FIREを目指すとき、多くの人がリタイア後も、そのまま日本で暮らすものだと無意識的に考えると思います。
もちろん、日本は安全で、医療水準も高く、安心して暮らせる国です。実際、FIRE後の生活拠点として非常に優れているのは間違いありません。
ただ一方で、視野を少し広げてみると、選択肢は日本だけではありません。
私自身も海外に興味があり、大学生の頃にお金を貯めてヨーロッパやアジアを旅した経験があります。(今ではインフレと為替の影響、環境の変化により長らく行けていませんが…。)実際に現地を旅すると、日本とは違う価値観や生活コストの違いを肌で感じることができました。
物価の安い国で生活コストを抑える。
税制の有利な国で資産を効率よく守る。
気候やライフスタイルに合わせて、自分に合った環境を選ぶ。
こうした住む場所の最適化は、FIRE後の満足度を大きく左右します。
ということでこの記事では、日本人の現実的な選択肢として人気の高い国を比較しながら、FIRE後にどこで暮らすべきかを整理していきます。
なお、ビザや税制は頻繁に変更されるため、最終判断は必ず最新の公式情報や専門家の確認を前提にしてください。
特に税制やビザは個人の状況(収入源・資産額・家族構成)で大きく変わるため、税理士や移民コンサルタントへの個別相談も有効です。

比較のポイント(FIRE目線)
比較のポイントは以下です。
さらに重要なのが以下の点です。
また、家族で移住する場合は生活費が1.5〜2倍程度になることが多く、ビザ要件も変わる点には注意が必要です。
見かけの生活費より10〜20%余裕を持たせる設計が現実的です。
FIRE移住おすすめ国ランキング2026
1位:タイ(チェンマイ・バンコク・パタヤ)
総合評価:9.0 / 10
総合力の高さという意味で、依然として有力な選択肢です。
タイの特徴
- 生活費:月15〜35万円
- ビザ:リタイアメントビザ(SRRV)は比較的現実的
- 医療:私立病院は高水準
- 環境:日本人コミュニティが非常に大きい
一方で、税制は要注意ポイントです。
タイの税制
- LTRビザ(高所得者向け)→ 外国所得免税
- 通常ビザ → 送金課税リスクあり(2024年以降)
つまり、税制メリットは限定的です。
※LTR(Long-Term Resident)ビザ:タイ政府が導入した長期滞在制度。主に富裕層・年金受給者・高度人材向けで、年間約$80,000のパッシブ収入など一定の条件を満たす必要がある。その代わり、外国源泉所得の税制優遇などのメリットがある。
加えて、チェンマイの大気汚染(乾季)や観光地化による物価上昇、90日報告義務といった現実もあります。
※90日報告:タイ滞在中、90日ごとに住所を報告する制度。オンライン対応もあるが、ビザ種類や地域によっては手続きの手間が発生する。未報告は罰金あり
👍日本人コミュニティ・アクセス・試住のしやすさは大きな強みです。一方で、税制メリットを最大化するにはLTR該当が鍵になります。
2位:マレーシア(ペナン・クアラルンプール)
総合評価:8.9 / 10
税制と生活の快適さは東南アジアトップクラスです。英語環境なのも魅力です。
マレーシアの特徴
- 生活費:月22〜40万円
- 税制:外国所得非課税
- 医療:高水準
- 言語:英語環境
ただし、MM2Hは高額な預金+不動産が必要であり、実質的に資金に余裕がある人向けとなります。
※MM2H(Malaysia My Second Home):マレーシアの長期滞在制度。現在はティア制(Silver/Gold/Platinum)となっており、最低でも約15万ドルの預金+不動産購入が必要。資産要件は比較的高め。
👍制度面は非常に優秀ですが、ビザのハードルが最大の壁です。
3位:フィリピン(セブ・クラーク・ダバオ)
総合評価:8.5 / 10
コストと自由度のバランスが良い国です。こちらも英語圏はメリットです。
フィリピンの特徴
- 生活費:月16〜32万円(+保険・ビザ費用で上振れ想定)
- ビザ:リタイアメントビザ(SRRV)で取得しやすい
- 言語:英語が通じやすく親日的
※SRRV(Special Resident Retiree’s Visa):フィリピンの長期滞在ビザ制度。50歳以上で$15,000〜$30,000程度の預金などの条件で取得可能(条件により変動)。取得しやすさが特徴。
注意点として、治安・インフラは地域差が大きいことや台風リスク、医療は都市部中心であることです。
👍低コストFIREに向くが、都市選びが結果を左右します。
4位:ベトナム(ダナン・ハノイ)
総合評価:8.0 / 10
生活費の安さは大きな魅力です。
ベトナムの特徴
- 生活費:月13〜27万円(実際は+α想定が安全)
- 食事:日本人にも合いやすい
- 言語:ベトナム語(日常生活は英語でも可)
ただし、タイでは人気のリタイアメントビザ無しで、visa runや投資ビザが前提となります。
※visa runとは、滞在国のビザ期限が切れる前に一度隣国へ出国し、即日または短期間で再入国することで、観光ビザなどの滞在可能期間をリセット・延長する合法的な手法。
メリットとしては、英語ができれば最低限は生活可能であることと、日本人も徐々に増えていることです。物価も安いのでストレス許容しやすいと思います。
一方で、デメリットは行政・医療・トラブル時に言語の壁があり、長期滞在(visa run)と組み合わさるとストレスが高まることが想定される…です。
👍発展が著しく将来性はありますが、手間や不安定さを許容できる人向けですね。
5位:日本
総合評価:8.5 / 10
改めて評価されるべき選択肢です。税制面では不利ですが、
日本の特徴
- 医療・安全性・インフラは世界トップクラス
- 生活費:月20〜30万円前後(地方・持ち家で圧縮可能)
- 家族・友人が近い
- 言語・文化ストレスなし
👍 円安環境でも、精神的な安心感と医療アクセスの強さは大きな優位性です。資金が十分なら最適解でしょう。
6位:ポルトガル(リスボン・アルガルヴェ)
総合評価:7.0 / 10
欧州志向の人にとっての選択肢です。
ポルトガルの特徴
- 生活費:月32〜56万円
- ビザ:D7で現実的
- 税制優遇(旧NHR)は縮小
- 日本から遠い(時間・コスト)
- 日本人コミュニティが小さい
※D7ビザとは、年金や不動産賃貸収入などの「不労所得(受動的所得)」がある人が、ポルトガルに居住するための長期滞在ビザ。
👍温暖な気候と欧州文化は魅力ですが、明確な目的がある人向けですね。
まとめ:どの国を選ぶべきか
以下にポイントをまとめます。
最後に:FIRE移住で重要なこと
最も重要なのは、いきなり移住を決めないことです。
1〜3ヶ月の試住や複数国の比較、医療・気候・文化の相性確認は必須と言えます。
試住では、病院やスーパー、交通を使うなど、日常生活を体験するといった生活目線での確認が重要です。
また、1〜2ヶ月ずつ複数国を回るのも有効です。
さらに、円安進行や現地インフレ、ビザ・税制変更といった不確実性も前提に、柔軟に考える必要があります。
FIREはゴールではなく、その後の生活が本番です。
だからこそ、どこで暮らすかは慎重に選ぶ価値があります。
ちなみに年金はどうなる?
FIRE後に海外移住を考えると、年金はどうなるのか?と気になる方も多いと思います。
結論として、海外に移住しても日本で積み立てた年金は原則受給可能です。
受給資格(原則10年以上の加入)を満たしていれば、日本に住んでいなくても受け取ることができます。
もちろん、税金や為替の影響は受けますが、年金はFIRE後における安定したキャッシュフローの一つになります。
※本記事は2026年4月時点の一般情報です。ビザ・税制は頻繁に変更されるため、最新情報は必ず公式機関や専門家に確認してください。個別事情に応じた判断が必要です。
FIREするにはいくら必要か。現実的な見積もりは持っておきたいですね。


