前回の記事では、円安が続く理由と個人投資家が取るべき行動について解説しました。
2026年も以下のように歴史的な円安水準が続いていますが、円安はすべての企業に同じような恩恵を与えるわけではありません。

海外で売上を伸ばしている企業には大きな追い風になりますが、国内需要中心の企業には逆風となるケースもあります。
そこで今回は、円安でも安心して長期保有したい企業はどんな会社なのか?という視点でスクリーニングを行いました。
私が重視したのは、ただ円安で恩恵を受ける株ではなく、
そんな企業だけを抽出する条件です。

今回使用したスクリーニング条件
今回設定した条件はこちらです。
10の条件
- 海外売上高比率:50%以上
- 売上高10年成長率:7%以上
- 営業利益10年成長率:7%以上
- 会社予想売上高:増収
- 会社予想営業利益:増益
- PER:25倍以下
- 配当性向:20~70%
- 配当利回り:2%以上
- 自己資本比率:40%以上
- 実績ROE:10%以上
一つずつ、この条件を選んだ理由を紹介します。
① 海外売上高比率50%以上
今回もっとも重要視した条件です。
円安の恩恵を受けるには、海外でしっかり稼いでいることが前提になります。
海外売上比率が高い企業ほど、為替差益や海外利益の円換算増加などの恩恵を受けやすくなります。
円安関連株を探す上では欠かせない条件です。
② 売上・営業利益ともに10年間で年平均7%以上成長
円安だけで業績が良くなる企業ではなく、本業で勝ち続けている企業を残したいと考えました。
10年間にわたって売上も利益も伸ばしている企業は、商品力・ブランド力・技術力のいずれかに強みを持っているケースが多くあります。
円安は、その競争力をさらに後押ししてくれる要素です。
③ 来期も増収・増益予想
未来も成長が続く企業を選ぶため、来期も売上・営業利益ともに前年を上回る予想の企業に絞りました。
④ PER25倍以下
成長企業はPERが高くなりやすい一方で、あまりに高いと期待先行になってしまうこともあります。
そこで今回は25倍以下としました。成長性と割高感のバランスを重視しています。
⑤ 配当性向20~70%
高配当でも利益以上に配当を出している企業は長続きしません。
配当性向を20~70%にすることで、持続可能な株主還元を行っている企業を選びべるようにします。
⑥ 配当利回り2%以上
配当金も重視したいところですが利回りだけを追うと、成長企業が外れてしまいます。
そこで2%以上という条件にしました。配当と成長のバランスを意識しています。
⑦ 自己資本比率40%以上
どんなに業績が良くても財務が弱ければ不況時のリスクが高まります。
自己資本比率40%以上なら、比較的健全な財務基盤を持つ企業が残るので、長期保有を前提にするなら重要な条件です。
⑧ 実績ROE10%以上
ROEは企業が株主資本をどれだけ効率よく利益に変えているかを示す指標です。
10%以上あれば十分優秀な企業と言えます。
海外で稼ぐ企業はROEも高いケースが多く、競争力を測る一つの目安になります。
スクリーニング結果
この条件で抽出されたのは、次の7銘柄でした。
| コード | 銘柄 | 業種 |
|---|---|---|
| 4527 | ロート製薬 | 医薬品 |
| 4979 | OATアグリオ | 化学 |
| 6005 | 三浦工業 | 機械 |
| 6161 | エスティック | 機械 |
| 6357 | 三精テクノロジーズ | 機械 |
| 6363 | 酉島製作所 | 機械 |
| 7826 | フルヤ金属 | その他製品 |
数千社ある上場企業の中で、この条件をすべて満たした企業はわずか7社でした。
スクリーニングして分かった3つの共通点
① 海外で稼ぐ企業ばかり
海外売上比率を見ると、
- OATアグリオ:72.3%
- エスティック:67.6%
- フルヤ金属:61.5%
- 酉島製作所:60.8%
など、売上の6割以上を海外市場で稼いでいます。円安は一時的な追い風ではなく、本業そのものにプラスとなる企業ばかりです。
② 長期間成長している
どの企業も売上だけでなく利益も伸ばしています。
例えば、
- 三浦工業:売上10年成長率10.5%、営業利益11.7%
- 三精テクノロジーズ:売上11.8%、営業利益12.2%
- フルヤ金属:営業利益17.4%
- 酉島製作所:営業利益29.6%
円安だけに頼る企業ではなく、世界で競争力を持っている企業だからこその数字です。
③ 財務が健全で配当も期待できる
自己資本比率は、
- エスティック:88.4%
- ロート製薬:62.1%
- 三精テクノロジーズ:52.7%
と高水準。
配当利回りも悪くないので、長期保有との相性は◎です。
意外だったこと
今回のスクリーニングで面白かったのは、誰もが知る大型株がほとんど入ってこなかったことです。
例えば、トヨタやソニーグループ、東京エレクトロン、キーエンスなどは条件を満たしませんでした。
PERが高かったり、配当利回りが低かったりと理由はさまざまですが、今回の条件では、知名度ではなく長期で安心して保有できる企業かどうかを重視した結果になりました。
注目したい3銘柄
ロート製薬(4527)
海外売上比率51%、PER15.8倍、ROE12.2%。
医薬品だけでなくスキンケアや機能性食品など幅広い事業を展開しており、海外でもブランド力があり安定感があります。

三浦工業(6005)
ボイラー・水処理設備で国内トップクラス。
海外展開も進み、10年以上にわたって売上・利益を着実に伸ばしています。
メンテナンス収入が多く、ストック型の収益モデルを持つ点も魅力です。

酉島製作所(6363)
大型ポンプメーカーとして世界各国に事業を展開しています。
営業利益の10年成長率は29.6%と今回の中でも突出しており、海外インフラ投資や水インフラ需要の拡大も追い風となりそうです。

このスクリーニングは万能ではない
もちろん、この条件だけで投資判断をするつもりはありません。
PERが高くても素晴らしい企業はありますし、配当利回りが低くても長期で大きく成長する企業もあります。
あくまで、優良企業の候補を効率よく探すためのフィルターとして活用しています。
スクリーニングで候補を見つけた後は、
- 決算資料
- 中期経営計画
- ビジネスモデル
- 競合優位性
まで確認して投資判断を下したいところですね。
まとめ
円安だからといって、すべての輸出企業を買えばいいわけではありません。
本当に大切なのは、世界で稼ぐ力を持ち、その上で円安という追い風を受けられる企業を見つけることです。
今回のスクリーニングでは、
- 海外売上比率
- 成長性
- 割安さ
- 財務健全性
- 株主還元
という5つの視点から企業を厳選しました。
この条件で抽出された7社は、いずれも長期投資の候補として面白い企業だと感じています。
最後に、表にしてまとめておきます。
| 銘柄 | 海外売上比率 | PER | 利回り | ROE |
|---|---|---|---|---|
| OATアグリオ | 72.3% | 10.4倍 | 2.41% | 13.39% |
| エスティック | 67.6% | 8.5倍 | 2.99% | 10.77% |
| フルヤ金属 | 61.5% | 12.6倍 | 2.02% | 10.37% |
| 酉島製作所 | 60.8% | 11.6倍 | 2.17% | 10.24% |
| 三精テクノロジーズ | 55.7% | 8.5倍 | 3.85% | 10.61% |
| ロート製薬 | 51.0% | 15.8倍 | 2.08% | 12.21% |
| 三浦工業 | 50.5% | 12.9倍 | 2.34% | 12.35% |
関連記事

