資産形成

こどもNISAは月1,000円でも意味がある?0歳・5歳・10歳からの積立シミュレーション

NISAを活用して資産形成をしている家庭にとって、2027年に開始予定とされるこどもNISAは気になる制度の一つではないでしょうか。

子供二人を育てる我が家も同じで状況です。…ただ、子どものための投資を始める前に、考えておきたいことがあります。

それは、自分たちのNISAを活用するだけでも大変なのに、子どものNISAまで資金を回せるのかという問題です。

大人のNISAには、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円あり、合計すると年間360万円まで投資できます。

年間360万円の枠を使い切る必要はもちろんないのですが、まずは自分たちの老後資金や将来の生活に備えたいと考える家庭も多いはずです。

そんな中で、子どものNISAまで始める余裕はない…そう考えるのも自然なことだと思います。

では、月1,000円や3,000円といった少額でも、こどもNISAを始める意味はあるのでしょうか。

今回は、全世界株式インデックスファンド、いわゆるオルカンを想定し、年率3%・5%・7%で運用できた場合のシミュレーションを行いました。

0歳・5歳・10歳から積み立てた場合を比較しながら、少額投資の効果と、子ども名義の資産を作る意味について考えていきます。

※本記事は、こどもNISAの制度案を前提にした試算です。開始時期や制度の詳細については、公開時点の最新の公式情報をご確認ください。

こどもNISAとは?制度の概要を確認

こどもNISAについて、今回の検討で前提とする制度の概要を整理します。

項目制度案の前提
対象年齢0歳〜17歳
年間投資枠60万円
非課税保有限度額600万円
投資枠つみたて投資枠
非課税期間無期限
払い出し12歳以降、一定の条件のもとで可能とする制度案
18歳以降成人NISAへの移行を想定
制度の最終的な適用条件を保証するものではありません。対象年齢、年齢判定、払い出し条件、成人NISAへの移行方法などは、最新の公式資料で確認してください。

投資で得られた利益が非課税になる仕組みは、長期的な資産形成を考えるうえで魅力がありますが、年間60万円の投資枠があるからといって、無理に枠を使い切る必要はありません。

今回考えたいのは、枠を埋める方法ではなく、少額でも子どもの将来に向けた資産を作れるのかということです。

こどもNISAは月1,000円でも意味があるのか?

今回のシミュレーションでは、次の条件を設定しました。

ポイント

  • 投資対象:全世界株式インデックスファンドを想定
  • 想定利回り:年率3%・5%・7%
  • 積立方法:毎月末に一定額を積み立てる
  • 積立期間:18歳になるまで
  • 積立額:月1,000円・3,000円・5,000円・10,000円
  • 開始年齢:0歳・5歳・10歳

利回りは、実際の将来リターンを予測したものではなく、複数のケースを比較するための仮定です。

計算では、年率を月次換算した複利を用いています。税金や手数料、インフレによる購買力の変化は考慮していません。

それでは、まず年率7%で運用できた場合から見ていきましょう。〈オルカンの過去30年の平均リターンが約年利7%であるため〉

0歳から18歳まで積み立てた場合

子どもが生まれたときから積立投資を始め、18年間継続した場合です。

毎月の積立額積立元本18歳時点の評価額運用益
1,000円21.6万円約42.1万円約20.5万円
3,000円64.8万円約126.3万円約61.5万円
5,000円108万円約210.5万円約102.5万円
10,000円216万円約420.9万円約204.9万円
※年率7%、月次換算、月末積立による試算。金額は四捨五入しています。

月1,000円の場合、18年間の積立元本は21万6,000円です。

年率7%で運用できたと仮定すると、18歳時点では約42.1万円になります。月3,000円なら約126.3万円、月5,000円なら約210.5万円です。

将来も年率7%で運用できる保証はないものの、少額を長期間積み立てることで、まとまった資産を準備できる可能性があることはわかります。

5歳から18歳まで積み立てた場合

次に、5歳から積み立てを始めたケースです。

毎月の積立額積立元本18歳時点の評価額運用益
1,000円15.6万円約24.9万円約9.3万円
3,000円46.8万円約74.8万円約28.0万円
5,000円78万円約124.7万円約46.7万円
10,000円156万円約249.3万円約93.3万円

5歳から始めた場合、積立期間は13年間です。

月1,000円なら元本15万6,000円に対し、評価額は約24.9万円。月5,000円なら約124.7万円という試算になりました。

0歳から始めるケースより評価額は小さくなりますが、5歳からでも将来に向けた資産を作ることは可能です。

子どもがすでに幼稚園や小学校に通っている家庭でも、今から始めることを検討する価値はあると思います。

10歳から18歳まで積み立てた場合

最後に、10歳から積み立てを始めたケースです。

毎月の積立額積立元本18歳時点の評価額運用益
1,000円9.6万円約12.7万円約3.1万円
3,000円28.8万円約38.1万円約9.3万円
5,000円48万円約63.5万円約15.5万円
10,000円96万円約127.0万円約31.0万円

10歳から始めた場合、積立期間は8年間です。

月1,000円なら元本9万6,000円に対して約12.7万円、月5,000円なら約63.5万円という試算になりました。

0歳から始める場合と比べると、運用によって増える金額は小さくなります。

ただし、10歳からでも、月5,000円を続ければ元本48万円を積み立てることができます。8年間という期間でも、子どもの将来に向けた資産を準備すること十分は可能です。

利回り3%・5%・7%では、結果はどう変わる?

ここまでの表では年率7%を想定しましたが、利回りが変われば結果も変わります。

そこで、毎月1,000円を積み立てた場合について、年率3%・5%・7%の3つのケースを比較します。

開始年齢年率3%年率5%年率7%
0歳約28.5万円約34.5万円約42.1万円
5歳約19.0万円約21.7万円約24.9万円
10歳約10.8万円約11.7万円約12.7万円
※18歳時点の評価額。毎月末に1,000円を積み立て、年率を月次換算して計算しています。

0歳から月1,000円を18年間積み立てる場合、年率3%なら約28.5万円、年率5%なら約34.5万円、年率7%なら約42.1万円という結果になりました。約40万円あれば、大学進学時の教材費や、受験にかかる費用、入学金などの一部に充てることもできますね。

ただし、実際の株式市場では、毎年一定の利回りが得られるわけではなく、過去のリターンも年によって大きくばらついており、将来の利回りを保証するものではありません。

また、インフレによって物価が上昇すれば、同じ金額で買えるものは少なくなります。仮に物価が年2〜3%ずつ上昇した場合、将来の42万円は現在の42万円と同じ購買力を持つわけではありません。

名目上の評価額だけでなく、将来そのお金で何ができるかも考えておきたいところですね。

0歳・5歳・10歳では、どれくらい差が出るのか?

ここで、年率7%を想定した評価額を、毎月の積立額ごとに比較します。

毎月の積立額0歳スタート5歳スタート10歳スタート
1,000円約42.1万円約24.9万円約12.7万円
3,000円約126.3万円約74.8万円約38.1万円
5,000円約210.5万円約124.7万円約63.5万円
10,000円約420.9万円約249.3万円約127.0万円
※18歳時点の評価額。年率7%を仮定した試算です。

同じ金額を毎月積み立てても、開始年齢によって結果は大きく変わります。

たとえば、月1,000円の場合、0歳から始めると約42.1万円ですが、10歳からでは約12.7万円です。

これは、早い時期に積み立てたお金ほど、その後の運用期間を長く確保できるためです。

早く始めれば必ず利益が出るという意味ではありませんが、それでも長期投資を考えるうえで、時間は大切な要素の一つです。

始めるのならば、少額であれど、すぐに始めてしまうのも有効な一手だと思います。

月1,000円の積立に意味はあるのか?

ここで、最初の問いに戻ります。

月1,000円の積立に意味はあるのでしょうか。

私は、家計に無理がないのであれば、十分に意味があると考えます。

ただし、その意味は運用益の金額だけではありません。

1.少額でも将来の資産を作れる

0歳から月1,000円を積み立てた場合、18年間の元本は21万6,000円です。

今回の試算では、年率7%なら評価額は約42.1万円、年率3%なら約28.5万円になりました。

実際の結果は市場の状況によって変わり、元本割れする可能性もありますが、最初から大きな金額を用意することだけが資産形成の方法ではありません。

家計に負担をかけず、継続できる金額を見つけることにも価値があります。

2.子ども名義の資産を作れる

親の資産と子どもの資産は、どちらも家族の将来を支えるものです。

一方で、子ども名義の資産を準備しておくことには、親自身の老後資金とは別に、子どもの将来に備えられるという意味があります。

たとえば、進学や独立、社会人になってからの新しい挑戦など、将来の選択肢を広げるための資金として考えることができます。

18歳になった時点で必ず使う必要もありません。本人の希望や家計の状況に応じて、いつ、何のために使うのかを考えていけばよいと思います。

3.お金について考えるきっかけになる

子ども名義の資産があることは、将来、お金について話すきっかけにもなります。

なぜ積み立てをしているのか。なぜすぐに使わずに運用するのか。投資にはどのようなリスクがあるのか。

そうしたことを、子どもの成長に合わせて伝えていくこともできます。

少額の投資を始めれば自然に金融教育ができるわけではありませんが、お金との付き合い方を一緒に考えるきっかけにはなるでしょう。

子どもが2人いる家庭なら、どう考える?

子どもが2人いる家庭では、積立額についても考えておきたいところです。

たとえば、子ども1人につき月1,000円を積み立てる場合、2人分で月2,000円、年間では2万4,000円になります。

1人につき月3,000円なら、2人分で月6,000円、年間では7万2,000円です。

1人あたりの積立額2人分の月額2人分の年間額
1,000円2,000円24,000円
3,000円6,000円72,000円
5,000円10,000円120,000円
10,000円20,000円240,000円

子どもが2人いれば、当然ながら必要な教育費や生活費も増えます。

だからこそ、1人あたりの金額だけで考えるのではなく、家族全体で無理なく続けられるかを考える必要があります。

月1,000円ずつでも、2人分を継続すれば、それぞれの将来に向けた資産を作ることができます。

反対に、月1万円ずつ積み立てることが家計の負担になるなら、無理にその金額を選ぶ必要はありません。

子どものために資産を作ろうとして、親自身の生活や老後資金が不安定になってしまっては本末転倒です。

子ども2人分の資産形成は、金額の大きさを競うものではなく、家族に合った方法を選ぶことが大切です。

親のNISAと、こどもNISAはどちらを優先するべきか?

こどもNISAを考えるとき、親自身のNISAとの優先順位も気になります。

親のNISAを優先するべきなのか。それとも、子どものための資産形成も並行して進めるべきなのか。

これは、家庭の収入や資産、教育費の見通しによって変わります。

親の老後資金が十分に準備できていない家庭では、まず親自身の資産形成を優先する考え方も合理的です。

一方で、子ども名義の資産を作ることにも価値があります。

そのため、親のNISAか、こどもNISAかという二者択一で考える必要はないと思います。

大切なのは、やはり家庭の資産状況を確認し、無理のない範囲で活用することです。

親名義のNISAで運用し、後から子どもに渡す方法もある

子どもの将来に向けた資産を作る方法は、こどもNISAだけではありません。

親名義のNISAで運用し、必要になったタイミングで子どもに資金を贈与する方法も考えられます。

親名義であれば、原則として親自身の判断で売却や資金の使用を決めやすい一方、子どもに渡す段階では贈与税などを考慮する必要があります。

こどもNISAは、制度上の非課税期間や成人NISAへの移行に関するメリットが期待される一方、払い出し制限や、親が資金を拠出する際の贈与の問題があります。

どちらが有利かは、家庭の資産状況や資金を使う時期によって変わります。

子どもの資産として明確に準備したいのか、親が柔軟に管理できる資金として持っておきたいのか。そうした目的から考えてみるのもよいでしょう。

こどもNISAで注意したい4つのこと

少額投資には意味がありますが、始める前に確認しておきたい点もあります。

1.年率7%は保証された利回りではない

今回のシミュレーションでは、年率3%・5%・7%を仮定しました。

しかし、実際の株式市場では毎年一定の利回りが得られるわけではありません。

大きく値上がりする年もあれば、値下がりする年もあります。18歳になる直前に株価が下落すれば、想定した評価額を大きく下回る可能性もあります。

2.教育費として使うなら、取り崩す時期を考える

投資信託を積み立てていると、評価額は市場の動きによって変わります。

たとえば、大学進学のために18歳で使う予定のお金が、進学直前の株価下落によって大きく減ってしまうと、必要な資金を確保できなくなる可能性があります。

こうしたリスクに備えるためには、使う時期が近づいてきたら、価格変動の大きい資産の比率を下げることも検討したいところです。

教育費として使う予定の資金を、いつまでも株式中心で運用し続ける必要はありません。

長期で増やすことだけでなく、必要な時期に使える状態にしておくことも大切です。

3.払い出しの条件を確認する

こどもNISAでは、子どもが18歳になる前の払い出しについて、一定の制限が設けられる制度案が示されています。

ご提示の制度案では、12歳になった年以降、子どもの教育費や生活費に充てる場合に限り、本人の同意を示す書面などを用いた所定の手続きが必要とされています。それ以前は原則として払い出せず、災害などの例外が想定されています。また、年齢判定には3月31日を基準とする考え方が示されています。

ただし、これらの細かな条件は、制度の最終的な規定を確認したうえで記載する必要があります。

子どもの進学などで資金を使う予定がある家庭は、いつから、どのような用途で払い出せるのかを事前に確認しておきましょう。

4.親からの資金拠出には贈与税の確認も必要

親が子どもの投資資金を負担する場合、資金の移転が贈与に該当することがあります。

暦年課税では、贈与税の基礎控除は受贈者1人につき年間110万円です。ただし、この金額は1人の贈与者ごとの枠ではなく、その年に受け取った対象となる贈与を合算して考えます。

たとえば、親からの投資資金だけでなく、祖父母などから受け取った贈与がある場合も、合計額に注意する必要があります。実際の課税関係は贈与の内容や制度上の条件によって変わります。

また、子ども名義の口座に資金を入れれば、それだけで必ず子どもの財産として認められるわけではありません。子ども本人に財産が帰属することを意識し、資産の存在や管理方法についても適切に考えておきましょう。

制度を利用する際は、必要に応じて税務署や税理士などに確認することをおすすめします。

まとめ:月1,000円でも将来への備えになる。大切なのは無理なく続けること

今回は、こどもNISAで月1,000円・3,000円・5,000円・1万円を積み立てた場合について、0歳・5歳・10歳から始めるケースを比較しました。

年率7%で運用できたと仮定すると、0歳から月1,000円を18年間積み立てた場合、18歳時点の評価額は約42.1万円です。

年率3%なら約28.5万円、年率5%なら約34.5万円という試算になりました。

もちろん、これらは将来の金額を保証するものでありません。

それでも、少額から積み立てることには、子どもの将来に向けた資産を少しずつ準備できるという意味があります。

子どもが2人いれば、教育費や生活費もかかります。親自身の老後資金も考えなければなりません。

だからこそ、こどもNISAの枠を埋めることを目指す必要はなく、月1,000円でも、月3,000円でも構わないと思います。家計に無理がない金額から考えてみればよいと思います。

大きな金額を期待するより、無理のない範囲で続けること自体に価値があります。

子どもの将来に向けて、今の家庭にできることを少しずつ積み重ねていくこと。

こどもNISAは、そのための選択肢の一つです。親のNISAや家計とのバランスを考えながら、それぞれの家庭に合った資産形成を検討していきたいと思います。

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断片的な情報に惑わされやすい時代だからこそ、シンプルな投資スタイルを貫いて参ります。

この原則を信条とし、着実に資産形成を続けていきます。

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