その他

日銀の追加利上げ前倒しで銀行株はどうなる?第一四半期決算から見えた今後の注目点

この1週間で続々と発表されている第一四半期決算。メガバンクを中心に過去最高益が相次ぎ内容は非常に好調でしたが、株価は決算発表後に利益確定売りもあるのか、やや調整する場面も見られています。

そんな中で、市場が次に注目しているのが日銀の追加利上げ追加利上げが前倒しになるかもしれないという見方が市場で強まっています。

市場では9月や10月の追加利上げを織り込む動きもみられ、それに合わせるように銀行株への注目も高まっています。

今回は、日銀の追加利上げ前倒し観測と銀行株の関係について、最新情報をもとに整理したいと思います。


日銀の追加利上げは前倒しになるのか?

日銀は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げました。

これは約31年ぶりとなる高い政策金利水準です。

一方、7月30〜31日の会合では政策金利を据え置きました。

しかし、植田総裁は会見で

「基調的な物価上昇率が2%目標を上回るリスクにも留意している」

と述べ、今後の追加利上げに前向きとも受け取れる姿勢を示しました。

さらに、政策運営の説明には円安進行への言及も盛り込まれ、市場では9月や10月の追加利上げを予想する声が増えています。

実際、2026年8月上旬時点のOIS(金融市場の金利予想)では、

ポイント

  • 9月利上げ確率:約40%超
  • 10月までの利上げ確率:約90%超

という水準まで織り込まれています。

ただし、市場の織り込みは日々変動するため、今後の経済指標や日銀の発言次第で確率は変わる可能性があります。

野村證券もメインシナリオを従来の12月から10月利上げへ変更しています。


なぜ利上げで銀行株が上がるのか?

銀行株が利上げ局面で強い理由は非常にシンプルです。

銀行は金利差で利益を稼ぐ

銀行は預金を集め、その資金を企業や個人へ貸し出すことで利益を得ています。

ポイントは、貸出金利は比較的早く上昇する一方、預金金利はゆっくり上がる傾向があるという点です。

住宅ローンや企業向け融資などの貸出金利は政策金利の引き上げに比較的早く反応します。

一方、普通預金金利の引き上げは緩やかなため、その間は、貸出金利-預金金利=利ざや(NIM)が拡大しやすくなります。


0.25%の利上げだけでも利益は1000億円規模

利上げ効果は決して小さくありません。

市場では、0.25%の追加利上げで3メガバンク各行の利益が年間約1000億円押し上げられるとの試算もあります。

みずほFGでは、過去の利上げ効果だけでも年間約1050億円の増益要因となり、翌年度にはその効果がさらに拡大する可能性も指摘されています。

実際に利ざやも改善しています。

例えば、

  • MUFGの国内貸出・預金スプレッドは前年同期の0.95%から1.15%へ拡大
  • みずほも預貸金利回差が1%台前半から1.26%前後まで改善

するなど、金利上昇の恩恵が数字として表れています。

さらに、日銀当座預金への利息収入や投資信託販売手数料、M&A関連収益なども追い風となっています。

まさに金利のある世界が銀行業界に戻ってきたと言えます。


最新決算は過去最高益ラッシュ

銀行株人気は期待だけでなく、実際の業績が非常に好調です。

2026年4〜6月期決算では、大手銀行5グループの純利益合計は前年同期比42.3%増の1兆9564億円となりました。

銀行グループ 前年同期比純利益増減率

銀行グループ前年同期比
三菱UFJFG+48.2%
三井住友FG+33.0%
みずほFG+45.5%
三井住友トラスト+56.6%
りそなHD+14.2%

りそなを除く4社が4〜6月期として過去最高益を更新し、みずほFGとりそなHDは通期業績予想も上方修正しました。

2026年3月期通期でも、3メガバンク合計の純利益は約5.26兆円と過去最高を更新しています。


株価も30年ぶりの高水準へ

2022年末以降、銀行株は日経平均を上回る上昇を続けています。

銀行業株価指数は約30年ぶりの高水準となり、一時はMUFGの時価総額がトヨタを上回る場面もありました。

銀行業 月足チャート

以前は長年PBR1倍を下回る状態が続いていた銀行株ですが、現在では、PBR1.5〜1.8倍前後、ROE10%超まで改善しています。

それでも欧米の大手銀行と比較すると、なお割安との見方もあります。


メガバンクと地銀では差が出る可能性も

ただし、銀行株なら何でも良いという状況ではありません。

メガバンクは、

ポイント

  • 豊富な預金基盤
  • 海外事業
  • AI・成長分野への融資
  • 積極的な株主還元

など強みが多く、利上げメリットを受けやすい構造です。

一方、地方銀行は、

ポイント

  • 人口減少
  • 預金獲得競争
  • 保有債券の評価損
  • 不動産融資リスク

など個別事情による差が大きくなっており、銀行株という大きなくくりではなく、どの銀行を選ぶかがより重要になっていくと思われます。

利上げ期待だけで飛びつくのは注意

リスクも知っておく必要があります。

現在の株価には、ある程度利上げ期待が織り込まれているため、実際に利上げが決まったタイミングで利益確定売りが出る可能性があります。

また、メガバンクでは普通預金金利を0.3〜0.4%程度まで引き上げる動きも見られ、預金獲得競争が徐々に激しくなっています。

預金金利の上昇は資金調達コストの増加につながるため、利ざや拡大のペースが想定より鈍る可能性もあります。

そのほかにも、

銀行株のリスク

  • 景気減速による貸出需要の低下
  • 貸倒コストの増加
  • 海外金利の変動
  • 地政学リスク

などにも注意が必要です。

私自身は、短期的な株価よりも、中長期で利益や配当が伸びるかどうかを重視していますので、今回のニュースも、利上げがあるから買う・売ると判断するのではなく、銀行各社の収益力や株主還元の変化を確認しながら、引き続き長期目線で見ていきたいと考えています。

メガバンク各社はここ数年、業績の改善に合わせて株主還元を積極的に強化してきましたので、銀行株の収益改善が続けば、今後も増配や自社株買いが期待できます。迷わずホールド継続です。


今後の見通し

中長期的に見ると、安定した預金基盤と収益力、株主還元を重視した銘柄選びがこれまで以上に重要になってくると思います。

金利のある世界が定着すれば、銀行業界全体にとって追い風となる可能性がありますが、その恩恵の大きさは各行の経営基盤や収益構造によって差が出てくるのではないかと思います。


まとめ

日銀の追加利上げ前倒し観測を受け、銀行株への期待が再び高まっています。

利上げによる利ざや拡大は銀行にとって利益を押し上げる大きな要因であり、実際に2026年度の決算では過去最高益が相次いでいます。

一方で、現在の株価には一定の期待が織り込まれており、景気動向や預金金利競争など注視すべきポイントもあります。

利上げ期待だけで飛びつくのではなく、実際の利ざやの改善度合い、預金コストの動向、信用コスト、株主還元方針を総合的に見極めることが求められます。メガバンクを中心に業績の裏付けが強い一方で、すでに一定の期待が株価に織り込まれている点には留意したいところですね。

関連記事

オススメ記事

断片的な情報に惑わされやすい時代だからこそ、シンプルな投資スタイルを貫いて参ります。

この原則を信条とし、着実に資産形成を続けていきます。

FIRE(早期リタイア)ランキング
にほんブログ村 その他生活ブログ FIRE(30代)へ
このエントリーをはてなブックマークに追加

-その他