近年の株式投資では、株価の値上がりだけでなく企業がどれだけ株主に利益を還元しているかを重視する流れが強まっています。
特にFIRE(経済的自立・早期リタイア)や長期の資産形成を目指す人にとって、配当や自社株買いといった株主還元は、将来の生活を支える重要な要素です。
こうした流れの中で注目されているのが日経平均株主還元株40指数です。
本記事では、この指数がどのような考え方で作られているのか、構成銘柄や利回りの特徴、投資するメリットまでを整理していきます。

日経平均株主還元株40とは?
指数の概要と誕生の背景
日経平均株主還元株40指数は、日本経済新聞社が算出・公表している株価指数のひとつです。
日経平均株価を構成する225銘柄の中から、株主還元に積極的な企業40社を選び出して構成されています。
この指数が特徴的なのは、高配当かどうかだけでなく、
- 配当金
- 自社株買い
- 有利子負債の返済
といった総合的な株主還元を評価している点です。
単に利回りが高い企業ではなく、稼いだ利益をどう株主に返しているかを重視している指数だと言えます。
背景には、日本企業のコーポレートガバナンス改革や、ROE・資本効率を意識した経営への転換があります。
脱デフレが進む中で、成長しないが還元もしない企業よりも、着実に稼ぎ、株主に報いる企業が評価され始めている流れを、指数として可視化したものとも言えるでしょう。
算出方法と採用基準
株主還元利回りを軸にした選定
日経平均株主還元株40では、株主還元利回り(3年平均)が重要な指標として使われています。
これは、配当・自社株買い・負債削減の合計を時価総額で割ったものです。
採用にあたっては、以下のような条件が設けられています。
- 日経平均株価の構成銘柄であること
- 金融業・不動産業を除外
- 予想配当利回りが一定水準以上
- 過去に継続的な自社株買い実績があること
指数は年2回(1月・7月)見直されるため、株主還元に消極的になった企業は入れ替え対象となります。
この仕組みにより、その時々で還元姿勢が本物の企業が残りやすくなっています。
日経平均株主還元株40の構成銘柄
構成銘柄一覧(2025年12月30日時点・2026年1月2日現在適用)
※ 初回定期入れ替え(2026年1月14日適用予定)は未反映
※ セブン&アイ、日本航空などは まだ指数に含まれていません
日経平均株主還元株40は、商社・自動車・化学・インフラ関連など、安定したキャッシュフローを生む企業を中心に構成されています。
特定のセクターに極端に偏らず、日本経済の中核を担う企業群が幅広く選ばれている点が特徴です。
| 銘柄名 | 業種 | コード |
|---|---|---|
| INPEX | 鉱業 | 1605 |
| コムシスHD | 建設 | 1721 |
| 清水建設 | 建設 | 1803 |
| 明治HD | 食品 | 2269 |
| ニチレイ | 食品 | 2871 |
| クラレ | 化学 | 3405 |
| 日産化学 | 化学 | 4021 |
| 信越化学工業 | 化学 | 4063 |
| 日東電工 | 化学 | 6988 |
| 塩野義製薬 | 医薬品 | 4507 |
| 出光興産 | 石油 | 5019 |
| ENEOS | 石油 | 5020 |
| ブリヂストン | ゴム | 5108 |
| 日本電気硝子 | 窯業 | 5214 |
| 日本碍子 | 窯業 | 5333 |
| オークマ | 機械 | 6103 |
| アマダ | 機械 | 6113 |
| デンソー | 電気機器 | 6902 |
| カシオ計算機 | 電気機器 | 6952 |
| 村田製作所 | 電気機器 | 6981 |
| キヤノン | 電気機器 | 7751 |
| いすゞ自動車 | 自動車 | 7202 |
| SUBARU | 自動車 | 7270 |
| ヤマハ | その他製造 | 7951 |
| 双日 | 商社 | 2768 |
| 伊藤忠商事 | 商社 | 8001 |
| 丸紅 | 商社 | 8002 |
| 三井物産 | 商社 | 8031 |
| 三菱商事 | 商社 | 8058 |
| 三越伊勢丹HD | 小売業 | 3099 |
| 高島屋 | 小売業 | 8233 |
| 丸井グループ | 小売業 | 8252 |
| 東武鉄道 | 鉄道・バス | 9001 |
| 小田急電鉄 | 鉄道・バス | 9007 |
| ヤマトHD | 陸運 | 9064 |
| NXHD | 陸運 | 9147 |
| 日本郵船 | 海運 | 9101 |
| 川崎汽船 | 海運 | 9107 |
| セコム | サービス | 9735 |
【補足】初回定期入れ替えについて(重要)
2025年12月25日に、初の定期入れ替えが発表されました。
▶ 新規採用(2026年1月14日から反映)
- セブン&アイ・ホールディングス
- 日本航空
- 小田急電鉄
- 清水建設
- コムシスホールディングス
▶ 除外
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- 三井物産
- 川崎汽船
利回りの特徴と考え方
配当+自社株買いという発想
日経平均株主還元株40の株主還元利回りは、全体でおおよそ3〜4%程度と推定されています。
日経平均全体と比べると、明らかに高水準です。
重要なのは、配当だけに依存していない点です。
自社株買いは1株あたり価値を高め、将来の配当余力を残す効果があります。
FIREや資産形成を考えるうえでは、
- 毎年安定的に現金が戻ってくる
- 株価が下がりにくい構造
この2点は精神的にも大きな支えになります。
投資するメリット
長期投資・FIREとの相性
日経平均株主還元株40は、短期売買向きの指数ではありません。
むしろ、
- 配当・還元を再投資する
- 時間を味方につける
こうした王道の資産形成と相性が良い指数です。
企業側が株主への還元を明確に意識しているため、経営のブレが少なく、長期保有しやすいのも特徴です。
ETFで手軽に投資できる
この指数には、グローバルX 日経平均株主還元40-日本株式 ETF(465A)といった連動ETFも存在します。
個別銘柄を40社すべて追いかけるのは大変ですが、ETFなら1本で分散投資が可能です。
NISA成長投資枠との相性も良く、日本株で堅実に還元を受け取りたい人にとって使いやすい選択肢でしょう。
運営管理費用は0.3025%(税抜0.275%)。ETFとしてはやや高めですが、株主還元という明確なルールに基づく指数であることを考えれば、許容範囲のコストと言えるでしょう。
注意点とデメリット
一方で、日経平均株主還元株40にも弱点はあります。
- 急成長株のような爆発力は期待しにくい
- 大型株中心のため、指数の動きは比較的穏やか
- 市場全体が大きく下落すれば影響は避けられない
あくまで資産の土台を作る存在として位置づけるのが現実的です。
まとめ|株主還元という新しい軸を持つ
日経平均株主還元株40は、日本株投資に株主還元という明確な軸を与えてくれる指数です。
- 何に投資すべきか迷ったとき
- 配当と安定性を重視したいとき
- FIREを見据えて日本株を組み込みたいとき
こうした場面で、十分に検討する価値があります。
値上がり益だけを追いかける投資から一歩離れ、企業と長く付き合い、還元を受け取るという視点を持つ。
日経平均株主還元株40は、そんな投資スタイルを考えるきっかけを与えてくれる存在と言えるでしょう。
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