FIREという言葉が一般化して数年。
経済的自立を達成し、会社に縛られない自由な生活を送る。そんな生き方は、多くの人の共感を呼び、大きな魅力を持っています。
毎朝決まった時間に起きて出勤する必要もなく、苦手な仕事や人間関係に悩まされることもない。自分の時間を、自分の意思で自由に使える。
考えるだけでも、魅力的な生き方です。
一方で、FIREには負の側面も少なからずあるのではないでしょうか。
実際にFIREした人の中には、会社を辞めたことで初めて気づいたことや、想像していなかった悩みを抱える人もいるはずです。
もちろん、FIRE後の生活は人それぞれです。ある人にとっては大きな問題でも、別の人にとっては何でもないことかもしれません。
そこで今回は、まだFIREを達成していない私が、あえてFIREしてから後悔しそうなことを7つ考えてみたいと思います。
あらかじめ後悔する可能性を想像しておけば、対策できることもあるはずです。
これからFIREを目指す人にとって、将来の生活を考えるきっかけになればと思います。

1.もっと働いておけばよかった
FIREを目指していると、仕事は自由な時間を奪うものだと考えがちです。
実際、会社員として働いていると、平日の多くを仕事に費やすことになります。
本当はもっと寝ていたい日もあれば、旅行に行きたい日もあるでしょう。
それでも決まった時間に出勤し、仕事をしなければなりません。
そう考えると、仕事を辞めて自由な時間を手に入れることには、大きな価値があります。
しかし、仕事から得られるものは給与だけではありません。
例えば、次のようなものがあります。
- 仕事をやり遂げたときの達成感
- 自分とは異なる考え方を持つ人との出会い
- 苦手なことに取り組むことで得られる成長
- 自分の意思では選ばなかった仕事や人との出会い
- 誰かから頼られたり、感謝されたりする経験
特に私が考えるのは、仕事には、自分の意思だけでは決して出会えなかった人や物事に出会えるという価値があることです。
自分が好きなことだけをして生活していれば、必然的に興味のある分野や付き合いたい人を選ぶことになります。
それは自由な生活の魅力でもあります。一方、仕事では、自分が望んでいなかった役割を任されたり、考え方の異なる人と協力したりすることがあります。
面倒に感じることもありますが、そうした経験が新しい発見につながることもあるでしょう。
仕事を通じて偶然出会った人が、自分の人生に大きな影響を与えることだってあるはずです。
FIREすれば、こうした経験がすべてなくなるわけではありません。しかし、会社という組織に所属しているからこそ生まれる偶然の出会いは、少なくなる可能性があります。
その結果、FIREして自由になったあとに、仕事を通じて得ていたものの価値に気づくかもしれません。
2.FIを達成したのに、もっとお金が欲しくなる
経済的自立を目指して資産形成を続けていると、目標となる資産額を設定することがあります。
1億円、2億円、あるいは年間配当金500万円。
自分なりの目標を決め、それに向かって資産を増やしていく。
しかし、目標を達成すれば、お金への欲求はなくなるのでしょうか。必ずしもそうではないと思います。
例えば、1億円あれば十分に暮らせると考えていた人が、実際に1億円を達成すると、今度は2億円を目指したくなる。
年間配当金400万円で生活できると考えていた人が、500万円、600万円と増やしたくなる。
資産が増えることで、さらに豊かな生活を送れる可能性が広がります。
旅行に行く回数を増やしたり、趣味にお金を使ったり、将来の不安をさらに小さくしたりすることもできるでしょう。
お金が増えること自体は、決して悪いことではありません。問題は、いつまでたっても満足できず、資産を増やすことが目的になってしまうことです。
本来、FIREはお金のために働かなくてもよい状態をつくり、自分の人生を自由に生きるための手段のはずです。
それなのに、目標を達成したあとも、もっと資産があれば安心できる、もう少し配当金が増えてから会社を辞めようと考え続けてしまう。
これでは、経済的自立を達成したにもかかわらず、お金のために働き続けることになりかねません。
資産に余裕を持たせることは大切ですが、どれだけ資産が増えても、将来への不安を完全になくすことは難しいでしょう。
だからこそ、FIREを目指す段階で、自分にとっての十分な資産額や生活水準を考えておく必要があると思います。
いくらあれば自由になれるのか。そして、自由になったあと、何をしたいのか。これらを考えておくことが大切なのではないでしょうか。
3.暴落時に不安になる
FIRE後の生活を考えるうえで、避けて通れないのが資産運用のリスクです。
株式投資を続けていると、株価が大きく下落する局面があります。
FIRE前であれば、株価が下がっても給与収入があるので、安くなった株式を追加購入することもできるでしょう。
しかし、FIRE後は状況が変わります。資産を取り崩して生活する場合、相場が下落しているときにも売却を迫られる可能性があります。
配当金を中心に生活する場合でも、企業の業績悪化などによって減配が起こる可能性がないとは言えません。
つまり、資産が減ることと、生活費を確保できるかという問題が、より直接的につながるのです。
例えば、資産が2億円あったとしても、株価が30%下落すれば評価額は1億4000万円になります。
6000万円もの資産が減少したことになります。まぁまだそれだけの資産が残っていれば十分でしょう…と考えられるかもしれません。
しかし、実際に自分の資産が6000万円減ったとき、冷静でいられるのか。
これまで何年もかけて築き上げてきた資産が急激に減少すれば、不安になるのも無理はありません。
そして、相場が回復するまで仕事を続ければよかったと考えたり、下落している株式を売却してしまったりする可能性もあります。
こうした後悔を防ぐためには、FIRE前から資産が減少するケースを想定しておくことが大切だと思います。。
資産がいくらあればFIREできるかだけでなく、資産がどこまで減っても生活を維持できるのか。
生活費をどのように確保するのか。暴落時にどのような行動を取るのか。
あらかじめ考えておくことで、実際に相場が下落したときにも、落ち着いて判断しやすくなるはずです。
4.やることがなくなる・飽きる
FIREの魅力として、自由な時間が増えることを挙げる人は多いでしょう。
仕事を辞めれば、平日の日中も自分の好きなように過ごせます。
ゆっくり起きることもできますし、旅行に出かけたり、趣味に没頭したりすることもできます。
これまで仕事のために我慢していたことを、思う存分楽しめるわけです。
しかし、自由な時間が増えることと、その時間を充実させられることは全く別の話です。
FIRE直後は、これまでできなかったことを楽しめるでしょう。ところが、しばらくすると、そうした生活にも慣れてくるかもしれません。
好きなだけゲームをする。好きな時間に起きる。平日の空いている時間帯に買い物や旅行を楽しむ。
どれも魅力的ですが、毎日同じことを繰り返していれば、次第に新鮮さが薄れていく可能性があります。
仕事をしていた頃は、休日が待ち遠しかった人もいるでしょう。
しかし、毎日が休日になれば、休日という特別な時間そのものがなくなります。
もちろん、仕事がない生活を退屈だと感じるかどうかは、人それぞれです。
何も予定を入れず、のんびりと過ごすことに幸せを感じる人もいるでしょう。
一方、日々の生活に何らかの目標や楽しみがないと、時間を持て余してしまう人もいるはずです。
だからこそ、FIRE後に何をしたいのか、どのような生活を送りたいのかを考えておくことには意味があります。
ただし、FIRE後の予定をあらかじめ埋め尽くす必要はありません。
自由になったのに、毎日何かをしなければならないと考えてしまっては、本末転倒です。
大切なのは、何もしない時間も楽しめること。そして、何かをしたくなったときに、自由に行動できることではないでしょうか。
5.社会とのつながりが薄くなった
仕事をしていると、職場の人と自然に顔を合わせます。
仕事の相談をしたり、雑談をしたり、誰かから頼られたりすることもあるでしょう。
面倒な人間関係に悩まされることもありますが、会社という組織に所属していることで、社会とのつながりが生まれている面もあります。
FIREすれば、こうした人間関係から距離を置くことができます。
苦手な人と無理に付き合う必要もありませんし、仕事上の人間関係に気を使う必要も少なくなります。
これは、FIREの大きなメリットです。
しかし、会社を辞めたことで、想像以上に人と関わる機会が減ってしまう可能性もあります。
特に、仕事以外に人間関係を築く場がない場合、毎日ほとんど誰とも話さずに過ごすことになるかもしれません。
会社員時代には気づかなかったものの、職場の同僚との会話や、仕事を通じた人とのつながりが、生活の一部になっていたということも考えられます。
もちろん、無理に人付き合いを増やす必要はありません。
一人で過ごす時間が好きな人にとっては、人間関係が減ること自体が大きなメリットになるでしょう。
ただ、人間関係のストレスがなくなることと、人とのつながりが必要なくなることは同じではありません。
FIRE後も、趣味の集まりに参加したり、地域の活動に関わったり、短時間の仕事をしたりすることで、人と関わる機会を持つことはできます。
私自身も、将来FIREしたあとに、週2〜3日程度の仕事をすることを考えています。
生活費を稼ぐためというよりも、社会とのつながりを保ち、適度に人と関わるためです。
会社員という立場を離れたあとも、自分なりの居場所を持つこと。それが、FIRE後の生活を充実させる一つの方法になるのではないかと思います。
6.何かに挑戦する気力がなくなった
何かしらへの挑戦は、刺激を伴います。
日々の仕事はある意味、挑戦だらけです。その挑戦が無くなるとすると、人としての活力、バイタリティーが低下し、体と脳の老化が進行するような気がして、私は怯えています。
仕事をしていると、やりたくないことにも取り組まなければならない場面があります。
苦手な仕事を任されたり、難しい課題に直面したり、考え方の異なる人と協力したりすることもあるでしょう。
面倒ですし、できれば避けたいと思うこともあります。
しかし、そうした経験を通じて、新しい知識や技能を身につけたり、自分の成長を実感したりすることもあります。
仕事には、自分の意思とは関係なく、何かに挑戦する機会が生まれるという側面があるのです。
一方、FIRE後は、嫌なことを無理にする必要がなくなります。
やりたくないことはやらなくていいし、苦手な人とは距離を置けばいい。面倒なことは後回しにもできます。
自分の意思で生活を決められることは、FIREの魅力です。
ただし、こうした生活に慣れることで、失敗する可能性があることや、面倒なことに挑戦する機会が減ってしまうかもしれません。
新しいことを始めるには、時間も労力も必要です。うまくいかなければ、落ち込むこともあるでしょう。
それならば、慣れ親しんだ生活を続けていたほうが楽だと感じることもあるはずです。
その結果、毎日が快適である一方、何かをやり遂げたという達成感や、自分の世界が広がっていく感覚が薄れてしまう可能性があります。
FIRE後にまで成長や成果を求める必要はなく、何かを成し遂げなくても、穏やかに暮らすことには十分な価値があります。
ただ、せっかく自由な時間があるのなら、この世に命を授かったのであれば、自分のため、誰かのために何かに挑戦してみるのもよいと思います。
やりたくないことをしなくてもよい自由と、やりたいことに挑戦できる自由。その両方を生かせる生活を目指したいものです。
7.もっと早くFIREすればよかった
ここまで、FIRE後に後悔する可能性のあることを6つ挙げてきました。
しかし、最後に考えたいのは、その反対です。
それは、FIREを実現したあとに、もっと早くFIREすればよかったと後悔する可能性です。
FIREを目指して資産形成を続けていると、将来への不安から、できるだけ多くの資産を築こうと考えます。
資産が増えれば、生活の安心感は高まります。
年間配当金が増えれば、給与収入に頼らずに生活できる可能性も高まります。
だからこそ、もう少し資産を増やしてから会社を辞めようと考える人もいるでしょう。
しかし、資産形成を続けることにも、コストがあります。それは、お金ではなく時間です。
例えば、FIREに必要な資産を40歳で築けた人が、さらに安心を求めて45歳まで働き続けたとします。
その5年間で資産が増え、経済的な余裕は大きくなるかもしれません。一方で、その5年間は、会社員として働く時間でもあります。
本当は旅行に行きたかったかもしれません。もっと家族と過ごしたかったかもしれません。
平日の空いている時間に、ゆっくりと自分の好きなことを楽しみたかったかもしれません。
働き続けることで得られる給与や退職金、年金などのメリットもあります。早く辞めればよいという単純な話ではありません。
また、資産が十分でない段階で無理にFIREすれば、将来の生活に不安を抱えることにもなりかねません。
大切なのは、資産を増やすことと、時間を自由に使うことのバランスです。
資産が増えれば、将来の選択肢は広がります。しかし、過ぎ去った時間を取り戻すことはできません。
若い頃にしかできない経験もあれば、子どもが小さい時期にしか過ごせない時間もあります。
健康で体力があるからこそ楽しめることもあるでしょう。そう考えると、資産を増やすことばかりを優先して、自由な時間を手に入れるタイミングを遅らせることにも、別のリスクがあるのではないでしょうか。
FIREを目指していると、どうしてもあといくら必要なのかという数字に意識が向きます。
しかし、本当に考えたいのは、その資産を使って、いつから、どのような生活を送りたいのかということです。
資産が増えることには価値があります。ただ、資産を増やすために費やした時間もまた、人生の一部です。
将来の安心を求めて働き続けた結果、自由に使えるはずだった時間を失ってしまう。そんな後悔も、FIREを目指す人は考えておく必要があると思います。
まとめ:後悔のないFIREを目指すために
今回は、FIREしてから後悔しそうなことを7つ考えてみました。
- もっと働いておけばよかった
- FIを達成したのに、もっとお金が欲しくなる
- 暴落時に不安になる
- やることがなくなる・飽きる
- 社会とのつながりが薄くなった
- 何かに挑戦する気力がなくなった
- もっと早くFIREすればよかった
こうして考えてみると、FIREには、実現して初めて気づくことも多そうです。
仕事を辞めれば、自由な時間が増えます。一方で、仕事を通じて得ていた人間関係や達成感を失う可能性もあります。
資産が増えれば、経済的な安心感は高まります。
しかし、もっと資産が欲しくなり、いつまでも仕事を辞められないかもしれません。
そして、将来への不安をなくそうと資産形成を続けた結果、自由な時間を手に入れるタイミングが遅くなってしまう可能性もあります。
どんな生き方を選んでも、すべての後悔をなくすことは難しいでしょう。
会社員を続ければ、もっと自由な時間が欲しかったと思うかもしれません。
FIREすれば、もっと働いておけばよかったと思うかもしれません。
結局のところ、どちらを選んでも、選ばなかった道が気になる瞬間はあるのだと思います。
だからこそ、後悔する可能性を理由にFIREを諦めるのではなく、後悔する可能性をあらかじめ考え、対策できることは対策しておく。
そのうえで、自分が納得できる選択をすることが大切なのではないでしょうか。
私自身、FIREを目指す理由は、単に働きたくないからではありません。
自分の時間を自分で決められるようになりたい。家族との時間を大切にしたい。
お金のために働くのではなく、自分がやりたいことを、自分の意思で選べるようになりたい。
そう考えて、資産形成を続けています。
もちろん、実際にFIREしたあと、想像していなかった悩みが生まれるかもしれません。
それでも、今の自分が大切にしたいものを考え、将来の生活を想像しながら準備を進めていくことには意味があると思います。
FIREは、仕事を辞めること自体がゴールではありません。その先にある人生を、より自分らしく生きるための選択肢です。
後悔をゼロにすることよりも、自分が納得できる人生を選ぶこと。
それを忘れずに、これからもFIREを目指していきたいと思います。


