円 |
| 2023年 | 52円 |
| 2024年 | 64円 |
| 2025年 | 78円 |
| 2026年(予想) | 90円 |
5年間で約2倍の増配となっており、今後も安定的な成長に応じて増配余地があります。
利回りも約2.8%と高すぎず、持続可能な還元方針といえます。
クリエイトSDホールディングスの強みと魅力
① 調剤薬局との一体運営による成長性
医療と生活の両面を支える「調剤併設型ドラッグストア」は、今後の成長ドライバーです。
処方箋応需件数・単価の上昇は業績を押し上げています。
② 財務の健全性と安定経営
自己資本比率60%以上、ROE約11%と財務・収益性ともに安定。
店舗数も無理のないペースで増加しており、急拡大リスクが少ない点も魅力です。
③ 継続的な増配と株主重視の姿勢
配当性向を抑えつつ増配を続けており、長期保有投資家にとって安心できる配当政策。
安定配当+成長による“トータルリターン”が期待できます。
④ 業界全体の成長追い風
少子高齢化や健康志向の高まりにより、ドラッグストア・調剤薬局業界は今後も需要が堅調に推移する見通しです。
投資家視点から見たまとめ
クリエイトSDホールディングス(3148)は、「堅実な成長」「安定した財務」「継続的な増配」この3点を兼ね備えた優良ディフェンシブ銘柄です。
特に、FIREや長期資産形成を目指す投資家にとっては、
- 業績のブレが少ない
- 配当が着実に伸びる
- 医療・調剤の需要が底堅い
といった理由から、ポートフォリオの安定軸として検討する価値があります。
今後も調剤部門の拡大や地域密着戦略によって、さらなる増収増益と増配が期待されます。
短期的な派手さはないものの、長期投資・配当重視の投資家にとっては非常に魅力的な存在です。
ちなみに株主優待(お買い物券)もあります。
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