楽天証券のETF・ETN売買代金ランキングを見ていて、少し意外なことがありました。
ランキング1位だったのが、1570「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」、いわゆる日経レバだったことです。

私は普段、高配当株や高配当ETFを中心に投資していることもあり、ETFと聞くとVYMなどの米国ETFや、日本の高配当ETFを思い浮かべます。
そのため、VYMや高配当ETFではなく、日経レバが1位なんや…というのが率直な感想でした。
しかもランキングを見ると、2位には日経平均の下落時に上昇する1357日経ダブルインバース、3位にも1458楽天ETF‐日経レバレッジ指数連動型が入っています。
なぜ、これほどレバレッジETFの売買が活発なのでしょうか。
今回は楽天証券の売買代金ランキング1位だった1570について、仕組みや人気の理由、メリット・デメリット、そして私なら買うのかまで調べてみます。
はなぜこんなに人気?-1024x538.png)
1570(日経レバ)とは?
まずは1570の基本情報を確認してみます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 証券コード | 1570 |
| 正式名称 | NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 |
| 運用会社 | 野村アセットマネジメント |
| 上場日 | 2012年4月12日 |
| 売買単位 | 1口 |
| 信託報酬 | 年率0.88%以内(税込) |
| 分配金 | 年1回(実績はほぼ0円) |
| 純資産総額 | 約7,500億円規模 |
| 対象指数 | 日経平均レバレッジ・インデックス |
1570は、日経平均株価そのものに連動するETFではありません。連動を目指しているのは、日経平均レバレッジ・インデックスです。
最大の特徴は、日経平均株価の日々の騰落率の約2倍の値動きを目指すことです。
たとえば、ある日に日経平均が3%上昇すれば、1570は理論上約6%上昇。
反対に日経平均が3%下落すれば、1570は約6%下落することになります。
信用取引を利用しなくても、ETFを普通に買うだけで日経平均に対してレバレッジをかけられる商品というわけです。
日経平均が上がればそのまま2倍儲かるわけではない
1570について最初に理解しておきたいのが、日経平均の長期間の上昇率を単純に2倍にする商品ではないということです。
あくまで基準になるのは1日ごとの値動きです。
日経平均レバレッジ・インデックスは、大まかには、前日の指数値 ×{1+2×日経平均の前日比変動率}という考え方で計算されます。
そのため、1日だけを切り取れば日経平均の約2倍の値動きになります。
しかし、2日、1週間、1カ月、1年……と保有期間が長くなっていくと、日経平均の期間騰落率のちょうど2倍にはなりません。
1570でよく聞く減価とは?
レバレッジETFについて調べると、よく出てくる言葉が「減価」です。簡単な例で考えてみます。日経平均が100からスタートしたとします。
- 1日目に10%上昇 → 100 → 110
- 翌日に約9.09%下落 → 110 → 100(日経平均は元の水準に戻る)
同じ値動きを2倍レバレッジで考えると、
- 1日目は+20% → 100 → 120
- 翌日は約-18.18% → 120 → 約98.2
日経平均は100に戻ったのに、レバレッジ側は約98.2になってしまいました。
これが、レバレッジETFを長期間保有するときに注意したいポイントです。上昇と下落を繰り返す相場では、日々2倍という仕組みによって徐々に基準価額が不利な方向へ動く場合があります。
日経平均が最終的に元の位置まで戻ったからといって、1570も元に戻るとは限りません。一方で、上昇が継続する強いトレンド相場では、複利効果がプラスに働き、一定期間では日経平均の上昇率の単純な2倍を超えるケースもあります。
それでも1570が楽天証券の売買代金1位なのはなぜ?
ここまで見ると、そんなに難しいETFが、なぜ売買代金1位になるの?と思います。
私もそこが気になり調べてみると、1570には短期売買をする投資家にとって魅力的な特徴がいくつもあります。
日経平均に簡単にレバレッジをかけられる
通常の現物取引で日経平均ETFを100万円購入しても、100万円分の値動きしかありません。
一方、1570なら日経平均の日々の値動きに対して約2倍の値動きを狙えます。
しかも、信用取引を使う必要がありません。
上昇相場では大きな利益を狙える
レバレッジは下落時には怖いですが、上昇時には大きな武器になります。特に上昇トレンドが継続すると、日々の複利効果がプラス方向に働きます。
個別株を選ばなくてもいい
日経平均が上昇すると予想していても、銀行株を買うのか、半導体株を買うのか、商社株を買うのかといった個別銘柄の選択は難しいものです。
1570なら、日経平均が上がるという方向性だけを予想すればいい。
個別企業の決算やニュースによって、その銘柄だけ急落するリスクを避けられるのも特徴です。
圧倒的に売買が活発
純資産総額が約7,500億円規模と国内レバレッジETFとして非常に大きく、出来高も多い。マーケットメイク制度の対象でもあるため、希望する価格で取引しやすいです。
デイトレードやスイングトレードと相性がいい
普通の日経平均ETFよりも値幅が大きくなるため、短期売買をする投資家からすると利益を狙いやすくなります。短期売買が何度も行われることで、売買代金も大きくなります。
1570の値動きは想像以上に大きい
レバレッジETFなので当然ですが、実際の値動きを見るとかなり激しいものがあります。

2026年は、年初来安値が約42,510円だった一方、年初来高値は約86,380円をつけています。
安値から高値までを見ると、約2倍です。
もちろん、安値で買って高値で売れるほど投資は簡単ではありません。
逆に高値付近で買ってから大きな調整が来れば、かなりの損失を抱える可能性があります。
日経平均が5%下落する局面なら、1570は単純計算で約10%下落することになります。
100万円投資していれば約10万円。
日経平均が10%急落するような局面なら、1570では約20%の下落が想定されます。
100万円なら約20万円の損失となります。
上昇時の2倍だけではなく、下落時も2倍という点は忘れてはいけません。
1570にはほかにも注意点がある
減価以外にも注意したい点があります。
まず、1570は先物取引などを利用して日経平均の約2倍のエクスポージャーを作っています。
そのため、先物の限月を乗り換えるロールオーバー時のコストや、信託報酬などが発生します。
対象指数と完全に同じ値動きになるとも限らず、トラッキングエラーもあります。
また、市場の需給によってETFの市場価格と基準価額に乖離が生じる可能性もあります。
1570は非常に流動性の高いETFですが、日経平均の2倍だから簡単という商品ではありません。
個人的には、やはり短期売買に慣れた上級者向けの商品という印象です。
1570と信用取引ならどちらを選ぶ?
日経平均や株価の上昇を予想して、自己資金以上の値動きを狙う方法は1570だけではありません。
信用取引を利用する方法もあります。簡単に比較すると次のようになります。
| 1570 | 信用取引 | |
|---|---|---|
| 投資対象 | 日経平均 | 個別株・ETFなど |
| レバレッジ | 日々約2倍 | 自分で調整可能 |
| 銘柄選び | 基本不要 | 必要 |
| 金利 | 信用金利なし | 信用金利あり |
| 減価 | あり | 1570のような日次リセットによる減価はない |
| 個別株リスク | 小さい | 銘柄による |
| 向いている人 | 日経平均の方向性を狙いたい人 | 銘柄を選んで投資したい人 |
私自身、1570を購入したことは一度もありません。
もしレバレッジを利用するのであれば、私は信用取引で業績や財務などを確認したうえで、比較的手堅い個別株やETFを買う方法の方が自分には合っています。
もちろん信用取引にも金利や追証、大きな損失につながるリスクがあるため、こちらが安全という意味ではなく推奨はしません。
私なら1570を買う?
結論として、私は1570を買わないと思います。
1570そのものが悪いETFだからではありません。
今回調べてみて、むしろ売買代金ランキング1位になる理由はよく分かりました。
日経平均が上昇すると予想する短期投資家にとって、
- 個別株を選ぶ必要がない
- 信用取引を使わず約2倍の値動きを狙える
- 流動性が非常に高い
- 大きな値幅を狙える
というのは大きな魅力です。
ただ、私が目指している投資とは方向性が少し違います。
私は短期間で資産を大きく増やすことより、配当を受け取りながら資産を積み上げていく投資の方が自分には合っています。
1570で大きな値上がり益を狙うよりも、1489(日経平均高配当株50ETF)やVYMなどを積み上げて、保有口数・株数と配当金を少しずつ増やしていく。
FIREを目指す私としては、こちらの方が安心して続けられます。
1570が資産を大きく動かすための加速装置だとすれば、1489やVYMは資産とキャッシュフローをコツコツ積み上げるための土台というイメージでしょうか。
どちらが正解というわけではありませんが、私は後者を選びます。
まとめ|1570が人気なのは納得。でも私には合わないETFだった
今回は楽天証券のETF・ETN売買代金ランキングで1位になっていた1570日経レバについて調べてみました。
最初は、なぜVYMや高配当ETFではなく、レバレッジETFが1位なんだろう?と思いましたが、調べてみると、その理由はかなり明確でした。
1570は、
- 日経平均の日々の値動きの約2倍を狙える
- 信用取引を使わなくてもレバレッジをかけられる
- 個別株を選ばなくてもいい
- 流動性が非常に高い
- デイトレードやスイングトレードで値幅を狙いやすい
という特徴があります。
だからこそ短期売買が活発になり、売買代金ランキングでも上位の常連になっているのでしょう。
一方で、日々の値動きが約2倍になるということは、下落時のダメージも大きくなります。
さらに日次リセットによる複利効果があるため、長期間の日経平均の上昇率を単純に2倍にした結果にはなりません。
売買代金1位=長期投資にもおすすめではないという点は、今回調べてみて改めて感じたところです。
私自身はこれからも1570で大きな値幅を狙うより、1489やVYMなどを少しずつ積み上げ、配当金を増やしていく投資を続けていきたいと思います。
